三井住友建設は、山岳トンネル工事における鋼製支保工の設置作業を大幅に省力化する画期的な技術を開発した。この新技術は、360度カメラや3D点群データを投影するナビゲーションモニターを核とし、エレクター付き吹き付け機の配置から、鋼製支保工の建て込み、天端部連結ボルト締結、さらには金網設置に至るまでの一連の作業を、切羽から離れた場所で完結させることを可能にする。これにより、作業員の安全性向上と作業効率の大幅な改善が期待される。本技術は、「3次元点群データを用いた鋼製支保工建込システム(離れte支保工)」と称され、ニシオティーアンドエムとの協力のもとで開発されたものである。今後は、現場での積極的な適用を通じてさまざまなデータや知見を収集し、鋼製支保工作業の全自動化への発展を目指す方針である。
山岳トンネル工事の革新:省力化と安全性向上を追求する新技術の全貌
山岳トンネルの建設現場では、鋼製支保工の設置作業が、その特性上、高い危険度と作業負荷を伴う重要な工程として認識されてきた。この状況に対し、三井住友建設が開発した新技術は、作業の省力化、安全性向上、そして将来的な全自動化を主たる目的としている。特に、作業員が危険を伴う切羽から離れた場所で一連の作業を完結できる点は、労働災害の削減と作業効率の抜本的な向上に大きく寄与すると見込まれる。これは、建設現場における働き方改革の推進と、持続可能な現場運営を実現するための重要な一歩である。
新技術が省力化する作業工程は広範囲にわたる。具体的には、エレクター付き吹き付け機の配置から、鋼製支保工の建て込み、さらには支保工天端部の連結ボルト締結、そして金網設置に至るまでの一連の作業が対象となる。これらの作業は、ナビゲーションモニターを通じてオペレーターが遠隔で実施できる設計となっており、従来の作業で必要とされた熟練作業員の配置や、危険区域での手作業を大幅に削減する。これにより、作業負荷の軽減、ヒューマンエラーの減少、そして作業全体の効率化が期待できる。

この技術の中核を成すのは、「3次元点群データを用いた鋼製支保工建込システム(離れte支保工)」と名付けられたシステムである。このシステムは、360度見渡せるフルラジアル式カメラシステムと、エレクター付き吹き付け機に搭載された高精度計測機から得られる3D点群データを最大限に活用する。切羽掘削面、既設支保工、エレクターで移動中の支保工の情報、そして最終的な目標設置位置が、ナビゲーションモニターにリアルタイムで鮮明に投影される。この視覚的な誘導により、オペレーターは作業員の直接的な補助なしに、極めて正確かつ迅速に鋼製支保工を建て込むことが可能となる。これは、熟練度に依存しない安定した施工品質を確保し、建設現場における作業の標準化と品質管理の向上に大きく貢献する。
労働安全衛生の観点から見ても、この新技術は極めて重要な意義を持つ。厚生労働省のデータによると、切羽作業で発生する労働災害の約4割を鋼製支保工の建て込み作業が占めるという深刻な現状が明らかになっている。新技術は、作業員が落盤などの危険に直接晒される切羽から遠隔地で作業を行えるようにすることで、これらの労働災害のリスクを大幅に低減し、作業員の安全を飛躍的に向上させることに貢献する。これは、建設業界全体が直面する労働力不足や高齢化といった課題に対し、安全かつ魅力的な労働環境を創出する上で不可欠な要素である。

従来の鋼製支保工設置作業と比較して、新技術ではいくつかの重要な作業が効率化または省略される。一つは、支保工天端部の連結ボルトにワンタッチ式継手ボルトが採用された点である。これにより、エレクター付き吹き付け機のオペレーターが遠隔から容易に連結作業を行えるようになり、高所での危険な作業や複雑な手作業が不要となる。また、支保工設置後、エレクターが支保工を把持した状態で脚部にコンクリートを吹き付けて固定するため、従来の継ぎ材設置作業が不要となる。これらの変更は、作業時間の短縮、材料コストの削減、そして全体的な工期の最適化に直接的に寄与し、プロジェクトの収益性向上にも貢献する。
この革新的なシステムである「3次元点群データを用いた鋼製支保工建込システム(離れte支保工)」の開発は、ニシオティーアンドエム(大阪府高槻市、北俊介社長)との緊密な協力体制のもとで実現されたものである。建設技術と機械技術、そして情報技術が高度に融合することで、従来の枠を超えた問題解決策が生まれ、建設業界全体の技術革新を加速させている。異業種間の連携が、現代の建設現場における新たな価値創造の鍵となることを示す好例である。
三井住友建設は、この新技術を単なる完成形とは捉えていない。今後は、開発された技術を実際の建設現場に積極的に適用していく方針である。そして、その過程で得られる支保工に関する多様なデータや現場の知見を継続的に収集・分析することで、技術のさらなる洗練と最適化を図る。最終的な目標は、鋼製支保工作業の全自動化に発展させることにある。これは、建設現場における人手不足問題の根本的な解消や、生産性の抜本的な向上に繋がる長期的なビジョンであり、建設業界全体の持続的発展に貢献するものである。
ナビゲーションモニターは、この新技術の中核を成す重要なインターフェースであり、オペレーターの「目」として機能する。360度カメラや3D点群データによって取得された、切羽掘削面、既設支保工、エレクターで移動する支保工の情報、そして目標設置位置といった膨大なデータを、オペレーターにリアルタイムで視覚的に提示する。この直感的かつ詳細な情報提供により、オペレーターは遠隔からでも正確かつ効率的に支保工の建て込み作業を進めることができ、熟練度に依存する作業品質のばらつきを抑え、常に高いレベルでの施工を可能にする。
まとめ
三井住友建設が開発した山岳トンネル鋼製支保工の新技術は、3D点群データとナビゲーションモニターを活用した遠隔操作システムによって、作業の省力化と安全性の飛躍的な向上を実現する画期的な取り組みである。切羽から離れた場所での一連作業完結、ワンタッチ式継手ボルトの採用、継ぎ材設置の省略などにより、労働災害のリスクを大幅に低減し、作業効率を改善する。今後、この技術は現場での適用を通じてデータを収集し、鋼製支保工作業の全自動化という究極の目標に向け、さらに発展していく。これは、建設現場の生産性と安全性を高め、業界全体の持続的な成長に貢献する、まさしく未来を拓く一歩となるだろう。
