静岡ら10県知事が連携し「交通空白」解消へ始動:データ活用と新交通戦略

「交通空白」解消へ、10県知事による広域連携が始動

公共交通機関の維持が困難な地域、いわゆる「交通空白」の解消を目指し、新たな広域連携が動き出した。静岡県の鈴木康友知事をはじめとする10県の知事で構成される「有志の知事によるデータを活用した『交通空白』解消を目指す研究会」が28日に発足したのである。
この研究会は、バスや鉄道といった従来の交通手段が乏しい地域に対し、データに基づいた政策を迅速に展開することを目的としている。中部圏を中心とした富山、石川、山梨、長野、岐阜、愛知、滋賀、岡山、三重、そして静岡の各県が参加し、地域交通の司令塔である行政と関係機関が連携・協力する体制を整えた。

特筆すべきは、これまで経験や勘に頼りがちだった交通政策に対し、客観的なデータを可視化・活用する手法を導入する点だ。鈴木知事と三重県の一見勝之知事が2025年10月の中部圏知事会議で提案したことがきっかけとなり、これに賛同した各県が集結した形となる。また、シンクタンクとして全国自治体ライドシェア連絡協議会が参画するほか、国土交通省や地方運輸局もオブザーバーとして参加しており、国と地方が一体となって地域住民の「移動の確保」という重要課題に取り組む姿勢が鮮明となった。初会合では鈴木知事が会長に、一見知事が副会長に就任し、具体的な議論がスタートしている。


静岡県庁でリモート形式で行なわれた第1回研究会
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

なぜ今、広域での連携が必要とされるのか

建設業に従事する読者であれば、現場への移動や資材運搬において、地方部の交通インフラの脆弱さを肌で感じていることだろう。鈴木知事が強調するように、交通空白地域における住民の移動手段確保は喫緊かつ重要なテーマである。しかし、単独の自治体だけでは、予算やノウハウの不足により抜本的な解決策を講じることが難しいのが実情だ。特に、オンデマンド交通や公共ライドシェアといった新しい移動手段が登場する中で、これらをいかに効率的かつ有効に社会実装していくかが問われている。

これまで地方自治体では、適切なデータに基づく迅速な企画・立案が困難なケースが多かった。一見知事が紹介した三重県内のアンケート結果でも、データ活用の重要性は認識されつつも、予算不足や分析人材の不在が浮き彫りになっている。こうした背景から、10県という広域で連携し、知見や好事例を共有・横展開することで、個々の自治体の限界を突破しようというのが本研究会の狙いである。

「データ活用」がもたらす地域インフラの変化とは

本研究会の核心は、徹底したデータ活用にある。従来の「道路を造ってバスを走らせる」というハード整備主体の考え方から、人の動きや需要をデータで把握し、最適な移動手段を提供するソフト重視の施策への転換を意味している。鈴木知事は、国の法改正の動きも視野に入れつつ、客観的なデータを活用した迅速な施策展開を目指すと述べている。

建設業界の視点でみれば、これは「まちづくり」の前提条件が変わることを示唆している。地域交通の再編は、駅周辺の再開発や道路網の整備計画にも直結するからだ。また、オンデマンド交通の拠点は、既存の公共施設や商業施設に併設されることも多く、小規模な改修工事や停留所の新設といった需要も喚起される可能性がある。

さらに、国土交通省の池光崇公共交通政策審議官が「自治体のノウハウを共有し、最善の手法をいち早く展開することが重要」と述べているように、成功事例は急速に全国へ波及するだろう。建設企業としても、こうした行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)新交通システムの導入動向を注視し、提案型営業につなげていく姿勢が求められる。


※画像はイメージです。

今後のロードマップと建設業界への影響

研究会の今後の動きは具体的かつスピーディーだ。2月には各県の担当者で構成する幹事会を開催し、取り組むべきテーマを選考する予定である。その後、年末に開催予定の第2回研究会で途中成果を発表し、次年度の方針をまとめる計画となっている。最終的には2027年末までの活動を通してこれまでの取り組みを総括し、次段階の構想へとつなげる方針だ。

このタイムラインは、地方自治体の予算編成や公共事業の計画策定サイクルと密接に関動する。データに基づいた政策立案が進めば、交通インフラに関連する公共工事の発注内容や優先順位にも変化が生じる可能性がある。例えば、大型バスが通るための道路拡幅よりも、小型モビリティが安全に走行できる路側帯の整備や、AIオンデマンド交通の乗降ポイントとなる広場の整備などが優先されるかもしれない。地域に根差す建設企業にとって、こうした政策の変化をいち早く捉えることは、事業戦略を練る上で不可欠である。

一見知事が「今後はデータを基にした政策を立案し、取り組みを全国に広めたい」と意気込むように、この動きは中部圏にとどまらず、全国的なスタンダードになる可能性を秘めている。人手不足が深刻化するなか、効率的な移動手段の確保は、建設現場で働く職人の通勤環境改善や、協力会社との連携強化にも資する重要な要素だ。交通空白の解消は、単なる住民サービスにとどまらず、地域産業の持続可能性を支える基盤整備そのものであるといえる。

まとめ

静岡県ら10県による研究会の発足は、データと広域連携を武器に、地方の交通課題に挑む画期的な試みである。
従来の枠組みを超えたこの取り組みは、地域の移動手段を確保するだけでなく、今後のインフラ整備やまちづくりのあり方にも大きな影響を与えるだろう。

 

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