ICT活用による建設現場の変革を加速する関東整備局の取り組み
関東整備局が設立した「インフラDX推進室」が発足から1年が経過し、建設産業におけるICT活用の支援策が充実してきています。
推進室の主要な目的は、情報通信技術(ICT)を活用した支援策を充実させ、建設産業が直面する構造的な課題、特に担い手確保に向けた対応を強化することにあります。
この取り組みは、地域の建設業にとって極めて重要であり、特に「ドップス(DOPS)」関連のペーパーレス化やドップス許可などの手続きの簡素化を推進し、現場の負担軽減を図っています。
また、DXへの関心を抱く技術者は1,150名に上り、整備局はセミナーなどの啓発活動を通じて、技術水準の底上げを目指します。
発足から2年目を迎えるにあたり、推進室は「担い手確保のオートメーション化」を新たなテーマに掲げ、ICT施工のさらなる普及と効率化、そして建設業者が抱える規制への懸念の払拭に注力する構えを見せています。
建設業の現場を支える皆様が抱える、DXやICT導入に関する具体的な疑問に対し、関東整備局の活動を基に回答を以下に提示いたします。

ミーテイングで今後の戦略を練る推進室のメンバー
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1: 関東整備局の「インフラDX推進室」は具体的にどのような組織で、どのような目標を掲げていますか?
関東整備局のインフラDX推進室は、2023年10月1日に新設された組織であり、当初12名体制(現在は16名体制に増員)で始動しました。
これに加えて、各部署には総勢150名の専任者がDX推進を担っています。
この推進室が掲げる主要な目標は、ICT活用を通じて建設産業の構造的な課題を解決し、特に地域インフラの維持・確保、そして「担い手確保」を組織的な課題として捉え、推進することです。
推進室の役割は多岐にわたり、ドップス関連の許認可手続きにおけるペーパーレス化や、ドップス許可申請を含む各種手続きの簡素化を具体的に進めています。
特にDX導入に際しては、建設業者が持つ「インフラDXへの貢献度合いは大きいのか」という疑問に対し、推進室は積極的に情報提供を行ない、建設業における働き方改革と生産性向上に資するDXの重要性を訴求しています。
発足後の1年間で、DXに関心を持つ技術者を対象としたセミナー開催などを実施し、技術水準の向上に寄与してきました。
Q2: 現場のICT活用を進める上での具体的なメリットや、整備局による支援体制はありますか?
ICT活用による具体的なメリットは、主に現場の作業時間削減と生産性の向上に直結します。
整備局は、ペーパーレス化を推進することで、現場での事務作業や図面管理にかかる時間を削減し、結果として勤務時間の改善を目指しています。
ドップス関連のオンライン化や簡素化も、この作業効率化の一環です。
支援体制としては、建設業者がICT施工に関する疑問や悩みを相談できる窓口として、「関東建設DX・担い手確保コンサルテーションセンター」を設置しています。
このセンターでは、広域連携のもとで建設業界の専門家が常駐し、ICT施工プランナーによる技術指導や、現場の課題解決に向けた具体的なアドバイスを提供。
さらに、ドップスに関する豊富なノウハウを持つ「ドップスアドバイザー」が、施工計画の策定やICT技術導入に関する具体的な助言を行ない、中小企業を含む建設業者の支援に当たっています。
また、時間や場所を選ばずにICT活用に関する知識を得られるよう、オンライン上には「インフラDX活用ガイド」が開設されています。これは、現場の技術者がいつでもアクセス可能で、ICT関連の様々な情報を集約したデータベースとして機能します。
Q3: DXと「担い手確保」はどのように関連づけられていますか?具体的な取り組みを教えてください。
関東整備局は、DX推進を「担い手確保」と不可分の課題として位置づけています。特に2年目以降の新たな取り組みとして、「担い手確保のオートメーション化」を重点テーマとして掲げています。
この「オートメーション化」とは、ICT技術を活用することで、これまで人手や時間が必要であった業務(施工計画の策定や申請手続きなど)を効率化し、建設技術者がより創造的で付加価値の高い業務に集中できる環境を整備することを目指すものです。
具体的には、2025年5月に「担い手確保のオートメーション化」を銘打ったポータルサイトがリリース予定とされています。これにより、情報の集約や手続きの効率化が一層進むと期待されます。
整備局は、ICTを活用した施工計画の策定や手続きの円滑化が進む一方で、これに伴う新たな規制への対応遅れが発生する可能性も認識しています。
そのため、整備局は浸透度の向上を目的として、様々な教育活動を実施。例えば、地域建設業向けの支援を強化するため、八つの事務所で「ドップス発注者セミナー」などを実施し、ICT活用の技術的な側面を普及させる取り組みを進めています。
これは、「ドップス活用が本当に担い手確保につながるのか」という現場の根源的な疑問に対し、具体的な成果と道筋を示すことを目的としています。

Q4: 中小企業がICT導入を検討する際、特にどのような点に注意し、整備局の支援をどう活用すべきでしょうか?
中小企業がICT導入を進めるにあたり、まず重要となるのは、「ドップス活用によって、どの程度の効率化や生産性向上を実現できたか」を客観的に把握し、目標を設定することです。
整備局は、この成果の可視化が今後の推進において不可欠であるとの認識を示しています。現場の技術者に対して、DX導入がもたらす具体的なメリットを定量的に示すことが、DXへの積極的な参加を促す鍵となります。
整備局の支援策を最大限に活用するには、「関東建設DX・担い手確保コンサルテーションセンター」の利用が有効です。このセンターでは、ICT施工プランナーやドップスアドバイザーから、個別の事情に応じた技術的なアドバイスやノウハウの提供を受けられます。
特に、ICT施工に関する技術的な課題や、ドップスを用いた工事の計画立案において、専門家の知見を活用することは、導入コストやリスクの低減に繋がります。
また、オンラインで公開されている「インフラDX活用ガイド」を活用し、時間や場所の制約を受けずに最新のDX関連情報や好事例を学ぶことも、中小企業にとって重要な学習機会となります。
DXは、単なるツールの導入ではなく、組織全体の意識改革とプロセス変更を伴う取り組みです。
地域建設業においては、インフラDXが特に重要視されており、この推進が地域の維持・確保に直結するとの認識を持つべきです。技術者一人ひとりが「レベルアップ」を図ることで、組織全体のDXに対する理解度を高められます。
まとめ
関東整備局のインフラDX推進室は、発足1年を経て、ICT活用を通じた建設業の生産性向上と担い手確保という二つの柱を強力に推進しています。
ドップス関連のペーパーレス化や手続き簡素化といった具体的な施策に加え、専門家によるコンサルテーションセンターを通じた技術支援を提供しています。
2年目以降は「担い手確保のオートメーション化」に重点を置き、更なる効率化を図り、建設業が抱える構造的な課題解決に貢献する方針です。
