九州整備局、UAV技術者育成の新組織を始動
国土交通省九州地方整備局および九州技術事務所は、ドローンをはじめとするi-Construction技術の普及と、それに必要な人材の育成を目的として、新たに「i-Construction推進本部」を立ち上げ、本格的な活動を開始しました。
この新組織の設立は、技術力の向上にもかかわらず、現場でUAV(無人航空機、ドローン)を操縦し、i-Constructionに必要な点群データなどの情報を取得できる技術者が不足しているという、建設業界の共通課題への対応策です。
推進本部は、技術者の確保と関連技術の普及を図るため、国家資格取得の支援も含め、必要なUAVの訓練を総括的に実施する方針を示しています。
この取り組みは、特に九州管内におけるUAV活用を強力に後押しし、地域建設業の生産性向上に資する重要な一手となります。
推進本部は26名体制で構成され、レーダーなどによる点群データを活用し、安全かつ確実に施工を進める技術を普及させることを目指します。
地域建設業の生産性向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の鍵を握るUAV技術者育成について、現場で働く人々が抱える具体的な疑問とその解決策を、九州整備局の取り組みから紐解きます。

飛行隊の隊員たち
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1: 新設された「i-Construction推進本部」は具体的にどのような役割を担うのか?
A: 推進本部の主な任務は、ドローンを含むi-Construction技術に必要な人材の確保と、その技術の普及促進に資する取り組みを実施することにあります。
具体的には、九州管内のUAV活用を後押しし、技術者育成を統括します。本部メンバーは「リーダーの育成をめざし、リスクを恐れることなく、安全かつ確実に成果を上げられるようにしてほしい」という方針を掲げています。
また、必要なドローンの操縦訓練を実施するだけでなく、国家資格取得への支援も含まれ、現場の即戦力を養成することを目指します。
特に重視しているのは、レーダーなどを用いて取得した点群データを適切に活用し、現場での測量や施工管理に生かすための技術教育です。
Q2: なぜ今、UAV技術者の育成がこれほど重要視されるのか?
A: これまで、i-Construction関連の技術自体は進化してきましたが、現場においてドローンを操縦できる技術者の絶対数が不足している状況が続いていました。
技術者が不足すると、起工測量や出来形管理といった重要なプロセスで、ドローンを活用した情報取得に手間と時間がかかり、結果的に建設現場全体の生産性向上を妨げるボトルネックとなっていました。
この課題を解消し、最新技術を現場の標準的な手法とするためには、技術を理解し、実際に運用できる人材の育成が不可欠なのです。推進本部の取り組みは、まさにこの技術と人材の間のギャップを埋めるためのものです。
Q3: どのような方法で技術習得や人材育成を進めているのか?
A: 推進本部は、「パイロットを育て、慣れてもらう」というコンセプトに基づき、実践的な訓練に重点を置いたプログラムを提供しています。
単なるドローンの操縦技術に留まらず、現場監督員とナビゲーター、さらに測量業者といった関係者間で連携を強化するための訓練が組み込まれています。
具体的な訓練コースは、点群データを活用するための座学と実機訓練を組み合わせたもので、約17時間、約10コースが用意されています。
これにより、現場の技術者が必要な測量技術とデータ活用能力を総合的に身につけられる仕組みが整えられています。

飛行隊ロゴマーク
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q4: 現場での技術習得を容易にするための独自の工夫はある
のか?
A: 現場での効率的な技術習得を可能にするため、持ち運びが容易な「訓練キット」が開発され、導入されています。
この訓練キットは、現場の状況に応じて柔軟に対応できるよう、簡易的なコースを設置するためのポールやロープなどが含まれたものです。
現場技術者は、このキットを利用することで、約15分という短時間で訓練コースの設置・撤去を行なうことが可能となり、業務の合間や現場の都合に合わせて効率良く訓練に取り組むことができます。
これにより、継続的な実地訓練を通じて、点群データの取得や活用技術を身につけやすくなっています。
この機動的な訓練環境の提供は、技術の普及と定着を加速させるうえで非常に効果的であると評価されています。
Q5: この取り組みは、地域の中小建設業にどのようなメリットをもたらすか?
A: 九州整備局によるこの人材育成と技術普及の取り組みは、起工測量や出来形管理にかかる技術、および取得した情報を活用する能力の現場への普及と定着を加速させることを最大の目標としています。
地域の中小建設業にとって、i-Constructionの導入は生産性向上に直結しますが、多くの場合、初期投資や人材育成の面で障壁が存在しました。
推進本部が提供する訓練や支援は、これらの障壁を低減させ、地域建設業全体のi-Construction推進を強力に後押しします。
技術習得が進むことで、業務効率が向上し、結果的にコストの最適化や競争力の維持・強化に繋がる大きなメリットを生み出すことが期待されます。
まとめ
九州地方整備局が立ち上げたi-Construction推進本部の活動は、建設業における技術導入の次の段階、すなわち「人材の育成と技術の定着」に焦点を当てた重要な施策です。
ドローン活用技術の習得は、もはや大規模工事に限られたものではなく、地域建設業が生産性を向上させ、持続的な成長を遂げるための必須条件となりつつあります。
