「捨てていた網戸がコンクリートを強くする?」廃材を活かす新技術が建設業の未来を変えるかもしれない

建設業界では近年、環境配慮・脱炭素・資源循環といったキーワードが急速に注目されています。🌏
公共工事や大規模開発でも「環境に配慮した建材」が求められるケースが増え、企業の評価にも影響する時代になりつつあります。

そんな中、住宅メーカー大手の大和ハウス工業と建設会社フジタなどが、これまで廃棄されていた網戸の端材をコンクリート補強材として再利用する技術を開発しました。🏗️

一見すると研究開発の話のように感じるかもしれませんが、この技術は将来的に建設現場の施工方法や材料選びにも影響する可能性があります。今回は、この新技術の内容と建設業界への影響について、現場目線で分かりやすく解説していきます。

廃プラスチック問題と建設業の関係

現在、日本では多くのプラスチック製品が使用されていますが、その処理方法の多くは焼却処分です。🔥
一般的に「リサイクル」というと再利用をイメージしますが、実際には
・焼却して熱エネルギーとして利用する「サーマルリサイクル」
・単純焼却
が多くを占めています。

しかし、この方法には大きな問題があります。それがCO₂の排出です。廃プラスチックを燃やすと二酸化炭素が発生するため、環境負荷が大きくなります。実際、廃プラスチックの焼却やサーマルリサイクルによるCO₂排出量は、2021年時点で約1590万トンに上ると推計されています。

こうした背景から、近年は
・廃材を別の材料として再利用する
・資源循環型の製造プロセスを作る
といった取り組みが広がっています。

建設業界でも、廃材を新しい建材として活用する技術開発が進んでいます。

網戸の端材を再利用した補強材「アミチップ」

今回開発された材料は、「アミチップ」と呼ばれるコンクリート補強用の繊維材料です。この材料の特徴は、住宅工場で発生する網戸の端材(廃プラスチック)を原料としている点です。

通常、住宅部材の製造工程では一定量の端材が発生します。大和ハウス工業の住宅工場では、網戸の製造過程で年間約2トンの端材が発生しています。これまで、この端材は基本的に焼却処分されていました。

しかし今回の技術では、この廃プラスチックを再加工し、コンクリート補強用のポリプロピレン短繊維として再利用することに成功しました。

さらに、再生材料だけでは性能が不安定になる可能性があるため、
・再生材料
・バージン材料
を独自の配合で混ぜることで、高い強度と製造安定性を確保しています。

結果として、再生材料を50%以上使用しながらも、従来のコンクリート補強用繊維と同等の性能を実現しています。また、この材料はJIS基準も満たしているため、実際の建設現場でも使用できる品質を確保しています。


製品化イメージ
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。

年間2トンの端材が2500m³のコンクリートに

この技術の面白い点は、廃材が思った以上に大きな価値を生むことです。大和ハウス工業の住宅工場で発生する約2トンの網戸端材を再利用すると、約2500m³の繊維補強コンクリートを製造することができます。

2500m³というと、一般的な住宅だけでなく、
・大型倉庫
・商業施設
・集合住宅
などでも使用される規模です。

つまり、これまで「ゴミ」として処理されていた材料が、建物の耐久性を支える材料に生まれ変わるということになります。これはまさに、資源循環型社会の象徴ともいえる取り組みです。

CO₂削減効果も大きい

この技術は環境面でも大きな効果があります。従来のコンクリート補強用ポリプロピレン繊維と比較すると、製品1トンあたり約740kgのCO₂排出削減が可能とされています。

さらに、網戸端材2トンを焼却処分ではなく再利用することで、約8100kgのCO₂削減につながります。
近年、建設業界では
・脱炭素
・ESG経営
・環境配慮建築
といったテーマが重要視されています。

特に公共工事や大型プロジェクトでは、環境性能が評価項目に含まれるケースも増えています。そのため、こうした環境配慮型の建材は今後さらに需要が高まる可能性があります。

現場の負担を減らす「マクチップ工法」

今回の開発では、材料だけでなく施工方法の改良も行なわれています。それが「マクチップ工法」です。従来の繊維補強コンクリートでは、ミキサー車のドラム内で繊維を混ぜる方法が一般的でした。

しかし、この方法には課題がありました。繊維がドラム内部に残るため、毎回洗浄作業が必要になるのです。
この作業は
・時間がかかる
・作業負担が大きい
・水の使用量も増える
といった問題につながっていました。

マクチップ工法では、コンクリート打設後に床表面へ繊維を散布して埋め込む方法を採用しています。
これにより
・ドラム洗浄が不要
・作業時間短縮
・施工効率向上
を実現しています。

現場作業の負担軽減という点でも、実用性の高い技術といえます。


コンクリート表面にPP短繊維を散布して、ひび割れを抑制する
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。

中小建設会社にも関係する理由

こうした技術は最初、大手企業の建築物から導入されることが多いです。しかし、建設業界では新しい技術が徐々に普及し、数年後には一般的な施工方法として広がるケースも珍しくありません。

例えば、
・高性能断熱材
・高強度コンクリート
・プレキャスト工法
なども、最初は一部の企業からスタートしました。

今回の技術も、今後普及すれば
・材料コストの変化
・施工方法の変化
・環境配慮建材の普及
など、建設業界全体に影響を与える可能性があります。

そのため、こうした技術動向を知っておくことは、経営判断や提案力を高めるうえでも重要な情報といえるでしょう。

まとめ

建設業界では現在、環境配慮と資源循環を両立する技術開発が進んでいます。
今回紹介した「アミチップ」は、
・廃プラスチックの再利用
・CO₂削減
・施工効率の向上
を同時に実現する可能性をもつ技術です。

今すぐ現場で使う材料ではないかもしれませんが、こうした新技術は数年後に業界標準になることも珍しくありません。日々の仕事に追われる中でも、業界の技術動向を知っておくことは、これからの建設業経営にとって大きな武器になるでしょう。

 

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