日本建設業連合会(日建連)と高速道路各社は、入札契約制度や事業推進の在り方に関する意見交換を実施した。昨今の建設業界では、労務費や資材価格の急激な上昇が続いており、実質的な事業量が減少する事態に直面している。日建連は、安定的な事業推進に不可欠な財源規模の拡大と確保を強く要請した。また発注者の予算制約などを背景に、高速道路工事において数量の減少や打ち切りが一定数発生している現状を踏まえ、契約変更に必要な財源の確保や適切な措置を講じるよう求めた。意見交換では財源問題にとどまらず、働き方改革の推進、設計変更の円滑化、生産性向上に向けた技術実装、技術者の育成といった多岐にわたる課題が議論の対象となった。
ここから、今回の意見交換で浮き彫りになった課題や対策について、現場の視点からよくある質問を交えて解説する。
Q. 高速道路工事において財源不足が深刻化している理由とは何か。
A. 最大の要因は、長引く労務費および資材価格の記録的な上昇である。日建連の調査によると、発注者の予算や財源の制約、または設計や計画の不備を理由として、東日本で25%、中日本で12%、西日本で11%の割合で工事数量の減少や打ち切りが発生した。当初の契約金額では工事完了が困難なケースが増加しており、受注企業に多大な影響を及ぼしている。この事態を打開するためには、追加の費用負担を可能にする財源を安定的に確保する仕組みが不可欠である。

Q. 働き方改革関連法の施行に伴い、建設現場ではどのような変化が起きているか。
A. 時間外労働の上限規制が適用され、労働環境の改善が急務となっている。意見交換では、この規制や猛暑対応に伴う施工条件の変化を踏まえ、工期や費用の適切な見直し、運用の明確化が要望された。特に、高速道路各社が発注する現場において「4週8閉所」を実施する割合は増加傾向にあり、現在では全体の8割を超える水準に達している。労働時間短縮のため、資機材ヤードの事前確保など、発注者側の積極的な関与も求められている。
Q. 猛暑による作業効率の低下に対しての対策はあるか。
A. 夏季の記録的な猛暑は現場作業員の健康を脅かすだけでなく、著しい作業効率の低下を招く。これに対応するため、猛暑を前提とした施工条件の変更や、工期の延長等の見直しが議論されている。さらに、現場ごとで対応を標準化するため、対応ガイドラインの整備が進められる方針が示された
。過酷な環境下でも安全かつ計画通りに施工を進めるためのルール作りが急務となっている。
Q. 設計変更を円滑に進めるため、どのような制度が提案されたか。
A. 資金繰りの悪化や事務負担の増大を防ぐため、出来高認定の簡略化や仮払い制度の導入が日建連から提案された。これにより、施工途中であっても適切に資金が供給される環境が整うと期待される。高速道路各社は、ガイドラインに基づく対応を徹底するだけでなく、検査手順の簡略化などを前向きに検討していく姿勢を示した。中小の協力会社にとっても資金繰りの安定化につながる重要な施策となる。

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Q. 生産性向上や人材不足を補うための技術的アプローチについて教えてほしい。
A. ICTやBIM/CIMといった最新技術の活用が推進されている。さらに、新技術を現場に導入する際の費用負担を制度化することが要請された。プレキャスト(PCa)工法については、標準化と規格化を前提として、設計段階からの採用拡大が求められている。人材面においては、配置要件や専任要件の緩和、ICTを活用した遠隔管理の導入が提案された。実際、各社において26~42%の現場で管理技術者の交代が必要となったが、いずれも受理されるなど、柔軟な運用が広がる。
まとめ
公共工事の現場では、資材価格の高騰や人手不足、働き方改革への対応という波が押し寄せている。今回の日建連と高速道路各社との意見交換は、これらの課題に対する具体的な解決策を共有する重要な一歩となった。財源確保や工期見直し、最新技術の導入支援など、発注者と受注者が一体となった取り組みが今後加速すると期待される。現場で働く皆様におかれても、こうした制度変更や業界動向を的確に把握し、日々の業務改善に役立てていくことが求められる。
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