「15時間遅れ」の重い教訓:能登半島地震に学ぶ、地域建設業が生き残るためのBCPと官民連携の徹底

■地域を越えた経験共有が示す、災害対応の最前線

地域建設業における災害対応の経験は、被災歴の有無により地域間で重みが大きく異なると認識されている。

近年、各地で大規模な災害が頻発する状況下において、建設事業者が地域社会に不可欠な存在としてその役割を全うするためには、迅速かつ適切な対応の重要性が改めて高まっている。

しかしながら、災害の様相や規模、被災地の状況は常に異なり、どのような対応が最適であるか判断に迷う事例が後を絶たない。

この課題を乗り越えるために、経験の共有と地域を越えた連携体制の構築を深めることが、結果として各地域のレジリエンス強化につながる。

先日、建設業の若手経営者ら約30名が参加する意見交換会が開催され、石川県の建設業関係者約20名と徳島県のメンバーが交流し、2024年1月に発生した能登半島地震への対応を通じて得られた教訓について詳細な議論が行なわれた。

徳島県では近年大規模な災害が発生していない状況があるが、石川県の参加者からは「経験がないと動けない、知らなければ対応できないということが改めてわかった」との意見が出され、平時からの準備と情報共有の決定的な重要性が強調された。


※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

■【質問1】発災直後の人命に関わる情報伝達、最速で行なうためのボトルネックは何か?

災害対応の初動において、最も喫緊の課題として浮上するのが、従業員や関係者の安否確認、および現場の情報伝達の迅速性である。

能登半島地震における石川県の被災事例では、安否確認に15時間以上を要したという深刻な報告がある。

この長時間の遅延は、通信インフラの破壊や混乱により生じ、結果的に初動対応の遅れに直結する。

特に、通信手段の確保と電源の安定供給が喫緊の課題として指摘された。

被災直後の混乱期では、安否確認が完了しない限り、現場への出動や本格的な復旧作業の開始は困難になる。

この教訓から、通信手段の多重化と電源確保の重要性が強く認識された。

例えば、情報収集や通信維持のために、建設現場や作業員が利用できるドローンやポータブル電源といった、電源を必要とする機材の準備は極めて有効である。

被災地の建設事業者からは、「初動での対応が遅れてしまった」という反省の声が聞かれるように、災害発生の前提に立ち、準備段階でいかに具体的な行動計画を策定しておくかが、人命救助と事業継続の鍵を握る。

■【質問2】行政と連携し、被災地に即座に駆けつけるための事前準備とは?

迅速でスムーズな災害対応を実現するためには、平時から行政と連携した体制の構築、すなわちBCP(事業継続計画)の導入と実効性の担保が不可欠である。

徳島県の事例として、行政との連携を基軸としたBCP運用体制が紹介された。

この運用においては、災害発生に備え、事前に指定された建設業者に対し、災害時に使用する資機材や燃料を優先的に確保するよう指示する取り決めが実施されている。

この事前手配の仕組みは、いざという時に被災地に投入されるリソースの確保と調達を迅速化し、スピーディーな対応に大きく貢献する。

被災地では、救援物資や復旧に必要な資材、特に燃料が不足しがちであるため、必要なものを過不足なく準備しておくことが重要である。

また、具体的な現場レベルでの工夫も必要とされる。

徳島県内のある建設業者は、行政と業者で役割をローテーションしながら、災害発生時にどこに誰が向かうべきかを事前に明確に指定する体制を構築した。

事前に担当エリアを地図上にプロットし、情報伝達ルートを確立することで、発災後すぐに「誰が、どこへ、何をもって」向かうべきか判断でき、スムーズな初動につながる。

さらに、電源を必要とするドローンやポータブル電源などの機材活用は、効果的な情報収集と作業効率の向上をもたらすという点も着目すべきである。

■【質問3】現場の被害状況をリアルタイムで把握し、意思決定に役立てる方法は?

大規模災害発生時、被災地全体での状況把握と関係者間の連携は、情報が錯綜することで複雑化しやすい。

この情報共有の課題を解消するためには、地域内での円滑な連携と、行政との連携強化が必須のテーマとなる。

また、IT技術の積極的な活用が、情報収集のボトルネックを解消する鍵となる。

例えば、被害状況を報告するためのツールとして、写真と位置情報を記録し、その情報を即座に共有できるグループウェアや専用アプリが開発・運用されている。

これにより、現場の職員や作業員がスマートフォンなどで撮影した情報が瞬時に共有され、行政や意思決定層はリアルタイムで被害の規模と場所を把握できる。

このデジタルデータを活用した仕組みは、被害状況の確認、復旧作業の優先順位付け、さらには業者間の連携を円滑にするうえで、従来の口頭や書面による伝達よりも情報伝達の正確性とスピードを格段に向上させる。

地域全体で同じツールとルールを共有することで、災害発生時の連携がよりスムーズになる。

■【質問4】地域建設業として、長期的な視点で備えるべきことは何か?

建設業は、地域のインフラ維持と災害復旧において、地域社会にとって不可欠な存在であるという強い認識が必要である。

災害がいつ発生するかは予測できないからこそ、能登半島地震の経験を他地域の教訓として深く受け止め、常に準備を進める重要性が指摘されている。

徳島県の参加者は、能登の経験を参考にし、自社の事業計画に落とし込むことで、災害に対する意識を改めて高めることが欠かせないと語った。

建設業者が地域に果たすべき役割は、目の前の復旧作業だけにとどまらない。

若手経営者らは、「それぞれの地域にある建設業が、いざという時の貢献、役立つ存在になれる」という強い使命感をもっており、この役割を継続的に担うための組織体制と人材育成が急務だと訴えている。

この視点は、目先の利益や目前の業務だけではなく、10年、20年先を見据えた経営判断が必要であることを示唆している。

災害対応力を高めることは、結果として企業のブランド力を向上させ、地域からの信頼を勝ち取ることにもつながる。

まとめ

能登半島地震で得られた教訓は、地域建設業が災害対応力を抜本的に強化するための具体的な指針を提供する。

特に、安否確認や被害状況報告における情報伝達の遅延を防ぐためのITツールの活用、BCPに基づく資機材の事前確保、そして行政を含む官民連携の強化が、企業の存続と地域貢献の両面で極めて重要であることが確認された。

今こそ、自社のレジリエンスを高め、地域社会の安全を守る中核としての役割を全うするための具体的行動を開始すべき時なのかもしれない。

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