浮体式洋上風力へ本格参入、JFEエンジニアリングの基礎製造戦略
JFEエンジニアリング株式会社は、再生可能エネルギー分野における重要施策として、浮体式洋上風力発電設備に用いる風車基礎の製造事業への本格参入を明らかにした。同社は三重県津市にある津製作所において、基礎部分のモジュール製造から最終組み立てまでを一貫して担う体制を構築したとする。
特筆すべきは、同社がすでに岡山県笠岡市にて着床式洋上風力の基礎である「モノパイル」の製造拠点を稼働させている点だ。今回の浮体式への進出により、JFEエンジニアリングは浮体式と着床式の双方において、鋼製基礎の製造が可能な国内唯一のメーカーとしての地位を確立することとなる。国からの補助金採択も受け、2030年までには年間24基以上の浮体式基礎を製造・出荷できる量産体制の実現を目指す方針だ。

基礎を製作する津製作所(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q. 今回の参入における最大のポイントは何か?
最大の焦点は、JFEエンジニアリングが「浮体式」と「着床式」という二つの主要な洋上風力発電基礎の製造技術を、一社単独で保有する国内唯一の企業となった点だ。2024年には国内初となる着床式用モノパイル製造工場が岡山県笠岡市で稼働を開始している。これに加え、今回津製作所での浮体式基礎製造体制が整ったことで、設置海域の水深や地盤条件に応じた柔軟な対応が可能となる。
日本の近海は遠浅の海が少なく、水深が深い海域が多いことから、浮体式への期待は大きい。双方の鋼製基礎を供給できる体制は、今後の国内洋上風力市場において極めて強力な競争優位性をもつといえる。
Q. 生産拠点となる「津製作所」にはどのような強みがあるのか?
三重県津市に位置する津製作所は、55年以上にわたり橋梁や鋼構造物の製造を手掛けてきた歴史ある拠点だ。長年の操業で培われた高度な溶接技術や大型構造物の取り扱いノウハウは、過酷な海洋環境に耐えうる風力発電基礎の製造に不可欠な要素である。
設備面においても、国内最大級の規模を誇る海洋ドックと広大な屋外ヤードを有しており、巨大な浮体式基礎の組み立てや保管、出荷に適した環境が整っている。既存のインフラと技術的蓄積を最大限に活用することで、高品質かつ国際競争力のある製品づくりを目指す構えだ。
Q. 事業展開にあたり、公的な支援や具体的な目標数値はあるか?
本事業は、経済産業省が主導する補助金制度「令和7年度GXサプライチェーン構築支援事業III(浮体式等洋上風力発電設備)」に申請し、採択されている。この公的資金を活用して津製作所への設備投資を行ない、浮体式基礎の製造にワンストップで対応可能な体制を整備した。具体的な生産目標としては、2030年までに浮体式基礎を年間24基以上製造・出荷できる量産体制を敷くとしている。国家プロジェクト級の支援を受けながら、確実な供給能力の確保へと動いていることが読み取れる。
Q. サプライチェーン全体や関連企業への影響は?
洋上風力発電の基礎製造は、単なる部材加工にとどまらず、素材供給から組み立て、さらには稼働後のO&M(運営・維持管理)に至るまで、広範な産業連携が必要となる。JFEグループでは、素材から基礎製造、そしてメンテナンスまでをグループ内で連携させることでシナジー(相乗効果)を創出する戦略を描いている。
これはグループ内だけでなく、建設地周辺の協力会社や物流業者を含めたサプライチェーン全体への波及効果も期待させる動きだ。特に、津製作所のような大規模拠点がフル稼働し、量産体制に入れば、地域経済や関連する建設・港湾事業者への仕事量の増加も見込まれるだろう。

※画像はイメージです。
Q. 最終的な事業のゴールはどこにあるのか?
短期的な収益確保はもちろんであるが、大局的には洋上風力発電の普及推進を通じた「カーボンニュートラル社会の実現」が最終的な到達点とされている。再生可能エネルギーの主力電源化には、発電設備の国産化と安定供給が欠かせない。
JFEエンジニアリングは、浮体と着床の両輪で日本の洋上風力産業を牽引し、脱炭素社会のインフラ構築に貢献する姿勢を鮮明にしている。
まとめ
JFEエンジニアリングによる浮体式洋上風力基礎への本格参入は、日本の再生可能エネルギー産業において画期的なニュースである。
津製作所(浮体式)と笠岡地区(着床式)という二大拠点を擁し、国内唯一の全方位的な基礎メーカーとして地歩を固めた意義は大きい。55年の歴史をもつ津製作所の技術力と、国の補助事業という追い風を受け、2030年の量産目標に向けた動きが加速する。
建設業界にとっても、こうした大規模なインフラ製造拠点の稼働は、新たなビジネスチャンスや雇用の創出につながる重要な動向である。
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