利根川上流の治水対策が本格化!中止ダム活用と既存かさ上げの全貌

関東地方整備局は、利根川上流部における新たな治水対策の対応方針案を明らかにした。昨今の異常気象に伴い全国各地で豪雨災害が頻発する中、同局は「利根川・江戸川河川整備計画」を見直した。基準地点である群馬県伊勢崎市の八斗島における目標流量を毎秒2万1200トンに修正し、そのうち毎秒4900トンを上流部で調整して下流への急激な水の流入を防ぐ方針である。

この巨大な水量を制御するため、既存ダムの機能増強や事業が中断されている「中止ダム」の活用、既存ダムのかさ上げ工事などが視野に入れられている。2025年度には「治水機能増強検討調査」が実施される予定であり、土木・建設業界にとっても今後の公共事業の動向として注視すべき案件だろう。

Q1.なぜ今、利根川上流の治水対策が大規模に見直されるのか?

利根川上流部における治水対策が本格化する背景には、近年の異常気象による激甚災害の増加が挙げられる。関東地方整備局は、1947年に関東や東北地方へ甚大な被害をもたらした「カスリーン台風」に匹敵する降雨への対応を念頭に置いている。「カスリーン台風級の災害を二度と起こしてはならない」という強い目標が掲げられており、そのためには現行の対策を大幅に強化する必要があると判断された。

具体的には、下流へ一気に水が流れ込む事態を防ぐため、上流部の既存ダムなどを最大限に活用し、毎秒4900トンの水を調整しながら流すという高度な治水機能が求められている。この方針は関係都県会議で提示され、国と自治体が連携して水害リスクの低減を目指す姿勢が明確になった。


16日にさいたま市内で開いた「利根川水系における治水計画関係都県会議」で対応方針案を提示した
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

Q2.具体的な治水対策や、予定される工事のメニューとは?

対応方針案に盛り込まれた整備メニューは多岐にわたる。まず、既存ダムにおける事前放流の実施に加え、ダムがもつ容量の再編が行なわれる。群馬県藤岡市と埼玉県神川町にまたがる下久保ダムの「利水容量」と、群馬県みなかみ町にある藤原ダムの「治水容量」を入れ替えるという運用面の見直しが計画に含まれている。

さらに物理的なハード面の整備として、現行計画に位置付けられている「烏川調節池」の整備や、既存ダムの堤体を高くして容量を増やす「かさ上げ工事」、過去に事業中断となった「中止ダム」の再始動など、大規模な土木工事を伴う施策が検討されている。これらは複合的なアプローチによって巨大な水害リスクを抑え込む広範なプロジェクト群となる。

Q3.事業が中断された「中止ダム」の活用とは、具体的にどのダムを指すのか?

中止ダムの活用については、過去に計画された6つのダムの中から有力な候補が選定された。特に事業が比較的進展していた群馬県片品村の「戸倉ダム」と、同県高崎市の「倉渕ダム」の2つが優先的に選ばれ、治水機能増強検討調査が再度行なわれる予定だ。

それぞれの治水効果量(毎秒)は、戸倉ダムが約40から430トン、倉渕ダムが約50から120トンと見込まれる。仮にこれらの整備が実現した場合、戸倉ダムには約2000億円の事業費と約15年の工期、倉渕ダムには約500億円の事業費と約10年の工期が必要になると見通されている。これらの工事が本格稼働すれば、長期間にわたって多数の建設業者や作業員が関与する一大事業となることは間違いない。

Q4.既存ダムのかさ上げ工事の有力候補と、全体的な事業規模はどの程度か?

既存のかさ上げ工事において最も有力な候補に挙がるのが、1965年に竣工した群馬県沼田市の「薗原ダム」である。機能を拡張するため約1400億円以上のコストと約20年の事業期間を見込んで実現を目指す方針が示された。

また、中止ダムの活用やかさ上げなど各種対策を総合的に行なった場合の全体像も試算されている。事業全体の期間は約30年、総事業費は5400億円から7600億円に上るという非常にスケールの大きな計画となっている。関東整備局は調査の実施時期を未定としつつも「できるだけ早期に着手」する意向を示しており、今後、詳細な調査や設計・施工へと進むと予想される。


※画像はイメージです。

まとめ

利根川上流部における新たな治水対策は、既存ダムの運用見直しから、中止ダムの再活用、さらには大規模なかさ上げ工事までを含む、総額最大7600億円規模の国家プロジェクトである。

工期も約30年と極めて長く、地域の安全を守るという意義に加え、現場の建設業界にとっても中長期的な受注機会を創出する動向となる。早期着手に向けた国や自治体の次なる動きを、引き続き注視していく必要があるだろう。

 

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