「足場なし・継ぎ作業なし」を実現:法面工事を変えるライト工業の新・削孔技術
ライト工業株式会社(東京都千代田区)は、法面(のりめん)工事などの現場において、安全性と生産性を飛躍的に向上させる新たな削孔技術「二重管施工対応型リモートスカイドリル」を開発した。
本技術は、同社が保有するICT削孔システム「リモートスカイドリル」を基盤とし、最大5メートルまでの長尺削孔ツールス(掘削器具)を搭載可能にしたものである。
従来、1.5メートル程度のツールスを人手で継ぎ足しながら行なっていた作業を、長尺化によって一回で施工可能とすることで、継ぎ作業自体を不要にした点が最大の特徴だ。
これにより、作業員の挟まれ事故などの労働災害リスクを排除するとともに、クレーンによる吊り下げ設置方式を採用することで、法面上への仮設足場の設置も省略可能とした。
2025年10月から約1.5カ月間にわたる現場導入検証では、仮設足場工や削孔補助作業の削減により、工期を約25%短縮する効果が確認されている。
さらに、ICTを活用した遠隔管理機能も強化され、現場業務の効率化に貢献する技術として注目を集めている。
建設業界、特に法面工事や地盤改良工事の現場において、作業の効率化と安全確保は長年の課題である。
今回ライト工業が開発した技術は、現場のどのような悩みを解決し、具体的にどういったメリットをもたらすのか。
現場監督や施工管理者が抱くであろう疑問に対し、公表された事実に基づき解説する。

二重管施工対応型リモートスカイドリルでの施工状況
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q.なぜ「長尺対応」が安全性向上に直結するのか?
A.人手による「切り継ぎ作業」を物理的にゼロにできるためである。
従来の一般的な削孔作業では、使用する削孔ツールスの長さは1.5メートル程度が標準であった。そのため、所定の深さまで掘削するためには、掘削の進行に合わせて新しいロッドを継ぎ足し、引き抜く際にもそれを取り外すという「切り継ぎ作業」が不可欠であった。
この切り継ぎ作業は、重量物を扱うだけでなく、回転する機械部分に手が触れるリスクと常に隣り合わせである。特に、ロッドの接続部で指や手を挟まれる、あるいは作業服が巻き込まれるといった労働災害が発生しやすい工程であったといえる。
今回開発された技術では、最大5メートルまでのツールスを搭載可能としたことで、多くの現場において継ぎ足しなしでの施工が可能となる。人手が介在する頻度が高い危険作業そのものをプロセスから排除したことは、安全管理上、極めて大きな意義をもつ。本技術の導入により、切り継ぎ時の挟まれ・巻き込まれ事故を根絶できる見込みだ。
Q.工期25%短縮という数字の根拠はどこにあるのか?
A.「作業の連続性」と「仮設工の省略」という二つの要因によるものである。
まず、前述した切り継ぎ作業の廃止が直接的な作業時間の短縮につながる。機械を止めて人手でロッドを接続するロスタイムがなくなるため、実掘削時間(稼働率)が向上するからだ。
しかし、それ以上に大きな要因として挙げられるのが「仮設足場の省略」である。本技術は、クレーンでドリルユニットを吊り下げ、法面上に直接設置して施工を行なう方式を採用している。従来、法面での削孔作業を行なうには、ドリリングマシンを安定させるための堅固な仮設足場を組む必要があった。この足場の設置と撤去には多大な労力と日数を要する。
ライト工業が実施した現場検証では、この仮設足場工の省略と、削孔補助作業の削減を合わせることで、トータルの工期を約25%短縮できる効果を確認している。工期短縮は、人件費や機材リース費の削減に直結するため、コスト競争力の強化にも寄与する要素である。
Q.ICT機能の強化とは具体的にどのようなものか?
A.計測作業の遠隔化とデータ整理の自動化である。
ハード面での進化に加え、ソフト面での効率化も同時に進められている。同社のICT削孔管理システムには、新たにリモート機能が追加された。
従来、削孔データの計測や確認は、機械のそばや現地で行なう必要があったが、新システムではこれを遠隔化できる。危険な法面や騒音の大きい機械の近くに管理者が立ち入る必要がなくなり、安全な場所から施工状況をモニタリングできる点は大きなメリットだ。
さらに、施工データはパソコンに自動的に保存される仕組みとなっており、現場作業終了後に事務所で行なっていたデータ整理や帳票作成の時間を大幅に削減できる効果も見込まれている。現場監督の長時間労働の一因となっている事務作業の負担軽減につながる機能といえる。
このリモート機能についても2025年10月から約3カ月間現場導入され、現場からの評価は高いという。

リモート機能を追加したICT削孔管理システム
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q.今後の展開や適用範囲はどうなるのか?
A.増台による普及と、都市土木への転用が計画されている。
今回の現場導入実績を踏まえ、ライト工業では来年度以降、機材の増台を視野に入れた検討を進めている。利用可能な現場が増えれば、業界全体の施工効率向上に寄与するだろう。
また、適用範囲については、法面工事だけにとどまらない。品質管理の高度化を目的として、都市土木工事への転用も予定されている。都市部の工事は用地が狭く、工期短縮や騒音・振動への配慮、厳格な安全管理が求められるため、仮設足場不要で安全性の高い本技術の需要は高いと考えられる。
まとめ
ライト工業の新技術「二重管施工対応型リモートスカイドリル」は、単なる機械の大型化ではない。現場作業の中で最もリスクの高い「人の手による介在」を減らし、安全性を確保しながら生産性を向上させるという、建設業が目指すべき「働き方改革」を具現化した技術といえる。
「5メートルの長尺化による継ぎ作業廃止」「クレーン吊り下げによる足場不要化」「ICTによる遠隔管理」という三つの柱は、それぞれが現場の安全性、コスト、時間管理に直接的なメリットをもたらす。特に工期25%短縮という成果は、人手不足が深刻化する建設業界において、限られた人員で現場を回すための強力な解決策となり得る。
今後は法面工事のみならず都市土木への展開も予定されており、より多くの現場でこの技術が標準化していくことが期待される。
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