近年、日本各地で大きな地震が発生するなか、建設業界では「災害に強い建物づくり」がこれまで以上に重要視されています。🏗️耐震・制震・免震といった技術はすでに広く知られていますが、実際の揺れや建物の被害を「体験」できる機会はほとんどありませんでした。
そんななか、大手設計会社の日建設計が、地震の揺れや建物被害を体験できる新しい拠点を開設し、建設業界から注目を集めています。👀この取り組みは、今後の建物設計や防災対策に大きなヒントを与える可能性があります。
この記事では、建設業の現場で働く方や中小企業の経営者の方に向けて、地震レジリエンスの最新動向と、現場・経営にどう活かせるのかをわかりやすく解説します。
地震を“体験”して理解する新拠点が誕生
日建設計は、東京都千代田区の東京オフィス内にある共創拠点「PYNT(ピント)東京」に、地震体験ポートを開設しました。🌏この施設では、建物の耐震性能や地震による被害の違いを、実際に体験しながら理解できるようになっています。
建物の耐震性能は、図面や数値で説明されることが多く、「どれくらい揺れるのか」「家具はどうなるのか」といった実感が湧きにくいのが課題でした。
そこで同社は、
* VR(仮想現実)
* センサー
* デジタルモニタリング
などの最新技術を組み合わせ、地震時の建物挙動をリアルに体験できる仕組みを構築しました。🎮
建設会社、デベロッパー、設備会社、自治体、研究者など、さまざまな関係者がこの拠点で議論しながら、災害に強い建築・都市づくりを共創することを目指しています。
VRで体験する「本物に近い地震の揺れ」
この施設の目玉の一つが、SYNCVR(シンクVR)という地震体験システムです。🕶️利用者はVRゴーグルを装着し、地震体験装置の上に乗ることで、実際の建物で発生する揺れを疑似体験できます。特徴は、単なる映像体験ではない点です。
建物の
* 高さ
* 構造形式
* 階数
* 地盤条件
などの情報をもとに作成された振動波形データを使用し、装置がその揺れに合わせて動きます。つまり、「その建物なら実際に起こり得る揺れ」を体験できるのです。
例えば、次のような違いも体験可能です。
🔹 耐震構造の建物
🔹 制震構造の建物
🔹 免震構造の建物
同じ地震でも、構造方式によって揺れ方がまったく違うことが体感できます。これまで専門家しか理解しにくかった耐震性能を、誰でも直感的に理解できるツールとして期待されています。

地震時の揺れと室内被害をVRで疑似体験
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
地震後の建物状態を数分で判断するシステム
地震が起きた後、建物が安全かどうかを判断するまでには通常かなりの時間がかかります。その課題を解決するために開発されたのがNSmos(NSモス)という被災度判定システムです。📊
このシステムは、地震発生後に建物の揺れデータを分析し、
・建物の被害レベル
・継続使用の可否
・避難の必要性
などを迅速に判断します。
揺れが収まってから約2〜3分で判定結果が出るのが大きな特徴です。結果はレポート形式で表示され、建物の被災度は5段階評価で示されます。
このような仕組みが普及すれば、
🏢 ビルの営業再開
🏥 病院の継続運用
🏫 学校の安全確認
などがスムーズに行なえるようになり、都市の早期復旧につながります。
建物のダメージを“見える化”するセンサー技術
もう一つ注目されているのが、ダイレクトモニタリングという技術です。🔧これは、鉄骨造(S造)の柱や梁にひずみゲージというセンサーを設置し、建物のダメージをデジタルデータとして記録する仕組みです。
地震のたびに、建物は目に見えないレベルのダメージを受けることがあります。
しかし従来は、
・外観目視
・専門家の現地調査
などに頼るしかありませんでした。
ダイレクトモニタリングでは、
📡 センサーで構造部材の状態を計測
📡 地震ごとのダメージを蓄積
📡 大地震後に詳細分析
といった形で、建物の状態を客観的データとして管理できます。
その結果、
✔ 調査範囲を限定できる
✔ 修復箇所を特定できる
✔ 復旧時間を短縮できる
といったメリットが生まれます。
中小建設会社にも広がる「災害レジリエンス」の考え方
今回の取り組みは大手設計会社のプロジェクトですが、実は中小建設会社にも大きく関係するテーマです。📈
近年、公共工事や大型建築では
* 防災性能
* 災害復旧力
* BCP(事業継続計画)
といった要素が評価されるケースが増えています。
つまり、今後は単に「建物を建てる」だけでなく、災害後の復旧まで考えた建物づくりが求められる可能性が高いのです。
そのため、
🔹 耐震・制震技術の理解
🔹 建物モニタリング技術
🔹 災害復旧支援
などの知識をもつ企業は、今後の受注競争でも優位に立てる可能性があります。特に自治体案件や公共施設では、レジリエンス設計が大きなテーマになりつつあります。

まとめ
日本は世界有数の地震国であり、建設業界にとって「地震対策」は避けて通れないテーマです。今回のように、VR体験やセンサー技術を活用した取り組みは、耐震性能を「見える化」し、建物の安全性をより分かりやすく伝える新しい手段として注目されています。🏗️
今後は設計だけでなく、地震後の復旧まで含めた建築サービスが重要になる可能性があります。建設会社としても、防災・レジリエンスの視点を取り入れることで、新しい仕事のチャンスにつながるかもしれません。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト「建設円陣」もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
