東京大学大学院工学系研究科×大手6社が始動
東京大学大学院工学系研究科は2026年4月1日、国内を代表する民間企業6社(大林組、鹿島、清水建設、首都高速道路、大成建設、JR東日本)と共同で、社会連携講座「建設用3Dプリンタによるコンクリート構造の革新」を開設しました。代表教員は石田哲也教授が務めます。
この講座は3Dプリンティング技術を活用し、コンクリート構造物の設計や施工に革新をもたらすことを目的としています。人手不足による省人化や工期短縮、環境負荷の低減といった現場の課題を解決するため、材料や施工プロセスの標準化、社会実装に向けた研究が進められます。設置期間は2026年4月1日から2029年3月31日までの3年間で、5月28日には東京大学にて開設記念シンポジウムも開催されます。
現場で働く皆様や中小規模の建設業経営者が抱く疑問に答えるべく、よくある質問(FAQ)形式で今回のニュースを深掘りします。

講座の研究内容と得られる成果
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
【Q1】建設用3Dプリンターとは、どのような技術ですか?
【A】建設用3Dプリンターは、3Dデータに基づき、専用の大型ノズルから特殊なコンクリートなどの建築材料を層状に押し出し、立体的な構造物を造形する最新技術です。従来のように型枠を組んでコンクリートを流し込むという工程を必要としないため、型枠工事に関わる手間や資材を大幅に削減できる点が最大の特徴です。
世界的にはすでに橋梁や住宅などの建設に活用されて普及が進んでおり、日本国内においても適用事例が着実に増加しています。曲線を用いた複雑な形状の施工などを、職人の熟練度に頼ることなく正確に実現できる画期的な手段として、建設分野で非常に大きな可能性を秘めています。
【Q2】中小の建設会社や現場の職人には、どのような影響がありますか?
【A】全国の現場へ即座に導入されるわけではありませんが、中長期的には働き方や施工プロセスに多大な影響を与えると推測されます。現場における最大のメリットは「省人化」と「工期短縮」の実現です。少子高齢化で職人の不足が深刻な問題となる中、3Dプリンターが一部の労務を代替することで、少ない人員でも安全かつ効率的に現場を回すことが可能になります。
また、重い型枠を扱う重労働が軽減されるため、現場で働く職人の身体的な負担が減り、労働環境の改善に直結します。一方で新しい機械を操作するためのITスキルが求められるようになるため、現場監督や職人も最新技術を学ぶ姿勢が必要になります。
【Q3】今回の連携講座は、業界に何をもたらすのですか?
【A】目指す重要なゴールは、技術の「標準化」と「社会実装」です。これまで各社が独自に進めてきた知見を産学連携で持ち寄り、建設用3Dプリンターに最適な材料特性、装置仕様、施工プロセスを整理・体系化します。土木分野を中心に有効な構造形式を明確にし、合理的な設計・施工方法を確立します。
さらに、新しい技術に対する発注の仕組みを整えるだけでなく、品質を担保するための資格制度の創設や人材育成といった制度面でのルール作りにも踏み込みます。これにより、将来的に中小企業が公共工事などで新技術を安心して導入・活用できる基盤が構築されます。

※画像はイメージです。
【Q4】技術発展に向けた今後の展望はどうなっていますか?
【A】長期的には、建設用3Dプリンターの特性を活かした全く新しい構造や施工プロセスを解析・実験で検証し、設計・施工の革新を目指すとしています。
また、実用化を加速させるために技術開発のロードマップを策定し、業界内でのビジョン共有を推進するとともに、政策提言を通じて、技術のさらなる発展と普及拡大を実現していく方針です。
まとめ
東京大学と民間6社による共同講座の開設は、深刻な人手不足や長時間労働といった建設業の根深い課題を、最新技術の力によって根本から解決に導くための重要な第一歩です。建設用3Dプリンターの実用化に向けた研究とルール整備が着実に進むことで、現場における省人化や工期の大幅な短縮が現実のものとなり、日々現場で汗を流す職人の負担軽減にも直接的につながります。
新しい技術の普及に伴い、現場での働き方や求められるスキルは確実に変化していきますが、より安全で効率的な現場環境の構築に向け、今後の動向にぜひ注目しましょう。
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