竹中工務店がAI生物監視システム開発:緑地認証取得を支援

生物多様性対応を経営価値に変えるAI活用のヒント

竹中工務店は、人工知能(AI)の画像処理技術とモノのインターネット(IoT)技術を組み合わせた「生物自動モニタリングシステム」を開発した。このシステムは、人工の水盤と監視カメラを設置することで、対象エリアに飛来・生息する鳥類などの生物を自動で識別し、データを蓄積する仕組みをもつ。

北海道大学との共同研究により開発された本システムは「いきものアイ」と呼称され、生物多様性への配慮が求められる昨今の建設・不動産業界において、緑地の第三者認証取得(ABINC認証やSEGESなど)を支援する目的がある。環境情報の開示を求める国際的な枠組みであるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の普及に伴い、デベロッパーなどの建築主からのニーズが高まっていることに対応したものだ。


機器の外観(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

Q. 具体的にどのような仕組みで生物を特定するのか?

今回開発されたシステムは、水場に集まる野生動物の習性を巧みに利用している点が最大の特徴だ。緑地内に設置された人工の水盤に対し、通年かつ24時間連続で稼働するカメラが映像を記録する。撮影された映像はAIによって画像処理され、鳥類の種類を特定し記録として保存される。さらに、IoT技術を活用することで、高精度な識別が可能となるだけでなく、水盤を利用する生物を検知した際には即座に動画配信を行なう機能も備えている。

実証実験では、兵庫県川西市の研修所で48種類、東京都千代田区の都市部広場でも14種類の鳥類を確認しており、その識別精度は実用段階にあるといえる。現時点では42種類の鳥類観測に対応しているが、年内には鳥類を60種類、哺乳類を15種類まで識別対象を拡大する計画が進められている。


システムのモニター画面(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

Q. 従来の手法と比較して、どのようなコストメリットがあるのか?

これまで、緑地の生物調査やモニタリングは専門家による目視点検が主流であった。しかし、専門家による調査はコストが高額になりやすく、観測期間も年に数日程度に限定されるという課題があった。また、対象となる生物が出現するタイミングと調査時期が必ずしも一致しないため、正確な生息実態を把握しきれないケースも散見された。

対して本システムでは、カメラによる常時監視が可能となるため、膨大なデータを自動的に蓄積することができる。これにより、従来の手法では捉えきれなかった生物の飛来も漏らさず記録できるため、確実な実態情報を提供できる点が大きな強みだ。
人件費のかかる専門家の出向回数を減らしつつ、データの質と量を向上させることができるため、認証取得や維持にかかるコストの最適化が期待できる。

Q. 建設現場や不動産開発において、なぜ今「生物監視」が必要なのか?

近年、都市開発や建設プロジェクトにおいて、生物多様性への配慮は避けて通れない課題となっている。特に、商業施設やマンション開発などの大規模プロジェクトでは、敷地内の緑地が環境に配慮されていることを証明する「第三者認証」の取得が、不動産価値そのものを高める手法として注目されている。

竹中工務店が開発したこのシステムは、デベロッパーなどの建築主が認証申請を行なう際に必要となる「生物データ」を自動で収集・蓄積することで、認証取得のハードルを下げる役割を果たす。景観を損なわない緑地であれば、一つの水盤とカメラのセットで約1万平方メートル(1ヘクタール)の範囲まで鳥類を観測できる見通しであり、広範囲の緑地管理を効率化できる点も魅力だ。

Q. 今後の展開や、現場での活用シーンは?

本システムは、単なるデータ収集ツールにとどまらない可能性を秘めている。目視では確認が難しい希少な鳥類や、夜行性の動物などの映像が鮮明に記録されるため、これらの映像を環境教育の教材として活用することも想定されている。

建設後の維持管理フェーズにおいて、住民や施設利用者に地域の生態系を伝えるコンテンツとして利用できれば、物件の付加価値向上にも寄与するだろう。
竹中工務店は、メーカーの意向も踏まえつつ、年内に5件程度の事業展開を目指している。また、28~30日まで開催されている「グリーンインフラ産業展」にて実機を展示し、業界内での認知拡大と導入促進を図る構えだ。

まとめ

竹中工務店が開発した「いきものアイ」は、建設業界における環境配慮の在り方をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって変革するツールといえる。人手不足が叫ばれるなか、専門的な生物調査をAIとIoTに代替させることは、業務効率化のみならず、データの客観性と信頼性を高めるうえでも極めて有効な手段だ。

TNFDのような国際基準への対応が企業の評価を左右する時代において、こうした「見えない価値」を可視化する技術は、今後の建設・不動産プロジェクトにおいて標準的な装備となっていく可能性があるだろう。

 

無料で求人募集や協力会社の募集ができる、建設業向けマッチングサイト『建設円陣』はコチラ↓(バナーをクリック!)

LINEでお友達登録
>建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設円陣は、建設業界に特化したマッチング&求人アプリです。協力会社や職人とのマッチングはもちろん、求人掲載や採用活動にも対応。条件を入力するだけで最適な人材・企業が見つかり、AIによる募集文生成機能も搭載。発注・受注から採用まで、業界の課題をスマートに解決します。

CTR IMG
建設業特化求人サイト【円陣求人サイトへ】

建設業特化求人サイト【円陣求人サイト】

建設円陣求人サイトは建設業界に特化した求人サイトです。ログイン・投稿・応募確認まで、すべてがLINE上で完結。求人応募は登録作業一切なし。 フォーム入力だけで応募が完了し、求人掲載も無料です。業界が抱える人材不足の問題を、スマートに解決します。

CTR IMG