創立50周年の節目、D1昇格を目指す「建設業の二刀流」チーム
ラグビーリーグワンのディビジョン2に所属する清水建設江東ブルーシャークスは、ラグビー部創設から50周年という節目の年を迎えた。
同チームは今季、ディビジョン1への昇格を最大の目標として掲げ、シーズンに臨む。
選手たちは全員が清水建設のグループ会社などに所属しており、プロ契約ではないメンバーは業務とラグビー競技活動を高いレベルで両立させるという、独自の体制をもつ。
今季は「ビバー(VIVA)」をスローガンに、セットプレーを重視した攻めのラグビーを展開し、目標達成に強い意欲を示す状況にある。
キャプテンは、地域社会や協力会社からの支援を力とし、スポーツを通じて社会に貢献する意思を強く表明している。

新シーズンでの飛躍を誓う豊田代表理事
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
業務と競技を両立させる「二刀流」体制の独自性と貢献
清水建設江東ブルーシャークスの最大の特徴は、選手たちが競技活動に加え、建設現場を含む清水建設グループの業務に従事する「二刀流」の取り組みを実践している点にある。
チーム総勢55名のうち、日本人選手37名は全員がグループ会社などに在籍し、組織人としての責任を果たしつつ、ハイレベルな競技を追求している。
これは、企業スポーツがもつべき、組織への貢献と競技力向上の両立という理想的な姿を具体化するものである。
彼らの日常は、極めて高い時間管理能力と規律が要求される。
プロ契約選手を除いたメンバーは、午前7時30分から9時30分、および10時30分から11時の練習を終えた後、午後からは直ちにそれぞれの職場で業務に従事する体制が徹底されている。
建設業においては、工期厳守や労働時間短縮が喫緊の課題であり、限られた時間の中で最大の成果を出す生産性向上策が求められて久しい。
彼らが実践する「二刀流」は、多忙な環境下での時短術とパフォーマンス最大化を実現するための具体的なモデルケースを提供する。
練習と業務の両立は、体調管理の徹底も不可欠であり、過酷なスケジュールの中で万全のコンディションを維持することは、建設現場における安全管理と品質維持の重要性を改めて浮き彫りにする。
業務と競技を両立させる「二刀流」体制の独自性と貢献
チームの指導者層は、選手たちの意識改革を図るため、「サンガーマン」というチーム哲学を浸透させている。
「サンガーマン」とは、清水建設の現場で培われる職人気質や仕事に真摯に向き合う姿勢と、ラグビーに不可欠な献身性、そして結束力を融合させた概念であると理解できる。
建設業とラグビーという、一見異質なフィールドで求められる「チームワーク」「責任感」「困難に立ち向かうタフネス」といった資質は、相互に補完し合い、個々の選手およびチーム全体の能力を高めている。
業務を通じて得た組織への貢献意識は競技活動に反映され、ラグビーで磨かれた団結力と危機対応能力は、日々の業務に還元される好循環を生み出している。
長年の悲願、ディビジョン1昇格への戦略的挑戦
創立50周年という大きな節目を迎えた今シーズン、ディビジョン1昇格はチームにとって長年の悲願であると同時に、達成すべき最大のミッションとなっている。
ラグビーリーグワンのディビジョン2は全13チームで構成されており、ホスト&ビジターでの総当たり戦が行なわれる激戦区である。
この競争を勝ち抜き、昇格を果たすためには、過去の成功体験に固執せず、常に変化を恐れずに戦略的な進化を続ける必要がある。
今季のスローガン「ビバー(VIVA)」は、チームが目指す攻めのラグビーを象徴している。
これは、昨シーズンの課題であったスクラムやラインアウトなどの「セットプレー」の重要性を再認識し、ボールが止まる時間を減らす「セットピース(ビバー)」を基本戦略として徹底的に強化する意図を示す。
この迅速で攻撃的な戦略転換は、建設プロジェクトにおける新しい工法の導入や計画の柔軟な見直しといった、ビジネス上の意思決定プロセスにも通じるものがある。
リスクを適切に評価し、改善点に対して積極果敢に取り組む姿勢は、現場の生産性向上に直結する重要な要素である。
新戦力の加入とキャプテンのリーダーシップ、地域貢献への意識
新戦力として、アイルランド代表で活躍した経験をもつオーストラリア出身のビリー・バーンズ選手(31歳)がスタンドオフとして加わり、チームの攻撃を牽引することが期待される。
また、加入2年目でキャプテンに抜擢されたロックの安達航洋選手(23歳)は、競技経験の有無に関わらず、清水建設グループ、協力会社、そして地域社会からの広範な応援を力に変え、勝利を追求する姿勢を示している。
彼は、ラグビーというスポーツを通じて社会にポジティブな影響を与え、それが地域社会への貢献に繋がることを強く認識している。
このキャプテンの発言は、建設業が地域社会と不可分な関係にある産業であることを示唆する。
建設業の活動は、社会インフラの構築を通じて地域に貢献しており、ラグビーチームの活動を地域に開放し、交流を深めることは、企業のブランド価値向上に大きく寄与する。
これは、長期的な視点での優秀な人材確保や、協力会社との強固な信頼関係構築にも資する、極めて重要な戦略である。
ステークホルダーとの絆を深める地域密着型の取り組みは、建設業における安定的な事業運営の基盤を強化するものである。

キャプテンに抜擢された安達選手(右端)=清水建設提供
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
建設業界が学ぶべき組織マネジメントと革新へのメッセージ
チームがディビジョン1昇格に挑む姿勢は、建設業界が直面する2024年問題をはじめとする構造的課題に対し、現状維持を打破し、革新を追求するという、業界全体へのメッセージを内包する。
厳しい環境下で設定された高い目標達成を目指す彼らのプロフェッショナルな取り組みは、建設現場の管理者や経営層にとって、組織マネジメントや人材育成のあり方に関する多くの貴重な教訓を提供している。
彼らの成功は、仕事と競技で培われた規律と献身性を、高いレベルで融合させ、一つの共通目標に向かって邁進する点に集約される。
これは、建設現場におけるプロジェクト成功の原則そのものであり、チーム運営と生産性向上の両面において極めて有益な学びとなる。
ラグビーで磨かれるタフネスと、建設業務における計画性と緻密な実行能力の融合こそが、「サンガーマン」の哲学が目指す組織力の最大化なのである。
彼らの挑戦の行方は、今後も建設業界の注目を集め続けるだろう。
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