ペロブスカイト太陽電池を公共施設に初導入―愛知県が実証開始
愛知県は2月26日、県西庁舎において次世代の再生可能エネルギーとして注目を集めるペロブスカイト太陽電池を設置し、発電効率などを検証する実証事業を開始した。同日、西庁舎の玄関前で開催された式典では、大村秀章知事や事業関係者らによるテープカットが実施された。
大村知事は「県内の公共施設での設置は初めて。本実証を通じ課題を解決し、モデルケースを確立して導入機運を高めたい」と述べた。アイシンVC事業センターの塩田章人プレジデント執行役員は「実証を通じ発電量や発電効率、経年劣化などのデータを取得し開発に反映させたい」と意欲を示した。
式典には中部電力ミライズや関西電力ソリューション本部の担当者も出席した。西庁舎2階バルコニーの側面には計30枚のパネルが設置された。パネルは「取り付け穴なし(ビス用)」と「穴あり(ボルト用)」の2種類が用いられ、庁内のモニターで発電量を確認できる。実証期間は2028年2月までを予定する。
愛知県の官民連携による実証事業は、現場で施工を担う中小企業や現場監督、職人にとっても深く関わる重要な動向である。脱炭素社会に向けた新たな建材の登場は、施工方法や現場のあり方を根本から変える可能性を秘めている。そこで、ペロブスカイト太陽電池の普及が建設現場にどのような影響をもたらすのか、現場担当者から寄せられる「よくある質問」を参照しながら解説していく。

テープカット
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1.ペロブスカイト太陽電池とはどのような建材であり、従来のシリコン系太陽光パネルと何が違うのか。
A1.ペロブスカイト太陽電池は薄いフィルム状に加工でき、「軽く、曲がる」という特性をもつ次世代の太陽光発電デバイスである。従来のシリコン系パネルは重く、十分な強度が確保された平坦な場所にしか設置できなかった。
しかしペロブスカイト太陽電池は、重量制限で設置困難だった壁面や古い屋根、曲面部分など、あらゆる場所への導入が可能となる。西庁舎での実証事業でも、バルコニー側面という垂直に近い場所に設置されたことがその特徴を示している。建物の外壁が発電機能をもつことは、今後の建築設計や施工の概念を大きく変える要因となる。
Q2.現場での施工方法や工法に変化は生じるのか。
A2.新技術の導入に伴い、施工方法も大きく変化することが予想される。愛知県の実証事業では、「取り付け穴なし(ビス用)」と「穴あり(ボルト用)」の2種類のパネルが使用された。これは下地素材や設置場所の条件に合わせ、最適な固定方法を選択するための検証と考えられる。
従来の太陽光パネル設置では、屋根上に強固な架台を組む大掛かりな作業が求められた。しかしペロブスカイト太陽電池の場合は、外壁材に直接貼り付けたり軽量なビスで固定したりと、簡便な施工が主流になる可能性が高い。これに伴い、雨水侵入を防ぐ高度な防水処理や確実な接着技術など、より繊細な施工作業が現場に求められるようになる。
Q3.中小の建設業者にとって、この新技術はどのようなビジネスチャンスを生むのか。
A3.脱炭素社会に向けた動きは加速しており、公共施設への再生可能エネルギー導入は今後強力に推進される。愛知県が公共施設で初めて実証を開始したことは、地方自治体が本腰を入れて導入拡大を図る明確なシグナルである。公共工事を主体とする中小の建設業者にとって、いち早く新建材の施工実績を蓄積することは、入札での強力なアピールポイントとなる。
また民間市場でも、既存工場の改修工事などで外壁や屋根の修繕と同時にペロブスカイト太陽電池を後付け提案できれば、新規案件の獲得につながる。新制度や環境系の補助金を活用した提案営業により、他社との差別化を図ることができる。

南側に設置したパネル
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
まとめ
愛知県によるペロブスカイト太陽電池の実証事業の開始は、建設業界全体に新たな波をもたらす第一歩である。軽量で柔軟な次世代太陽電池の実用化が本格的に進めば、建築物のデザインから現場での施工方法に至るまで、劇的な変化を遂げることは必至である。
現場の最前線で働く建設業従事者は、こうした新建材の動向に常にアンテナを張り、新たな施工技術を習得するための準備を着実に進めなければならないだろう。日々の業務に追われるなかでも、常に最新の情報をキャッチアップし、時代の変化に柔軟に対応していく姿勢が、これからの建設業界を生き抜き、持続的な成長を遂げるための最大の鍵となるに違いない。
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