建機大手3社がそろって減収―決算に見る建設需要の“変調”
建設機械大手3社による2026年3月期第3四半期の決算が出そろったが、業界全体に波紋を広げる結果となった。特筆すべき点は、3社とも売上高が前年同期比で減収となったことである。世界的な建設需要のバロメーターともいえる建機市場において、各社が苦戦を強いられた背景には、地域ごとに異なる複雑な要因が絡み合っている。
コマツに関しては、アジア地域での売上高が前年同期比で約3割もの大幅なマイナスを記録したことが響いた。特にインドネシア市場での需要低迷が顕著であり、この要因として石炭価格の停滞や公共工事における予算制約が挙げられている。
日立建機においては、主力市場である米州やオセアニア地域での不振が目立った。オセアニアではマイニング主体のオーストラリアで鉱山建機の受注が伸び悩み、米州ではOEM事業縮小に伴う独自展開のスピードが追いついていない現状が浮き彫りとなった。
コベルコ建機についても、日本国内および欧州需要の低調さが影響し、減収を余儀なくされている。
本記事では、これら決算内容の詳細を紐解きながら、建設業界を取り巻く現状と今後の市場動向について、よくある疑問に答える形で解説していく。

建機メーカー3社の2026年3月期第3四半期決算
(*億円未満切り捨て。カッコ内は前年度比(%)。上段は2026年3月期第3四半期決算。下段は26年3月期予想。コマツは米国基準。日立建機は国際会計基準(IFRS))
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q. アジア市場、特にインドネシアでの大幅な落ち込みにはどのような背景があるのか?
コマツの決算内容を見ると、アジア地域の第3四半期累計売上高は2417億円にとどまり、前年同期と比較して約1000億円もの下振れが発生している。これは極めて大きなインパクトであり、中南米、欧州、アフリカ、中近東といった他地域での売上増をすべて相殺してしまうほどの規模である。
この背景には、インドネシア市場特有の事情が深く関わっている。インドネシアは資源国として知られ、鉱山機械の需要が建機メーカーの業績を大きく左右する市場である。しかし、昨今の石炭価格の停滞により、現地のマイニング事業者の投資意欲が減退し、結果として建機需要が低迷したと考えられる。
また、もう一つの要因として挙げられているのが公共工事の予算制約である。インフラ開発などの公共事業は建設機械の需要を支える大きな柱であるが、ここの予算執行が滞る、あるいは抑制されることによって、新規の機械購入需要が冷え込んだとみることができる。
これに加え、前年度に北米市場で鉱山機械の大口案件があったことの反動減も重なり、主力の建設機械・車両セグメント全体での売上高減少につながったのである。このように、特定の地域や特定の産業(この場合は鉱業)への依存度が高い場合、その市況の変化がダイレクトに業績に跳ね返ってくる構図が見て取れるだろう。
Q. 北米・中南米市場の動向と、各社の戦略の違いはどこにあるのか?
北米や中南米といった米州市場は、各社にとって重要な収益源であるが、ここでも明暗や課題が分かれている。コマツは中南米では伸長したものの、北米での反動減の影響を受けた。一方、日立建機は米州全体で構成比トップを占めるものの、売上高は5%減と不振であった。
日立建機が米州で苦戦した要因の一つには、OEM事業の縮小という独自の事情が存在する。以前は米ディア社との合弁事業として北米市場を開拓していたが、2022年にこれを解消し、現在は自社ブランドによる独自展開を拡大している最中である。しかしながら、解消発表時に「当面の間」としたディア社へのOEM供給が縮小段階に入っており、独自展開の進展スピードとの間にギャップが生じているのが現状である。
つまり、自社製品の販売網構築や顧客獲得のスピードが、OEM供給減少のスピードに追いついていないという課題が浮き彫りとなった形である。この過渡期ともいえる状況において、いかにして独自展開を加速させ、市場シェアを確保していくかが今後の大きな焦点となるだろう。
Q. 3社とも減収ではあるが、円安などの為替影響や今後の見通しはどうなっているのか?
円安は輸出企業にとって追い風となることが多いが、今回の決算ではその影響は限定的、あるいは複雑なものとなっている。
コマツに関しては、利益面において前年度比での円高や物量減、コスト増といったマイナス影響を受け、主力の建設機械・車両セグメントの利益は前年同期比14.7%減の3626億円となった。円安基調とはいえ、前年度比較での為替差損益やコスト増加圧力が上回った結果である。
一方で、日立建機やコベルコ建機の通期予想を見ると、明るい兆しも見える。日立建機は通期予想において、売上高、営業利益、純利益を上方修正した。これは、米国の建設需要が当初の見込みよりも堅調に推移したことなどを加味したものである。米州市場でのOEM縮小という課題はあるものの、市場全体の底堅さが業績を下支えする可能性を示唆している。
コベルコ建機についても、販売台数減少を見込んで売上高は下方修正したものの、経常利益については円安進展による輸出採算改善やコスト改善により上方修正を行なった。このように、為替の影響やコスト削減努力によって、減収ながらも利益を確保しようとする動きが見られる。

※画像はイメージです。
まとめ
大手建機3社の決算は、世界経済の動向、特に資源価格や公共投資の動向に大きく左右される結果となった。アジアやオセアニアの鉱山需要が停滞する一方で、北米市場などでは底堅い需要も見られるなど、地域による濃淡がはっきりとしている。
国内の中小建設業者にとっても、こうした海外市場の動向は、建機価格や納期、さらには将来的な景況感を占ううえで重要な指標となるだろう。各社が今後どのような戦略で市場環境の変化に対応していくのか、引き続き注視が必要といえる。
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