建設業界では、技能者の高齢化・人手不足が長年の課題となっています。特に大型土木工事では、熟練作業員の技術に大きく依存する工程も多く、「人がいないと工事が進まない」という現場も少なくありません。
そんななか、大手ゼネコンの安藤ハザマが、ダム工事の現場で使われる締め固め機を遠隔操作・自動化するシステムを開発したというニュースが業界で注目を集めています。その名も 「RABV(ラ・ビブ)」。
これは、ダムのコンクリート打設作業に使用する「油圧ショベル型バイブレーター(通称:バイバック)」を遠隔操作や自動運転で動かすことができるシステムです。今回はこのニュースをもとに、現場仕事をしている建設業の中小企業にとっても知っておきたい「施工自動化の流れ」について、わかりやすく解説します。👷♂️
そもそも「バイバック」とは?ダム工事で重要な締め固め作業
ダム建設では、大量のコンクリートを何層にも分けて打設していきます。しかし、ただコンクリートを流し込むだけでは内部に空気(気泡)が残り、強度が不足してしまうことがあります。
そこで行なわれるのが 「締め固め作業」です。この作業では、バイブレーター(振動機)をコンクリートに差し込み、振動によって内部の空気を抜きながら密度を高めます。
特にダム工事では、
* 打設範囲が広い
* コンクリート量が膨大
* 作業精度が重要
という理由から、油圧ショベルに振動機を取り付けた「バイバック」という機械が使われます。
ただし、このバイバックの操作はかなりの熟練を必要とします。
✔ 振動の入れ方
✔ 差し込みの深さ
✔ 引き抜くタイミング
✔ 作業順序
これらを間違えると、コンクリート品質に影響が出る可能性があるためです。つまり、ダム工事では 「熟練オペレーターの技術」が不可欠だったわけです。
遠隔操作・自動運転を実現する「RABV」の仕組み
安藤ハザマが開発した RABV(ラ・ビブ)は、この難しい締め固め作業を遠隔操作や自動化で行なえるようにしたシステムです。主な機能は次の3つです。👇
🔧 ①遠隔操作
バイブレーターの
* 旋回
* 振動の開始
* 振動停止
などを、離れた場所の専用端末から操作できます。
これにより、
* 危険エリアでの作業削減
* 操作員の安全確保
が期待されています。
🚜 ②自動走行
ダム工事では、コンクリートを打設する順番が決まっています。これを「レーンスケジュール」と呼びます。
RABVでは、このレーンスケジュールをプログラム上で再現し、
✔ 打設エリア
✔ 作業順序
を設定することで、バイバックが自動で走行する仕組みになっています。
つまり、現場の作業ルートを機械が理解して動くわけです。
🤖 ③自動締め固め
さらに驚くのが、この機能です。
RABVでは、
* バイブレーターの差し込み位置
* 差し込み順序
を事前に設定することで、自動で締め固め作業を実行できます。
しかも、バイバックには LiDAR(ライダー)が搭載されており、
✔ コンクリートの表面形状
✔ 高さ
✔ 作業位置
などをリアルタイムで把握します。
その情報をもとに、
* 振動機を差し込む位置
* 引き抜くタイミング
まで自動で判断する仕組みです。
まさに、施工ロボットに近い技術といえるでしょう。🤖

ダム用油圧ショベル型バイブレーターの遠隔操作状況(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
なぜ今「施工の自動化」が進んでいるのか
このような技術が注目される背景には、建設業界の大きな問題があります。それが 人手不足と技能継承です。
現在の建設業では、
* 技能者の高齢化
* 若手の入職減少
* 熟練技能の継承不足
という問題が深刻化しています。
特にダムやトンネルといった大規模土木工事では、熟練技能者の存在が工事品質を左右するケースも多いです。しかし、「ベテランが引退したら技術が失われる」というリスクもあります。
そこで進められているのが、
🏗 施工の自動化
🏗 遠隔施工
🏗 建設DX
です。
人の技術をデータ化・プログラム化することで再現するという考え方です。
中小建設会社にも関係する「建設DXの流れ」
「ダム工事なんて大手ゼネコンの話でしょ」と思う方もいるかもしれません。しかし、この流れは中小の建設会社にも確実に広がっています。
例えば最近では、
📱 建設現場アプリ
* ANDPAD(アンドパッド)
* Kizuku(キズク)
* Photoruction(フォトラクション)
などが普及し、
* 現場管理
* 写真管理
* 工程共有
をスマホで行なう会社が増えています。
つまり、建設業界は今、「人の経験だけに頼る仕事」から「データで動く仕事」へ、少しずつ変わり始めています。
大手の技術開発は、将来的に
✔ 現場の安全性
✔ 作業効率
✔ 人材不足
などを解決するヒントになる可能性があります。
今後は国の「自動施工ルール」に対応へ
安藤ハザマは今後、このRABVをさらに改良し、国土交通省の「自動施工における安全ルール」に適合させていく方針です。実証実験を重ねながら、将来的には実際のダム建設現場での導入を目指しているとされています。
建設業界では今、
* 自動施工
* 建設ロボット
* AI施工
といった技術開発が加速しています。
10年後の現場は、
👷 人が操作する現場から
🤖 人が監督する現場
へと変わっているかもしれません。

※画像はイメージです。
まとめ
ダム工事の締め固め作業を遠隔化・自動化するシステム「RABV」は、熟練技能に頼っていた作業をデータ化する新しい挑戦です。建設業界では人手不足が続くなか、こうした施工の自動化技術は今後ますます重要になっていくでしょう。
大手ゼネコンの技術開発は、将来的に中小企業の現場にも広がる可能性があります。現場の働き方や安全性を変える大きなヒントとして、今後の動きにも注目していきましょう。
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