約95億円規模で新校舎整備―三田市が進める統合中学校プロジェクト
兵庫県三田市は、少子化に伴う学校規模の適正化を図るため、市立上野台中学校と市立八景中学校を統合する「新統合中学校基本構想・基本計画(案)」を策定した。このプロジェクトは、概算事業費として約95億円を見込む大規模な公共工事となる。計画によれば、同市川除地内の約3万平方メートルの敷地に、延べ床面積1万平方メートルを超える新校舎等を整備する方針である。
特筆すべき点は、環境配慮型建築として木材の積極的な利用やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を推進する点にある。今後のスケジュールとしては、2026年度から造成工事および基本・実施設計に着手し、2028年度の建設工事着手、2031年4月の開校を目標に据えている。地域建設業界にとっても、技術力が問われる注目の案件となることは間違いない。
Q. 具体的にどのような施設が建設されるのか?
計画されている施設の総延べ床面積は1万848平方メートルに及ぶ。その中核となる校舎棟は、鉄筋コンクリート造(RC造)3階建てで、延べ面積は8685平方メートルを想定している。
また、体育館は平屋建てで1475平方メートルとなる計画だ。教育環境の充実を図るため、グラウンドとは別にテニスコートを4面整備することも盛り込まれている。建設予定地は三田市川除地内で、敷地面積は3万291平方メートルと広大である。既存の学校施設を統合し、新たな敷地に最新の設備を備えた学び舎を創出する一大プロジェクトといえる。

完成イメージ
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q. 予算の内訳はどうなっているか?
総事業費95億円のうち、純粋な建設工事費としては65億円が見込まれている。残りの30億円は、計画策定や設計費、その他の諸経費に充てられる計画である。
建設資材価格の高騰や労務費の上昇が続く昨今の建設市況において、65億円という建設予算がどのように執行管理されるかは、入札参加を検討する企業にとっても重要な関心事となるだろう。基本構想・計画の策定支援業務は浦辺設計が担当しており、今後の基本設計・実施設計の段階で詳細な仕様が詰められていくことになる。
Q. 今回の計画で強調されている「ZEB化」とは何か?
ZEB(Net Zero Energy Building)とは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した建物のことである。三田市の新中学校計画では、このZEB化の取り組みを推進することが明記されている。
具体的には、高断熱化による省エネと、太陽光発電などによる創エネを組み合わせることになるだろう。公共建築物における脱炭素化は国策としても強く推し進められており、地域の中小建設業者にとっても、ZEB施工の実績やノウハウの蓄積は、今後の受注競争力を左右する重要な要素となる。断熱施工の精度や省エネ設備の導入など、高い技術力が現場に求められることになる。
Q. 木材利用はどのように進められるのか?
鉄筋コンクリート造の校舎であっても、内装や構造の一部に木材を利用することで、環境負荷の低減と木の温かみのある教育環境の創出が図られる。本計画でも木材の利用促進が掲げられており、地場産材の活用などが検討される可能性がある。
RC造と木材を組み合わせた混構造や、内装木質化の施工技術は、近年多くの公共施設で採用されており、対応できる職人の確保や施工管理能力が問われる。
Q. 着工までの流れと工期は?
2026年度から基本設計および実施設計が開始されると同時に、敷地の造成工事も行なわれる予定である。その後、2028年度から本格的な建設工事に着手し、約3年間の工期を経て、2031年4月の開校を目指す。
設計期間と施工期間が十分に確保されているようにみえるが、大規模建築かつZEB仕様という高度な施工が求められるため、工程管理は緻密に行なう必要があるだろう。

※画像はイメージです。
Q. 地域建設業者にとってのビジネスチャンスは?
総額95億円、建設費だけでも65億円という規模は、地域経済に与えるインパクトが大きい。元請けとなるゼネコンだけでなく、下請けとして入る専門工事業者、資材納入業者、警備や運搬などの関連産業まで、幅広い層に仕事が波及することが予想される。
特に、造成工事から始まり、躯体、設備、外構に至るまで、長期間にわたって現場が動くことになるため、安定した受注確保の機会となり得る。また、ZEB化や木材利用といった付加価値の高い工事に携わることは、自社の技術力アピールにもつながる。
社会的背景と今後の公共工事の在り方
この統合計画の背景には、少子化による生徒数の減少と学校の小規模化がある。統合後の生徒数は500人から600人を見込み、普通教室17、特別支援教室6学級を整備する適正規模の学校を目指している。
全国的にインフラや公共施設の老朽化と統廃合が進むなか、こうした「集約化・高機能化」を伴う公共工事は今後も増加する傾向にある。単に建物を作るだけでなく、地域コミュニティの核となる施設を、環境に配慮しながら持続可能な形で整備するという視点が、これからの建設業には不可欠である。三田市の事例は、地方自治体が取り組む公共施設再編のモデルケースの一つとして、業界関係者は注視しておくべきだろう。
まとめ
三田市の新統合中学校整備事業は、95億円を投じる大規模プロジェクトであり、ZEB化や木材利用といった最新の建築トレンドを取り入れた意欲的な計画である。
2028年度の着工に向け、設計や造成が進められていくなかで、地域建設業界には高い技術力と施工能力の提供が期待される。
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