【建設業の重要課題】酷暑対応と持続可能な働き方を考える

全国建設業協会(全建)は、2025年度の重要課題として、国土交通省との「地域懇談会・ブロック会議」を全国9地区で開催します。この会議では、国土強靱化に関連する公共事業予算の安定的確保とともに、近年の深刻な気候変動に対応するための働き方の見直しが主要な議題として挙げられています。特に、夏の酷暑における熱中症対策、土日閉所を前提とした適切な工期設定、そして気候に対応した変形労働時間制の導入などが、業界全体の喫緊の課題として議論される見通しです。また、賃上げや物価上昇への対応、担い手確保のための外国人労働者制度や建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用、災害対応力の強化といった多岐にわたるテーマについても、各都道府県の建設業協会を交えて意見交換が行われる予定です。これらの議論は、建設業界が直面する課題を克服し、持続可能な産業構造を構築するための重要な一歩となります。

 

Q1. なぜ今、「変形労働時間制」が建設業界で注目されているのか?

A1. 近年、夏の猛暑は「災害級」ともいわれ、建設現場の労働環境は年々過酷さを増しています。このような状況下で、従来の画一的な労働時間制度では、作業員の安全と健康を確保しつつ、生産性を維持することが困難になりつつあります。そこで注目されているのが**「変形労働時間制」**です。

この制度は、一定期間内での労働時間を週平均40時間以内に収めつつ、日や週ごとの労働時間を柔軟に設定できる仕組みです。例えば、夏季の特に気温が高くなる日中の時間帯の作業を短縮し、比較的涼しい早朝や夕方に労働時間を振り分けるといった運用が可能になります。全建は、この変形労働時間制を特に夏季に採用することを国に求めており、これは熱中症リスクを直接的に低減し、作業員の命を守るための極めて重要な対策と位置づけられています。

また、この制度は単なる暑さ対策にとどまりません。天候に左右されやすい建設業において、雨天時に労働時間を短縮し、晴天時にその分を補うといった柔軟な対応も可能にします。これにより、無理なスケジュールでの作業を減らし、労働災害のリスクを低減する効果も期待されます。全建がこの制度の採用を強く求める背景には、作業員の安全確保と生産性向上の両立という、建設業界が抱える根源的な課題への対応策としての期待があるのです。

 

Q2. 賃金や労務費に関する議論のポイントは何か?

A2. 建設業界が直面するもう一つの大きな課題は、賃金の引き上げと労務費の適正な確保です。資機材価格の高騰や人件費の上昇が続く中、それらを適切に工事価格へ転嫁できなければ、企業の経営は圧迫され、ひいては作業員の処遇改善も進みません。

全建は、地域懇談会・ブロック会議において、この問題に正面から取り組む姿勢を示しています。具体的な要望として、公共工事の予定価格の算定基準となる**「公共工事設計労務単価」の継続的な引き上げ**と、その設定方法自体の見直しを強く訴えています。これは、単に単価を引き上げるだけでなく、実際の労働市場の動向や物価上昇率をより正確かつ迅速に反映させる仕組みを構築する必要があるという問題意識の表れです。

さらに重要なのは、引き上げられた労務費が、元請け企業だけでなく、下請け企業や個々の作業員にまで確実に行き渡る仕組みを構築することです。全建は、価格転嫁の在り方や、それに対応した入札制度の改善についても議論を深めるとしており、業界全体の健全な発展のためには、サプライチェーン全体で適正な利益が確保され、それが労働者の賃金として還元される公正な取引環境の整備が不可欠であると考えています。この議論は、建設業界の魅力を高め、将来の担い手を確保するうえでも極めて重要な意味を持ちます。

Q3. 担い手確保のために、他にどのようなテーマが議論されるのか?

A3. 建設業界の持続可能性を考えるうえで、担い手の確保・育成は避けて通れない最重要課題です。全建の会議では、この問題に対し多角的なアプローチで議論が行なわれる予定です。

一つは、外国人労働者の受け入れと活用です。特に、新たな在留資格である「育成就労制度」に関する課題が主要な議題となります。この制度が、単なる労働力の補充に留まらず、外国人材が技能を習得し、キャリアを形成しながら、日本の建設業界に定着していくための実効性ある仕組みとなるよう、現場の実情に即した制度設計や運用改善について議論が交わされる見込みです。

もう一つは、**建設キャリアアップシステム(CCUS)**のさらなる普及と活用です。CCUSは、技能者の資格や就業履歴を業界統一のルールで蓄積し、技能や経験が正当に評価される仕組みです。このシステムの活用が進むことで、技能者はキャリアパスを描きやすくなり、処遇改善にも繋がります。これにより、若年層にとって建設業がより魅力的な選択肢となることが期待されます。

さらに、災害対応力の強化も間接的に担い手確保に関連するテーマです。地域社会の安全・安心を守る建設業の役割を社会に広くアピールすることは、業界のイメージアップに繋がり、若者の入職意欲を高める効果が期待できます。災害時の迅速かつ円滑な対応を可能にするための入札・契約方式の見直しや、自治体との災害協定の在り方についても議論される予定です。これらの取り組みは全て、建設業界が将来にわたって社会に貢献し続けるための基盤を強化するものです。

 

まとめ

今回の全国建設業協会による地域懇談会・ブロック会議は、建設業界が直面する多様な課題に対し、官民が一体となって解決策を模索する重要な機会です。特に、酷暑という現実的な脅威に対応するための変形労働時間制の導入や、適正な賃金水準の確保、そして将来を見据えた担い手の確保・育成は、業界全体の持続可能性を左右する喫緊の課題です。現場で働く一人ひとりの安全と健康、そして生活を守るための具体的な制度改革が、今まさに求められています。

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