山岳トンネルの危険作業が無人化へ!AGF鋼管打設の新技術とは?安全と省人化が進む最前線

山岳トンネル工事は、建設業の中でも特に危険度が高い現場の一つです。特に「切羽(きりは)」と呼ばれる掘削の最前線は、落石や崩落のリスクが常にあり、作業員の安全確保が大きな課題となってきました。

そんな中、大手ゼネコンの鹿島を中心とした共同開発チームが、山岳トンネル工事で使われるAGF鋼管打設作業の無人化施工を実現しました。これにより、危険区域への作業員の立ち入りを大幅に減らすことが可能になり、労働災害の低減が期待されています。

今回は、建設現場の安全性や省人化に大きく関わるこの技術について、現場で働く方や中小建設業の経営者の方にも分かりやすく解説します。

山岳トンネル工事で重要な「AGF工法」とは?

山岳トンネル工事では、地盤が不安定な場所を掘削することも多く、崩落を防ぐための事前対策が欠かせません。その代表的な工法がAGF工法(注入式長尺鋼管先受け工法)です。

この工法は、トンネルの掘削前に長い鋼管を地盤に打ち込み、その中に薬液を注入することで地盤を強化する技術です。地盤が弱い場所でも安全に掘削を進めることができるため、国内の多くの山岳トンネル工事で採用されています。

しかし、このAGF工法には課題もありました。それが鋼管の打設作業が危険区域で行なわれることです。鋼管を接続しながら打ち込む作業では、作業員が切羽付近に近づく必要があり、落石や肌落ち(岩や土が崩れる現象)のリスクにさらされていました。


AGF鋼管供給システムの全景(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

鹿島らが開発した「AGF鋼管供給システム」

この課題を解決するため、鹿島は複数企業と共同でAGF鋼管打設作業の機械化システムを開発しました。共同開発に参加したのは以下の企業です。

・古河ロックドリル
・ケー・エフ・シー
・トーキンオール
これらの企業とともに、2023年に機械化システムを開発し、さらに今回以下の改良を加えました。

■AGF鋼管供給システムの開発
■鋼管接続装置の改良

従来の装置では鋼管ラックとアームが一体構造でしたが、新システムではこの構造を分離。

・鋼管ラック:ドリルジャンボ後方
・アーム部:ドリルジャンボ前方
という配置に変更し、その間をローラーコンベヤーで接続する仕組みを導入しました。

これにより、鋼管を自動供給できるようになり、危険な切羽付近に作業員が入らなくても作業が進められるようになりました。操作はドリルジャンボ後方の安全な場所から遠隔操作で行なうことができます。

つまり、人が危険な場所に近づかなくても作業が進む仕組みが完成したのです。


アーム部からドリルジャンボに鋼管を渡す(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

鋼管接続作業も自動化へ

もう一つ大きな改良が行なわれたのが、鋼管接続装置です。今回改良された装置は「セッターⅡ型」と呼ばれるもので、既に打設された鋼管と新しい鋼管の両方をしっかり把持できる機構が追加されました。

この機構により
・既打設管
・新設管
の軸を自動で合わせることができ、鋼管を押し込みながら接続する作業を機械が行なえるようになりました。

従来は人が行なっていた接続作業が不要になったため、
・作業員の危険区域への立ち入り削減
・作業の安定化
・施工品質の均一化
といったメリットが期待できます。

実際の現場で試験導入した結果

この新システムは、横浜高速鉄道が発注したみなとみらい21線 車両留置場建設工事(土木工事)に試験導入されました。
実際の施工結果では、以下の成果が確認されています。

・AGF鋼管打設作業時の切羽作業範囲の無人化を実現
・技能者の立ち入り時間を約90%削減
・鋼管接続作業の人手が不要
・安全性と生産性の向上

準備時間も従来工法とほぼ同等であり、実用性の高いシステムであることが確認されています。つまり、「安全性が上がるだけでなく、作業効率も落ちない」というのがポイントです。

建設業の省人化・自動化は今後さらに加速

今回の技術は、鹿島が開発しているトンネル自動化施工システムA4CSEL for Tunnel(クワッドアクセル・フォー・トンネル)とも連携する予定です。

このシステムは
・掘削
・ズリ出し
・支保工
・吹付け
といったトンネル施工の工程を自動化することを目指した技術です。

今回のAGF鋼管打設の機械化が加わることで、将来的にはトンネル掘削のほとんどを自動化する施工体系が現実になりつつあります。

中小建設業にとっても重要な「安全×省人化」

「大手ゼネコンの技術だから関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、こうした技術の進化は、建設業界全体に大きな影響を与えます。理由は大きく3つあります。

①労働災害の削減
②技能者不足への対応
③現場の効率化

特に中小建設業では
・人手不足
・ベテランの高齢化
・安全管理の負担
といった課題を抱えている会社が多いのが現状です。

今後は、こうした機械化・自動化の技術が徐々に中小現場にも広がる可能性があります。建設業は「危険・きつい」というイメージを変える転換期に入っているともいえるでしょう。

まとめ

山岳トンネル工事の危険作業であるAGF鋼管打設が、ついに切羽作業範囲で無人化されました。鋼管供給システムや接続装置の改良によって、作業員の立ち入りを約90%削減し、安全性と生産性を同時に向上させています。

今後はトンネル施工のさらなる自動化も期待されており、建設業界の働き方は大きく変わっていく可能性があります。技術の進化を知ることは、これからの現場づくりのヒントにもなるでしょう。

 

本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト「建設円陣」もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。


お問い合わせ

お名前必須

貴社名必須

電話番号必須

メールアドレス必須

お問い合わせ項目必須














お問い合わせ内容


LINEでお友達登録
>建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設円陣は、建設業界に特化したマッチング&求人アプリです。協力会社や職人とのマッチングはもちろん、求人掲載や採用活動にも対応。条件を入力するだけで最適な人材・企業が見つかり、AIによる募集文生成機能も搭載。発注・受注から採用まで、業界の課題をスマートに解決します。

CTR IMG
建設業特化求人サイト【円陣求人サイトへ】

建設業特化求人サイト【円陣求人サイト】

建設円陣求人サイトは建設業界に特化した求人サイトです。ログイン・投稿・応募確認まで、すべてがLINE上で完結。求人応募は登録作業一切なし。 フォーム入力だけで応募が完了し、求人掲載も無料です。業界が抱える人材不足の問題を、スマートに解決します。

CTR IMG