切土110万・盛土140万㎥――廿日市で始動した西松建設の官民連携・超大型造成現場とは

広島県廿日市市において、新たな産業拠点となる物流団地の造成工事が本格的に始動した。
本事業は、調査・設計から施工、さらには企業誘致や用地売却に至るまでを一括して支援する「包括的民間委託方式」を採用しており、施工は西松建設が担当する。

去る19日、現地の上平良地区では安全祈願祭と起工式が執り行なわれ、発注者である廿日市市や施工関係者など約80名が出席し、全工期の無事故・無災害を祈念した。
開発総面積は約24.2ヘクタールに及び、そのうち約9.6ヘクタールが事業用地として整備されるほか、市道や上下水道、調整池などのインフラ整備も並行して行なわれる計画だ。

竣工は2028年春を目指しており、物流機能の強化による地域経済の活性化や、市外からの企業立地促進、さらには既成市街地における住工混在の解消といった多面的な効果が期待されている。

Q. 今回採用された「包括的民間委託方式」とは、従来の公共工事と何が異なるのか?

従来の公共工事では、設計、施工、運営といった各フェーズを個別に発注するのが一般的であった。しかし、今回採用された包括的民間委託方式では、これらのプロセスを一括して民間のノウハウに委ねる手法がとられている。
西松建設は単に造成工事を行なうだけでなく、調査・設計段階から関与し、さらには企業誘致や土地の売却支援までを担うことになる。
建設業者、特に地域の中小建設企業にとって注目すべき点は、この方式が採用されることで、民間企業のもつ技術力やノウハウが最大限に活用される現場になるということだ。

行政主導の画一的な管理ではなく、効率性やスピード感が重視されるため、協力会社として参画する場合も、高い施工品質と工程管理能力が求められる現場となるだろう。
また、西松建設の社長が「地域との連携を深め」と述べているように、大手ゼネコンと地元企業がどのように連携し、地域経済に還元していくかが、本プロジェクトの成功の鍵を握るといえる。


造成工事の完成イメージ(西松建設提供)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

Q. 切土・盛土のボリュームが非常に大きいが、技術的なポイントはどこにあるか?

本工事における土工量は、切土が約110万立方メートル、盛土が約140万立方メートルと想定されており、極めて大規模な土木工事となる。
単純計算でも合計250万立方メートルもの土砂を動かすことになり、この規模の土工を効率的かつ安全に進めるためには、高度な重機運用計画と綿密な土量配分計画が不可欠だ。

特に注目すべきは、切土と盛土のバランスである。盛土量が切土量を上回っているため、土砂の流用計画や外部からの搬入、あるいは土質の改良といった土質工学的な検討が重要になるだろう。
また、造成地内には幅員12メートルの市道二重原線や区画道路、歩道、緑地、調整池などが整備される予定であり、単なる整地にとどまらない総合的なインフラ構築能力が問われる。

現場監督や職人にとっては、大型重機が錯綜する中での接触事故防止や、粉塵対策、周辺環境への配慮など、安全管理面でも非常にレベルの高い対応が求められる現場となることは間違いない。
工期は2028年春の竣工、事業完了は2030年3月を目指していることから、長期間にわたる安定した稼働が見込まれる点も、建設業界にとっては重要な要素である。

Q. 「地域経済の活性化」とあるが、地元建設業者へのメリットは具体的にどのようなものが考えられるか?

大規模な造成工事においては、元請けとなる大手ゼネコン1社だけで全ての業務を完結させることは不可能である。土木工事、舗装工事、上下水道工事、法面保護工事など、多岐にわたる専門工事業者の協力が必要不可欠だ。
本プロジェクトでは、産業団地としての事業用地整備に加え、公共インフラである市道や上下水道の整備も含まれている。
これにより、地元の専門工事業者や資材納入業者にとっても、直接的および間接的な受注機会の拡大が見込まれる。

松本市長が「これからのまちづくりの象徴」と期待を寄せているように、この物流団地は単なる工業用地ではなく、地域の産業基盤を支える重要拠点となる。
造成工事段階での雇用創出はもちろんのこと、企業誘致が進めば、工場や物流倉庫の建設といった建築工事の需要も発生する。
つまり、足元の土木需要だけでなく、中長期的な建築需要へと波及していく可能性が高い。
地元企業にとっては、西松建設との連携を通じて実績を積み、将来的な民間設備投資の需要を取り込む絶好の機会と捉えることができるだろう。


松本市長
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

Q. 安全管理面で特に留意すべき点は何か?

起工式において、西松建設の細川社長が「全工期無事故・無災害を目指す」と決意を述べている通り、安全管理は最優先事項である。特にこれだけ大規模な切盛土工事では、重機の転倒や地盤崩壊のリスクに対する警戒が必要だ。
加えて、開発面積が約24.2ヘクタールと広大であるため、現場内の移動や資機材の搬入出における交通労働災害の防止も課題となる。

また、周辺地域への影響も考慮しなければならない。現場は既成市街地の住工混在解消も期待されているエリアであり、近隣住民への騒音・振動対策や、工事車両の運行ルート管理など、地域社会との共生を図るための「対外的な安全管理」も、現場監督や作業員一人ひとりに求められる。
大手ゼネコンの管理下で行なわれる大規模現場は、最新の安全衛生基準やICT建機の導入など、最先端の現場管理手法を学ぶ場としても機能する。参画する中小建設企業にとっては、自社の安全管理水準を引き上げる好機ともなり得るだろう。

まとめ

広島県廿日市市で始動した「未来物流産業団地」の造成事業は、官民連携による包括的民間委託方式を採用した先進的なプロジェクトである。
切土・盛土あわせて250万立方メートル規模の大規模土工に加え、インフラ整備も含む長期プロジェクトであり、地域建設業界への経済波及効果は計り知れない。
西松建設の技術力と地域企業の連携により、2028年の竣工に向けた安全かつ高品質な施工が期待される。

 

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