2024年度アスファルト合材統計年報データから読み取れること
日本アスファルト合材協会がまとめた2024年度のアスファルト合材需給データによると、都市部を中心とした一部地域において、アスファルトガラ(アスガラ)やコンクリートガラ(コンガラ)が大幅に滞留し、本来資源として活用されるべき再生材への利用が停滞する事態が発生している。
民間工事の施工が増加傾向にあるにもかかわらず、再生材の需要が不足しているため、再生資源化処理が困難となり、在庫の滞留が増大している状況にある。
特に、建設副産物処理業者や再生材利用業者は、このガラの滞留が引き起こす不適正処理のリスクや環境悪化の懸念に対し、強い危機感を示している。
再生材の需要と供給のバランスが崩れ、資源循環が円滑に進まないことは、持続可能な建設産業の基盤を揺るがす深刻な課題として認識される。
建設現場から排出されるガラの滞留は、単なる処理問題に留まらず、現場の業務運営そのものに直接的な影響を与え、生産性低下の要因となり得る。
ガラの滞留が特に顕著なのは、アスファルト合材の大消費地である一都三県などの都市圏であり、これらの地域ではガラの発生量と再生材利用量の間に大きなミスマッチが生じている。

再生路盤材の需給バランス(地区別)
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q1: 現在、建設現場の資源循環が滞っている主な原因は何か
最も大きな要因は、建設副産物のうちアスファルトガラ(アスガラ)の再生合材としての需要が都市部で低迷している点にある。
コンクリートがら(コンガラ)については概ね全量が処理・再生されているものの、アスガラが再生合材プラントで再利用される際、都市部での再生合材の利用が進まないため、プラント側の受け入れ能力が限界に達し、在庫が膨らむという構造的な問題が存在する。
再生材利用業者は、現在処理に窮しているガラの多くはアスガラであり、再生コンクリート材の処理は進んでいると指摘し、問題の核心が再生合材の需要不足にあることを強調している。
この結果、現場で発生したアスガラは、本来資源としてすぐに次のプロセスへ移行すべきものが、一時的に現場やストックヤードに「在庫」として留まり続けることになってしまう。
これが現場の貴重なスペースを圧迫し、資材や機材の配置計画を狂わせるため、全体の業務効率と生産性を著しく低下させる要因となる。

再生骨材の需給バランス(地区別)
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q2: ガラ滞留は現場管理や経営にどのようなリスクをもたらすか
ガラの滞留は、建設業を営む中小企業に対し、複数の経営リスクと業務リスクを突きつける。
第一に、処理コストの増大と工期遅延のリスクである。
処理委託先の確保が難しくなると、処理単価が上昇したり、排出タイミングの調整が複雑化したりする。
処理待ちのガラが現場に山積みになれば、他の作業スペースが狭まり、作業動線が混乱し、結果的に工期遅延を招きかねない。
第二に、排出者責任とコンプライアンスリスクの増大にある。
処理が滞る状況下では、安易な処理ルートや不適正処理へと流れる誘惑が生まれる可能性がある。
建設業者は排出者として、副産物の最終処分まで責任を負うため、不適正処理は法的な問題や行政指導、さらには企業の社会的信用(ブランディング)の毀損に直結する。
経営層は、このリスクを回避するために、排出者責任の観点から処理体制の厳格な再点検と適正化を急ぐ必要がある。
Q3: この問題に対し、業界全体でどのような業務改善や体制強化が進められているのか
建設業界の団体や関連機関は、資源循環の停滞という構造的な課題を打破するため、広域的な連携と需要創出に注力することで、業務プロセスの改善を図っている。
まずは、滞留ガラの広域利用体制の構築である。
ガラが大量に発生する都市圏と、再生材の需要は高いが原料が不足している地方や遠方の地域との間で、再生材を効率的かつ計画的に流通させるネットワークを整備することで、地域間の需給ミスマッチを解消し、資源循環の速度を上げることを目指す。
また、再生材の安定的な需要を創出するため、公共工事における再生材の優遇的かつ計画的な利用を強く推進する。
行政に対して、再生合材や再生路盤材を公共工事で優先的に使用するための制度設計や、発注者側での利用目標の設定を要望することで、市場における再生材の地位を確立し、現場での利用を後押しする。
これにより、再生材の品質と環境への貢献度に対する社会的な認知度と信頼を高める効果も期待できる。
建設現場従事者がすぐに実行すべき業務改善と資源循環の促進策
この課題は、現場の監督者や職人の皆様の日常的な行動と、経営層の戦略的な意思決定が連携することで初めて解決に向かう。
現場従事者が業務効率とコンプライアンスを両立するために取るべき具体的な行動指針は以下の通り。
1. 再生材利用への積極的な意識改革と提言:
現場監督は、新設や改修工事の設計段階や発注元との協議において、再生アスファルト合材や再生路盤材の利用を積極的に検討し、環境配慮型施工として提言する姿勢をもつべきである。
再生材の利用拡大は、滞留問題解消に貢献するだけでなく、企業の環境配慮への貢献を明確に示すことになり、結果的に企業のブランディングや競争力強化に繋がる。
2. 排出ルートの徹底的な情報収集と計画化:
ガラの排出計画は、もはや単なる処理委託先の選定に留まらず、広域的な資源の流れや、処理業者の受入能力の逼迫状況を把握し、リスクを分散する視点が必要である。
特に、都市部で処理困難が続く場合は、広域ネットワークの情報を収集し、排出先や処理ルートの多様化を常に模索することが、現場の滞留を防ぐうえで不可欠である。
3. 現場における分別・保管の最適化:
再生資源化事業者が求める品質基準を満たすためには、現場での分別を徹底し、異物の混入を防ぐことが重要である。
また、処理待ちのガラの一時保管エリアを明確に定め、他の資材置場や作業動線への影響を最小限に抑えるレイアウトを確保することで、現場の生産性を維持しなければならない。
4. 排出者責任に基づく厳格な記録管理:
ガラの滞留問題が深刻化する状況下では、コンプライアンス違反のリスクが増すため、排出者責任を果たすための記録管理を徹底すべきである。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の確実な運用はもちろん、排出記録や処理委託先の適格性に関する文書を厳格に保持し、法的な監査に対応できる体制を堅持する必要がある。
建設産業が持続可能な資源循環を実現し、業務効率を向上させるためには、現場を支える皆様一人ひとりが、建設副産物を「廃棄物」ではなく「次に利用すべき資源」として捉え直し、その適正な処理と活用を積極的に選択することが求められる。
この意識と行動の積み重ねが、業界全体の構造的な問題を解決するための礎となる。
まとめ
都市部におけるアスファルトガラの滞留問題は、再生合材需要の不足という構造的な課題から生じており、現場の業務効率と経営のコンプライアンス体制に大きな影響を及ぼす。
業界全体で広域利用の推進や公共工事での需要創出が進められるなかで、中小建設業の皆様は、再生材の積極的な利用を選択し、適正な処理計画と厳格な記録管理を徹底することで、事業の安定性と環境貢献を両立させるべきであろう。
これは、現代の建設業に課せられた重要な業務改善テーマといえるだろう。
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