切羽を“見える化”―シールド工事の安全性を変える新技術
鉄建建設は、シールドトンネル工事において、切羽の状態を可視化する新たな技術を開発しました。この技術は、超音波ソナーの情報を解析することで、掘削中の泥土の性状変化を的確かつ即時に把握するものです。
データを根拠にして切羽の安全性を判断するため、地質変化が激しい場所への導入により、シールド工事の安全性を高めるとともに、作業全体の生産性向上にもつながります。地下という不可視領域で行なわれる工事において、内部状況をリアルタイムで把握できる本技術は、建設業界の安全管理に大きな変革をもたらす可能性があります。

計測概要(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
【よくある質問1】従来のシールド工事にはどのような課題があったのか?
シールド工事は地下深くで進行するため、掘削の最前線である切羽を直接目視することが極めて困難です。そのため、地質の急変や障害物に遭遇した際、対応が遅れるリスクが常に伴います。土質の変化を正確に把握できない場合、掘削面の崩落やそれに伴う地盤沈下といった事故を引き起こす恐れがあります。
これまでは、排出土砂の確認やシールド機の推進データから間接的に状況を推測する手法が主流でした。しかし、この推測には経験が必要であり、即時性に欠ける課題が存在しました。鉄建建設が新たに開発した可視化技術は、こうした従来の「見えないリスク」を根本から解決するための画期的なアプローチとして、広く注目を集めています。
【よくある質問2】超音波ソナーを用いた音速解析の具体的な仕組みは?
本技術の中核を担うのは、超音波ソナーを活用した音速解析です。具体的には、シールド機の隔壁部分に設置されたソナーから、チャンバー内部に向けて超音波を照射します。
照射された超音波は、回転するカッタースポーク(面板)で反射し、再びソナーに戻ります。この超音波が発射されてから反射して戻るまでの到達時間を計測することで、チャンバー内の掘削泥土の性状を「音速」という客観的なデータとして数値化します。泥土中を音が伝わる速度の変化を読み取り、目視できない空間の状況をリアルタイムに把握する画期的な仕組みです。
【よくある質問3】音速の違いからどのように土質を判定するのか?
音速と土質の関係性に着目した点が、この技術の最大の特長です。砂やれきといった粗粒土と、シルトなどの細粒土とでは、超音波の到達時間に明確な差が生じます。
また、円滑な掘削のために投入される添加材の量が増加すると、音速は低下するという特性も確認されています。こうした土質特性と音速の相関関係を利用し、収集したデータを専用プログラムで自動解析します。この自動化プロセスにより、人間の感覚や経験に頼ることなく、現在の土質でシールド機が安全に掘進を継続できるかどうかを瞬時に判定することが可能となります。

※画像はイメージです。
【よくある質問4】現場の生産性と安全性にどのような影響をもたらすか?
音速解析による即時判定は、現場の安全性向上に直結します。地盤の急変を早期に察知することで、掘削速度の調整や添加材の最適配合など、迅速な対応策を講じることが可能です。これにより、土質変化に起因する切羽の崩壊リスクなどを未然に防ぎ、被害を最小限に抑えます。
さらに、安全性だけでなく生産性向上にも大きく寄与します。不要な掘削停止や手戻り作業を防ぐため、工期の厳守やコスト最適化が実現します。客観的データに基づいた判断は、現場監督や職人の心理的負担を軽減し、より確実な工程管理を可能にするため、業界全体の課題解決にも貢献する技術といえます。
【よくある質問5】今後の技術展開と建設業界への波及効果は?
鉄建建設は、今回の超音波ソナーによる可視化技術を単独で用いるだけでなく、自社で保有する「シールド周辺地山のリアルタイム監視システム」など、他の先端技術と連携させる計画を明言しています。これにより、シールド工事全体の生産性向上と安全対策の強化をさらに高い次元で推進します。
今後は、音速という指標だけでなく、超音波の波形や減衰率などの出力情報にも着目し、チャンバー内部の可視化精度をより一層高めていく方針です。大手ゼネコンによる技術開発は、長期的には中小企業にも波及し、業界の安全基準を押し上げるでしょう。
まとめ
鉄建建設が開発したシールド工事の可視化技術は、超音波ソナーの音速解析という革新的なアプローチで、地下工事特有の「見えないリスク」を排除するものです。客観的なデータに基づく迅速な安全判定は、重大事故を未然に防ぐだけでなく、工期の安定化やコスト削減といった生産性の向上にも直結します。
今後のさらなる精度向上と他システムとの連携により、過酷な現場環境の改善が大きく前進するでしょう。このような先端技術の進化と普及が、これからの建設現場で働くすべての人々の安全を守る強固な基盤となることが強く望まれます。
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