飯田橋駅前で計画されている延べ床面積20万平方メートル超の大規模再開発が、いよいよ本格始動する。
本記事では、飯田橋駅前再開発の工事規模やスケジュール、建築・土木工事の内容を整理し、現場監督や建設会社が押さえておきたいポイントを解説する。
飯田橋駅前で始動する大規模再開発とは?|下宮比町地区の約10年プロジェクト
東京都新宿区の下宮比町(しもみやびちょう)地区において、飯田橋駅周辺の景観を一変させる大規模な再開発プロジェクトが具体的に動き出した。事業主体となる「下宮比町地区市街地再開発準備組合」は、このほど「(仮称)下宮比町地区第一種市街地再開発事業」に関する環境影響評価(環境アセスメント)調査計画書をまとめ、縦覧手続きを開始した。
計画地は、飯田橋駅の北西側に位置する約1.5ヘクタールの敷地であり、都道433号(大久保通り)と都道8号(目白通り)に挟まれた交通の要衝である。本プロジェクトでは、延べ床面積約20万8000平方メートルにも及ぶ巨大な建築物が計画されており、オフィス、住宅、商業施設、ホテルなどが集積する複合都市機能の形成を目指す。
特筆すべきは、2029年度の着工から2038年度の全体完成まで、約10年に及ぶ長期的な工期が設定されている点だ。駅と街をつなぐ歩行者ネットワークの強化や、老朽化したインフラの更新も含まれており、単なるビルの建設にとどまらない、都市基盤の再構築を伴う重要案件である。

エリア内にA~C棟を建設する(環境アセス調査計画書から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1. 飯田橋駅前再開発で建設される建物の規模と構成は?
この再開発は、飯田橋駅前エリアにおいても最大級の建設規模を誇るプロジェクトである。
建物の構造や用途が異なる複数棟を同時に施工する点が、大規模再開発ならではの特徴といえる。
この再開発では、敷地内に大きく分けて「A棟」「B棟」「C棟」の3つの建物が建設される計画だ。それぞれの棟は用途や構造が異なり、工区ごとに異なる施工管理や専門技術が求められることになるだろう。
まず、飯田橋駅に最も近い場所に位置するのが「A棟」である。この建物は、S造(鉄骨造)およびSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)を採用し、地下2階、地上32階建ての高層ビルとなる。延べ床面積は約10万6000平方メートルと3棟の中で最大規模を誇り、主な用途はオフィス、ホテル、店舗となる予定だ。駅前の顔となるランドマーク的な役割を担うことになる。
次に、エリア西側に建設されるのが「B棟」である。こちらはRC造(鉄筋コンクリート造)を採用し、地下2階、地上47階建てという超高層タワーとなる計画だ。延べ床面積は約9万2000平方メートルで、主に住宅と店舗で構成される。47階建てという高さは、都心の住宅建築としても有数の規模であり、RC造の施工における高度な技術力が要求される現場となることは間違いない。
そして、エリア北側に配置されるのが「C棟」である。規模は他の2棟に比べて小規模な延べ約1万平方メートルで、RC造の地下2階、地上14階建てとなる。用途は住宅とオフィスが計画されている。
これらA~C棟は、外観上は独立したタワーに見えるものの、地下通路や歩行者デッキによって相互に接続される構造となる。法的な扱いとしても、建築基準法においてこれら全体を「1棟の建築物」としてみなす設計となっている点が特徴的だ。このため、各棟の連携部分の施工や、一体的な防災計画、動線設計が施工段階においても重要なポイントとなるだろう。
Q2. 飯田橋駅前再開発の工事スケジュールはどう進む?
本プロジェクトは、足掛け10年近くに及ぶ長期プロジェクトとなる。現時点でのスケジュールでは、工事着手は2029年度を目指している。これは、権利変換や実施設計、既存建物の退去等の準備期間を見越しての設定である。
着工後、まず主要な建物であるA棟、B棟、C棟の建設が進められ、これらの利用開始(竣工)は2037年度を予定している。つまり、本体工事だけで約8年間の工期が見込まれていることになる。この期間中、飯田橋エリアには大規模な建設現場が常設されることになり、資材搬入車両の運行管理や、周辺交通への配慮が長期にわたって求められることになるだろう。
さらに、建物が完成して終わりではない。A~C棟の利用開始後、エリア西側に残る医療施設の別館の解体工事が行なわれる手順となっている。この解体跡地などを活用して広場空間が整備され、プロジェクト全体の完成(供用開始)は2038年度末となる計画だ。段階的な施工と供用開始が行なわれるため、現場内でのエリア分けや、一般利用者と工事車両の動線分離など、綿密な仮設計画が不可欠となる。
Q3. 飯田橋駅前再開発で行なわれる土木・インフラ工事の内容は?
本事業は「市街地再開発事業」であるため、単に敷地内にビルを建てるだけでなく、公共的なインフラ整備もセットで行なわれる。
まず注目すべきは、飯田橋駅前の歩道橋架け替えへの協力だ。現在、駅前の交差点には老朽化した歩道橋が存在するが、再開発に合わせてこれが更新されることになる。交通量の多い飯田橋交差点での架設工事となるため、夜間工事や交通規制を伴う難易度の高い土木工事が予想される。
また、地下鉄との接続強化も計画されている。都営大江戸線の飯田橋駅に対して、新たな出口の設置が検討されているほか、改札から地上へ直結するエレベーターの整備も構想されている。これにより、地下鉄駅から再開発ビル、そして地上へのバリアフリー動線が確保されることになる。地下掘削を伴う工事となるため、地盤改良や土留め支保工など、専門的な土木技術が必要とされる。
さらに、敷地内には広場も整備される計画であり、外構工事や植栽工事、舗装工事といった造園・景観形成に関わる職種の需要も発生する。駅と街をつなぐ機能の強化によって賑わいを生み出すことが目的とされており、これらのインフラ整備は建物の価値を高めるうえでも極めて重要である。

※画像はイメージです。
Q4. 飯田橋駅前再開発の進捗状況と今後の見通しは?
現在は、事業に向けた環境アセスメントの段階にある。下宮比町地区市街地再開発準備組合が作成した調査計画書は、東京都環境局や新宿区環境清掃部などで縦覧に供された。この環境アセスメントの手続きを経て、都市計画決定、組合設立認可、権利変換計画認可といった法的なプロセスを順次クリアしていく必要がある。
2029年度の着工まではまだ時間があるように感じられるかもしれないが、これだけの規模のプロジェクトであれば、解体工事の計画や施工業者の選定、資材調達の計画などは数年前から動き出すのが通例である。特に、近年の建設業界における人手不足や資材価格の高騰を鑑みれば、早期の段階から動向を注視しておく必要がある。
A棟のS造/SRC造、B棟・C棟のRC造と、主要構造が異なる建物が混在するため、鉄骨鳶、鉄筋工、型枠大工、コンクリート圧送工など、多岐にわたる職方の確保が課題となるだろう。また、32階建てや47階建てといった高層建築においては、揚重計画や仮設計画が工期を左右するため、鳶職や施工管理者の手腕が問われる現場となるはずだ。
飯田橋駅前再開発は、建築工事と土木工事が長期間にわたって並行する、都内でも有数の大規模建設プロジェクトである。
工事規模や工程を把握しておくことは、協力会社や職人にとっても重要な情報となる。
まとめ|飯田橋駅前で進む大規模再開発工事の注目ポイント
飯田橋駅前の下宮比町地区における再開発は、延べ20万平米超という圧倒的なスケールと、約10年に及ぶ工期をもつ巨大プロジェクトである。オフィス、ホテル、高層住宅の建設に加え、歩道橋の架け替えや地下鉄新出口の整備など、建築・土木の両面で高度な技術と多くの労働力が必要とされる。
2029年の着工に向け、都内でも有数の注目現場となることは確実だ。今後の入札情報や施工体制の発表を注視していきたい。
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