道路トンネルの設計・施工に大きな転換点が訪れます。
国土交通省は、道路トンネル技術基準に「性能規定」を新設し、2026年度に改定する方針を示しました。社会資本整備審議会道路分科会の道路技術小委員会で改定案がおおむね了承され、今後、解説書などの整備を経て本格運用が検討されます。
今回の改定は、単なる条文変更ではありません。特に中小建設業にとっては、「これからの受注力」「技術提案力」「新工法導入のしやすさ」に直結する大きなテーマです。
本記事では、現場目線・経営目線の両方から、今回の改定ポイントと実務への影響をわかりやすく整理します。📘✨
🔍 性能規定とは何か?仕様規定との違い
これまでの基準は、いわば「やり方を細かく決める仕様規定型」でした。たとえば覆工コンクリートは現場打設が前提とされるなど、施工方法が事実上固定されやすい構造でした。
しかし今回導入される性能規定では、「どうやるか」ではなく「どの性能を満たすか」が重視されます。
具体的には以下の3区分が示されています。
✅ 基本性能
安全性・使用性・復旧性の観点から、設計条件に対して必要な状態を確保すること。
✅ 耐久性能
設計供用期間100年を想定し、材料劣化が基本性能に影響しないこと。
✅ その他の性能
トンネルの安全性・復旧性など、重要度に応じて設定。
特に重要なのが「限界状態」の定義です。所定の設計状況で限界状態を超えないことが求められます。つまり、「形」ではなく「結果責任型」の基準へと変わるのです。⚖️

※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
🛠 新工法・プレキャスト化が追い風に
今回の改定で大きな意味をもつのが、新技術・新工法の導入促進です。従来は現場打設を前提としていたため、プレキャスト覆工などの新工法は導入ハードルが高い面がありました。
しかし性能規定化により、
・安全性が担保できる
・耐久性を証明できる
・施工品質が安定する
これらが示せれば、新工法の採用余地が広がります。これは中小企業にとってチャンスです。✨特定分野に強みをもつ企業や、プレキャスト製品メーカーと連携できる会社は、技術提案型の入札で優位に立てる可能性があります。
「うちは小さいから無理」ではなく、「小回りが利くからこそ対応できる」という発想転換が必要です。💡
📂 情報の記録・保管が“評価資産”になる時代
今回の改定では、調査・計画・設計・施工の各段階で得られる情報の記録・保管が求められます。
✅覆工背面の地質情報
✅施工当時の条件
✅材料データ
✅維持管理履歴
これらを体系的に残すことで、将来の性能評価精度が向上します。これは単なる書類仕事ではありません。
📌 データを持つ会社が評価される時代
📌 維持管理案件で差がつく
📌 官民連携案件で信頼を得やすい
つまり、「記録」は未来の受注資産になります。クラウド型施工管理ツールの活用や写真整理アプリの導入など、IT活用は避けて通れません。📱💻
🌏 能登半島地震の教訓と立地選定の明確化
今回の見直しには、能登半島地震の教訓も反映されています。計画段階で地山条件や坑口部の状況を適切に考慮すること、トンネル位置を適切に選定することが明記されます。つまり、施工段階だけでなく「計画段階からの視点」が重要になります。
中小建設業でも、
・地質リスクへの理解
・地盤改良技術の提案
・災害復旧対応力の強化
こうした知識・経験が大きな武器になります。
災害が多発する日本において、復旧性を意識した設計思想は今後さらに重視されるでしょう。⚠️

※画像はイメージです。
📈 中小建設業が今から備えるべき3つの行動
① 性能で語れる体制づくり
自社の施工品質を数値・データで説明できる準備を。
② 新技術へのアンテナを張る
プレキャスト、ICT施工、省力化技術などを積極的に学ぶ。
③ 情報管理のDX化
紙保存からデータ活用へ。検索できる状態にしておく。
性能規定時代は、「技術を説明できる会社」が勝ちます。🏆
まとめ
道路トンネル技術基準の性能規定化は、単なる法改正ではなく、建設業の評価軸が変わるサインです。中小企業にとっても、技術提案力・情報管理力・新工法対応力が問われる時代が本格化します。今から備えることが、2026年度以降の受注力を左右するでしょう。
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