60億円の巨大案件!新穴澗トンネル工事から読み解く建設業の今

北海道開発局小樽開発建設部が発注した「国道229号島牧村新穴澗トンネル工事」において、鹿島・伊藤組土建のJVが約60億8395万円(税抜)で落札した。本工事はWTO対象の大型案件であり、技術提案評価型SI型総合評価方式などが採用されている。

概要を見ると、総延長は1800メートル、そのうちトンネル部分の延長は1518メートルに及ぶ。幅員9メートル、覆工後の内空断面積57.3平方メートルの仕様で、工法にはNATM(発破掘削・機械掘削併用方式など)を採用。省人化施工試行工事やBIM/CIM適用工事(発注者指定型)といった最先端の施工管理手法が導入される。工期は2030年3月8日までと設定されており、インフラを支える重要プロジェクトとなる。

本章では、この大規模な工事概要をベースに、建設業に従事する現場監督や職人、中小企業経営者が抱くであろう「よくある質問」の形式で、業界の最新動向と現場への影響を深掘りしていく。

Q1:新穴澗トンネル工事で採用されるNATM工法とは?現場で求められる技術水準

A1:NATM工法は、トンネル掘削において山自体がもつ保持力を活用する掘削技術だ。掘削直後にコンクリートを吹き付け、ロックボルトを岩盤に深く打ち込み固定することで地山の崩落を防ぐ。

本工事の使用資機材リストには、吹き付けコンクリート9300立方メートル、鋼製支保工810トン、ロックボルト2万2600本という膨大な材料が計上されている。現場の職人には、発破掘削や機械掘削を地質に応じて的確に使い分ける高度な技術が要求される。これらを計画的に消費していく精密な施工管理も不可欠となる。

※画像はイメージです。

Q2:「省人化施工試行工事」の導入は、現場で働く作業員や職人にどのような影響をもたらすのか?

A2:深刻な人手不足と高齢化を背景に、本工事では省人化施工が積極的に試行される。これは重機の自動化、遠隔操作技術の導入などを指す。危険な掘削の最前線での作業を機械に代替させ、過酷な労働環境を改善することで、作業員の安全を確保しつつ生産性を向上させるための取り組みだ。

現場監督や中小企業の作業員にとっても、こうした最新の省人化技術を間近で体験し適応していくことは、キャリアを形成する上で大きな財産となる。

Q3:「BIM/CIM適用工事」が中小の協力会社や事務担当者に求める対応とは何か?

A3:BIM/CIMは、3次元モデルを活用して設計から維持管理までの情報を一元管理するシステムだ。発注者指定型で導入される本工事では、元請けだけでなく協力会社にも一定のデータ連携能力や3次元図面の理解が求められる場面が出てくる。

現場監督や事務担当者は、従来の2次元図面ベースの書類作成だけでなく、デジタルデータを活用した進捗管理のノウハウを蓄積しなければならない。DXの波に対応する力が公共工事参画の前提条件となる。

Q4:2030年までという長期工期が設定されている背景と、現場マネジメントにおける課題は何か?

A4:北海道の山岳部における長大トンネル工事は、寒冷地施工技術の集大成とも言える。工事規模に加え、島牧村という厳しい自然環境が工期に大きく影響している。冬季の豪雪や寒冷環境下での作業は、資機材搬入や品質管理に困難を伴う。

事実、凍結防止工(断熱材)4000平方メートルが用意されており、寒冷地特有の対策が不可欠だ。現場監督には、長期間にわたる作業員の体調管理雪害対策など、高度なチームマネジメント能力が要求される。


※画像はイメージです。

Q5:巨大プロジェクトに対して、地元の中小建設業者はどう関わるべきか?

A5:WTO対象の案件であっても、地元企業が果たすべき役割は決して小さくない。トンネル本体の特殊な施工は大手ゼネコンが主導するとしても、掘削土砂や搬入資材の運搬、作業員の宿舎提供や食事手配、現場周辺の安全確保など、波及する周辺業務は膨大だ。

地域活性化の観点からも、巨大プロジェクトは地元へ恩恵をもたらす。中小企業は、自社の機動力をアピールし協力体制を築く姿勢が求められる。

 

近年は北海道をはじめ、全国で長大トンネル工事が相次いでいる。

関連記事:北海道新幹線「二ツ森トンネル」貫通:全工区完了し進捗加速へ

関連記事:難所を貫く技術選定と組織力:鏡石トンネル開通が示す建設現場の最適解

関連記事:都市機能を守る巨大地下トンネルの挑戦:下水道複線化と国土強靱化が切り拓くインフラ更新の新基準

まとめ

島牧村新穴澗トンネル工事は、単なるインフラ整備にとどまらず、省人化やBIM/CIMといった次世代の建設技術を実証するフィールドとしての側面をもつ。業界が直面する課題を克服し、新たな施工体制を確立するための試金石となるだろう。

職人から経営者に至るまで、プロジェクトの動向を把握し、最先端技術を取り入れていく姿勢こそが、時代を生き抜く鍵となる。

しかし、こうした巨大プロジェクトの情報は、業界紙や発注情報を日常的に追っていなければ気づきにくいのも事実だ。特に中小企業にとっては、「どこで情報を得るか」「どうやって元請や協力会社と接点を持つか」が参入可否を左右する。

公共工事は入札だけで完結するものではない。JVを中心に、多くの専門工事会社や地元企業とのネットワークが水面下で形成されていく。日常的な情報収集と業界内の横のつながりが、長期案件に関われるかどうかを決める。

本サイトでは、全国の公共工事や大型プロジェクトの動向を継続的に発信している。
また、協力会社探しや人材確保を支援する建設業向けマッチングサービス「建設円陣」も無料で活用できる。
情報収集とネットワーク構築を日常的に行うことが、次の大型案件への第一歩となる。

 

本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、 下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。


お問い合わせ

お名前必須

貴社名必須

電話番号必須

メールアドレス必須

お問い合わせ項目必須











お問い合わせ内容


LINEでお友達登録
>建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設円陣は、建設業界に特化したマッチング&求人アプリです。協力会社や職人とのマッチングはもちろん、求人掲載や採用活動にも対応。条件を入力するだけで最適な人材・企業が見つかり、AIによる募集文生成機能も搭載。発注・受注から採用まで、業界の課題をスマートに解決します。

CTR IMG
建設業特化求人サイト【円陣求人サイトへ】

建設業特化求人サイト【円陣求人サイト】

建設円陣求人サイトは建設業界に特化した求人サイトです。ログイン・投稿・応募確認まで、すべてがLINE上で完結。求人応募は登録作業一切なし。 フォーム入力だけで応募が完了し、求人掲載も無料です。業界が抱える人材不足の問題を、スマートに解決します。

CTR IMG