測距3.8倍・密度8.3倍の衝撃!樹木の下も電線も鮮明に捉える新型LiDARの革新

KDDIら新型LiDAR公開、測距範囲3.8倍・密度8.3倍へ進化

KDDIスマートドローン株式会社と株式会社システムファイブは15日、東京都板橋区にあるKDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校において、ドローン搭載型の新型LiDAR(ライダー)システム「DJI Zenmuse L3」のデモンストレーションを開催した。この新型機は中国のドローン最大手DJI製であり、2025年12月から出荷されている。

特筆すべきは、従来モデルであるL2と比較して測距範囲が約3.8倍に拡大し、最大点群密度も約8.3倍に向上している点である。デモ飛行では、これらの強化された性能に加え、地形の読み取り能力の向上や、計測データをリアルタイムで確認できる機能などが紹介された。
本稿では、公開された情報をもとに、この新技術が建設・土木の現場にどのような変革をもたらすのか、現場従事者が抱くであろう疑問に答える形式で詳細を解説する。


※画像はイメージです。

 Q1:測距範囲と点群密度の向上は、現場業務に具体的にどう影響するのか?

建設現場や測量業務において、ドローンによるレーザー測量は既に一般的なものとなりつつあるが、今回の「Zenmuse L3」で示された数値の向上は、実務効率を劇的に変化させる可能性を秘めている。
まず、測距範囲が従来の約3.8倍に拡大したという事実は、一度の飛行で計測できるエリアが大幅に広がることを意味する。広大な造成地や山間部の現場において、従来であれば複数回の飛行や、ドローンの発着場所(対空標識の設置箇所など)を移動させて計測を行なう必要があったエリアでも、より少ないフライト数でデータを取得可能となる。これは、バッテリー交換の手間や移動時間を削減し、外業(現場作業)の時間を短縮することに直結する。

次に、最大点群密度が約8.3倍になった点については、成果物の「質」に関わる重要な進化である。点群密度が高まるということは、対象物をより詳細に、かつ高精細に3Dデータ化できることを指す。これまで地形の起伏を捉えることが主眼であった測量業務において、構造物の詳細な形状や、複雑な現況を正確に3Dモデルとして生成することが可能となる。これにより、単なる土量計算や縦横断図の作成だけでなく、構造物の維持管理や点検業務、あるいはBIM/CIMへのデータ活用においても、より信頼性の高い基礎データを提供できるようになるだろう。

 Q2:山間部や森林地帯での測量精度は改善されるのか?

日本の建設現場、特に砂防ダム建設や治山工事、道路開設工事などにおいては、樹木が生い茂る場所での地表面データの取得が常に課題となる。航空写真測量では樹木の下が見えず、レーザー測量であっても植生が密であれば地盤までレーザーが届かないケースがあった。
この課題に対し、新型機では「マルチリターン」の能力が大幅に強化されている。1回のレーザー照射で返ってくる反射波を読み取る能力が、従来の5回から16回へと引き上げられたのである。これは、レーザーが葉や枝の隙間をすり抜け、最終的に地面に到達して反射してくる確率が格段に高まったことを示唆する。

樹木の透過率が高まることで、伐採前の調査段階であっても、林野部の地表面データをより鮮明に得ることが可能となる。従来、植生除去(フィルタリング)処理の過程でデータが欠損し、補間作業に時間を費やしていた技術者にとって、元データの時点で地表面を捉えられていることは大きなアドバンテージとなる。
現場監督や設計担当者は、より正確な現況地形に基づいた施工計画を立案できるようになり、工事着手後の「図面と現況が合わない」というトラブルの抑制にも寄与するはずだ。

 Q3:インフラ点検や安全対策への活用は可能か?

今回のデモンストレーションで注目されたもう一つの機能進化が、細い線状の物体の検知能力である。レーザー発振の密度が向上した結果、これまで捉えることが難しかった送電線などのワイヤ状の物体も明確に捉えられるようになった。

さらに、電線に沿って飛行するフォロー機能も搭載されており、送電線やケーブルの点検業務における自動化・省力化が期待される。建設業においても、クレーン作業や重機稼働時における架空線の位置把握は安全管理上の最重要項目の一つである。事前にLiDARで現場上空の架空線を正確に3Dデータ化し、その位置情報を現場全体で共有することで、接触事故のリスクを低減させる安全対策ツールとしての活用も考えられる。

また、この機体はDJIのドローン「Matrice 400」と組み合わせて使用するとされている。産業用ドローンとして堅牢なプラットフォームと組み合わせることで、強風時や悪条件下での安定性も確保され、現場での運用における信頼性は高いといえる。


新型「L3」は5cm程度の細いワイヤーでも300m先から取得可能(デモ会の資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

 Q4:現場でのデータ確認作業はどのように変わるのか?

測量現場における「手戻り」は、コストとスケジュールの両面で痛手となる。ドローンを着陸させ、事務所に戻ってデータを解析してみたら、必要な箇所が計測できていなかった、あるいはデータにノイズが多かった、という事態は避けなければならない。

「Zenmuse L3」の大きな特徴として、操縦者が計測データをリアルタイムで確認できる機能が挙げられる。プロポ(送信機)の画面上で、取得中の点群データが即座に可視化されるため、現場監督やオペレーターはその場で計測漏れがないかを判断できる。もし不足があれば、その場ですぐに追加飛行を行なえばよい。

この即時性は、工期が逼迫している現場や、アクセスが困難で再訪問が容易ではない現場において、極めて高い価値をもつ。中小規模の建設会社にとっても、確実な成果品を一度の現場入りで持ち帰ることができるため、移動経費や人件費の削減など、経営的なメリットも享受できる機能であるといえる。

 まとめ

今回公開された新型LiDARは、単なるスペックの向上にとどまらず、現場が抱える「植生下の地形把握」「微細な構造物の検知」「手戻りの防止」という実務的な課題に対する回答を示している。
測距範囲の拡大と点群密度の向上は、測量から点検、3Dモデリングまで、建設業におけるドローン活用の幅をさらに広げることになるだろう。
最新技術への投資は、人手不足が深刻化する建設業界において、生産性向上と安全確保を両立させるための重要な経営判断となる。

 

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