地域建設業が実現する「攻めの安全対策」 ICT建機導入で危険作業を省人化し、災害に備える

全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は、地域建設業におけるICT機器の実装促進などを目的とする「建設市場整備推進事業費補助金」の導入効果事例を一部取りまとめ、2025年11月18日に都内で開催された全国会長会議に報告を実施しました。この補助金制度は、国土交通省が2024年度補正予算で新たに創設したものであり、災害時の応急復旧対応力の強化や、平時からの建設現場の生産性向上につながるICT機器の導入経費を半額補助する内容で運用されました。約2億4000万円の全体の予算額に対し、第1次公募では5月末まで申請を受け付けた結果、「即完売」となるほどの高い関心が示されました。

最終的に、建設会社47件を含む合計61件に対して補助金交付が決定し、事例の中には1000万円以上の補助金を受けた企業も確認されています。導入企業からは、調査・測量における省人化や高精度化に加え、施工の効率化、そして何よりも危険箇所での作業における安全性向上を実感する声が多数寄せられており、ICT技術が現場の安全対策と効率化に即効性を発揮することが実証されました。この補助金を活用して導入された機器は、操作習熟の観点から日常の工事の生産性向上に活用されるとともに、複数の建設企業が参加する防災訓練に使用することが義務付けられています。

Q1:ICT建機は、どのように現場の安全性を劇的に向上させたのでしょうか。

従来の建設現場、特に災害復旧や崩落斜面などリスクの高い場所での作業においては、作業員が危険なエリアに立ち入る必要があり、人命に関わる事故のリスクが大きな課題でした。このたび補助金を利用して導入された遠隔操縦装置付きのICT建機は、この根本的な課題に対して解決策を提供しています。

遠隔操作機能を使用することで、オペレーターは安全な場所から機械を操作でき、崩落斜面の土砂撤去など、作業員が巻き込まれるリスクが高い危険箇所での安全性確保に直接的に役立っています。この技術は、人命に関わる事故のリスクを大幅に低減することを可能とし、労働環境の質的な向上に大きく寄与します。導入企業からは、「いつ来るか分からない災害に常に対応できるように心掛けたい」とのコメントが寄せられており、ICT機器が平時の生産性向上だけでなく、災害時の即応力強化という側面で、現場の安全体制を根本から強化するツールとして認識されていることが分かります。危険な作業を機械に委ねることは、まさに現場における「攻めの安全対策」です。

※ICT建機による崩落斜面の土砂撤去。画像は建設通信新聞さまよりお借りしました。

Q2:丁張り作業が不要になるなど、具体的な省人化・効率化の手法について教えてください。

ICT機器導入による現場効率化の鍵は、測量から施工に至るプロセスの抜本的な見直しにあります。特にICT建機を導入した場合、従来必須であった丁張り作業や手元作業員が不要になるため、明確な省人化を実現できます。

また、ドローンや3次元スキャナー、点群データリアルタイム処理機能付きレーザースキャナーといった先端測量機器類の活用は、現場における計測やデータ整理にかかる時間を劇的に短縮します。例えば、GNSS(衛星測位システム)ローバーを使用すれば、評定点(既知の基準点)を必要とせず、高精度な測量が可能となり、準備作業の工程を大幅に削減できます。

実際の導入事例として、鳥取県内の企業は遠隔操縦装置付きICT建機とGNSSローバーを組み合わせて導入し、新潟県内の企業はICT建機、ドローン、3次元スキャナー、ローテーティングレーザーなどをまとめて購入しています。これらの機器を連携させることで、作業の精緻化に繋がり、計測やデータ整理の時間が減少します。この省人化を通じて、地域建設業が抱える担い手不足を補う具体的な手段となっていることが実証されました。

Q3:初期コストの課題を乗り越え、導入効果を最大化するためのポイントは何でしょうか。

地域の中小建設企業において、ICT活用が必要であるという意識は高まっていますが、導入の最大の障壁となっているのは、**「機材導入にかかる初期コスト」と「扱える人材の育成」**に対する不安であります。今回の補助制度は、導入経費を半額補助することで初期コストの不安を解消する大きな役割を果たしました。

しかし、機器を導入するだけでは現場での効果は得られません。補助金交付の条件として、導入機器を「普段使いで日常の工事の生産性向上に生かす」ことが求められている通り、導入効果を最大化するには、日頃からの継続的な活用と、それを通じた人材の習熟が不可欠です。

例えば、徳島県内の企業が、レーザースキャナーに加えポータブル電源やソーラーパネルを導入した事例は、現場での電源確保の課題にも対応し、機器をどこでも活用できる体制を構築する工夫を示しています。また、導入企業からは「生産性向上や知識習熟により、熟練技術者の退職による技術力低下への備えや災害時の即応力強化に努めたい」というコメントが寄せられており、ICT機器を単なる道具としてではなく、技術継承と人材育成の基盤として捉える視点が重要であると示唆しています。

全建のアンケート結果では、資本金1億円未満の企業階層ではICT施工への取り組み割合が平均を下回っている現状があります。政府との生産性向上計画では、会員企業のICT施工への取り組み割合を今後5年間で85%まで高める目標が掲げられており、中小企業がこの目標を達成するためには、初期コストの補助制度の継続と拡充、そして申請手続きの簡素化が強く求められています。地域建設業者は、こうした公的支援の動向を注視し、戦略的な導入計画を策定することが、現場の効率と安全性を高めるうえで重要です。

まとめ

全国建設業協会が示したICT機器導入の事例は、地域建設業が直面する安全性、省人化、担い手不足といった現場の課題に対し、ICT投資が具体的な解決策を提供することを明確に示しました。遠隔操作による危険作業からの解放や、先端測量技術による作業効率の劇的な向上は、現場の作業環境と生産性を同時に高めます。公的補助制度を活用し、熟練技術者のノウハウを補完し、災害に強い現場体制を構築することが、地域建設業が持続的に成長していくための喫緊の課題です。

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