鳥羽河内ダムが本体工事へ―地域の治水安全を担う重要プロジェクト始動
三重県鳥羽市において21日、鳥羽河内ダムの定礎式が開催された。本工事は過去に幾度も浸水被害をもたらした加茂川流域の治水安全度向上を目的とする公共工事だ。施工は前田建設工業等のJVが担当し、2028年度の完成を目指し本格的な本体建設工事へ移行する。
式典には県知事や国会議員、国土交通省、地元住民など多数が参列した。三重県内で初の流水式ダム建設ということもあり、地域の安全保障に向けた関心は非常に高い。定礎式では、無事故・無災害による安全な施工と、ダムの永久堅固が力強く祈願された。

ダム式万歳三唱・くす玉開披で定礎を祝う関係者ら
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
鳥羽河内ダムの具体的な規模や特徴はどのようなものか?
鳥羽河内ダムは、重力式コンクリートダムという堅牢な形式を採用している。堤高は39メートル、堤頂長は176.5メートルに達し、総貯水容量は約296万立方メートルという大規模な構造物だ。
最大の特徴は、三重県内で初めて導入される「流水式ダム」である点だ。流水式ダムは平常時には水を貯めず、川の水をそのまま下流へと流すが、大雨などで洪水が発生した際にのみ水を貯留して下流への流量を調節する機能を持つ。これにより環境への負荷を低減しつつ、自然災害が激甚化・頻発化する昨今の状況において、流域治水の要として機能することが期待されている。
現場で働く技術者や職人にとって、こうした最新の防災インフラ建設に携わることは、極めて社会的意義の大きな仕事といえるだろう。

28年度完成を目指す鳥羽河内ダムの建設現場(三重県提供)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
地域住民との関わりや協力体制はどのように築かれているのか?
公共工事において、地元住民との信頼関係の構築は現場の円滑な進行に不可欠な要素だ。鳥羽河内ダムの定礎式においては、今月で閉校を迎える加茂中学校の最後の卒業生14人が、礎石に1文字ずつ揮毫(きごう)を行なった。地元の子どもたちの思いが込められた礎石は、ダムの堤体とともに一体化され、100年、200年と続く治水の礎となる。
地元の鳥羽九鬼水軍太鼓保存会による和太鼓演奏も披露され、地域が一体となってダム建設を祝う温かい式典となった。現場監督や職人が日々の業務にあたる際、こうした地域住民の理解と期待を背負っていることを再確認する有意義な機会となっている。
JV体制と現場の安全管理に対する姿勢は?
本プロジェクトは、前田建設工業などのJV体制によって進められている。大規模な公共工事では、元請けとなる大手ゼネコンだけでなく、地域の中小建設企業や専門工事業者など、多数の協力会社との緻密な連携が求められる。
定礎式の場において、施工者を代表した前田建設工業の社長は「JVパートナーや多くの協力会社と連携しながら皆様の期待に応える」と宣言した。さらに、工期内に高品質な構造物を完成させること、そして何より「無事故・無災害で引き渡すこと」を力強く誓約した。建設業に従事するすべての作業員にとって、労働災害の防止は最優先課題だ。最新の安全基準の遵守と徹底したリスク管理が、この巨大プロジェクトを支える基盤となっている。
建設業界や中小企業にもたらす波及効果は何か?
大規模な公共工事は、地域経済の活性化や雇用の創出に直結する。地元の中小建設業者や資材メーカーなど、幅広いサプライチェーンに恩恵をもたらす。長期間にわたる工事の中で、若手技術者や新人職人が現場経験を積み、スキルアップを図る絶好の教育の場ともなる。
最新の工法や安全管理のノウハウが元請けから協力会社へと共有されることで、業界全体の技術力底上げにつながる。現場で働く職人同士の横のつながりや、新たな取引先との関係構築など、事業拡大のチャンスが広がることも見逃せない。国土強靱化を担う建設業の役割は重要性を増している。本プロジェクトの成功は、インフラ整備の好事例として業界の発展に寄与するはずだ。
まとめ
鳥羽河内ダムの定礎式は、長きにわたる事前準備が実を結んだ重要な節目だ。三重県初の流水式ダムとして、加茂川流域の安全を守り抜くという目的のもと、JVと協力会社が一丸となって工事を進めている。
地元中学生が礎石に込めた願いを胸に、現場の作業員たちは日々、品質確保と無事故・無災害に向けた努力を続けている。人材確保や安全管理といった業界の課題を乗り越え、地域の誇りとなる巨大インフラが完成する日を心待ちにしたい。
日々の厳しい現場仕事が、やがて人々の命を救う財産に変わるという事実は、建設業に携わるすべての人にとって最大のやりがいといえるだろう。
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