🏗️ なぜ解体業を選んだのか?原点にある想い
西懸さんはもともと、道路の改修工事など土木工事の世界で約10年のキャリアを積んできた。解体業に転じたきっかけは、中学校の同級生からの一言だったという。「自分で解体やってるから来てやって」と声をかけられ、その会社に入社。2〜3年間、現場で解体の仕事を覚えた。
独立の動機はシンプルだった。「単純に、もっと稼ぎたいと思って」と西懸さんは振り返る。雇われている間は収入の上限が見えてしまう。自分でやれば、頑張った分だけ利益につながる。その思いが独立を後押しした。解体業に特別な憧れがあったわけではないが、声をかけてもらい、やってみたら自分に合っていた。中小建設業の経営者にありがちな「流れで気づいたら独立していた」という姿が、西懸さんにも重なる。
創業から最初の1〜2年間は、固定の従業員を置かずに外部の業者を手配しながら現場を指揮する形でスタートした。その後、同じ会社出身の仲間が独立に挫折し「そちらに行きたい」と相談してきたことをきっかけに、2名を一気に採用。現在はその2名と代表の3名体制で運営している。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは
允建が主に手がけるのは木造二階建ての民家解体だ。仕事の依頼元は、業界内の同業者や不動産会社からの紹介が中心で、産業廃棄物処理業者からの案件もある。紹介を通じた受注が多いため、間に一枚入る分だけ利益率が下がるという課題は感じているものの、仕事量そのものは安定して回っている状態だという。
顧客から評価されているのは、スピードと丁寧さだ。「綺麗な仕事してくれてありがとう」という声は定期的に届く。木造二階建て一棟でも、おおむね10日程度で仕上げてしまうスピード感は、発注側の期待を上回ることもある。また、工事前には必ず近隣へのあいさつまわりを実施し、騒音などに対する配慮を怠らない点も、地域に密着した解体業者としての信頼につながっている。
西懸さんが現場で意識しているのは「早く、きれいに」というシンプルな原則だ。会社のトップページにも「全ての人に誠心誠意配慮します」という言葉が掲げられており、技術だけでなく、関わる人への姿勢が允建の仕事の根底にある。
⚠️ 人手不足・若手育成…課題だらけの建設業で、どう動くか
中小建設業が共通して抱える悩みのひとつが人材確保だ。西懸さんも「もう一人、若い力が欲しい」と話す。現在は自分が打ち合わせや外出で現場を離れる際、残る2名への負担が増える。人が一人加われば、その負担を分散できる。
今後は求人にも積極的に力を入れていきたいと、西懸さんは意欲を見せる。これまでは旧知の仲間を中心にチームを組んできたが、会社をさらに成長させていくためには、新しい仲間を迎え入れることが欠かせない。一緒に働く仲間の質にこだわってきたからこそ、今の安定したチームがある。その土台の上に、次の一人を加えたいというのが今の本音だ。
求めているのは「20代で元気があって、できれば1〜2年の経験がある人」。難しいスキルよりも、体を動かすことが好きで、素直に現場に向き合える姿勢を大切にしている。未経験でも挑戦できる環境は整っており、やる気と体力があれば歓迎だという。風通しのよい職場で、自分のペースで力をつけていける——そんな環境で働きたいという人にとって、允建はきっと居心地のよい場所になるはずだ。
🌱 10年後のビジョン──若い力が活きる職場をつくる
今後の会社づくりについて聞くと、西懸さんからは明確な答えが返ってきた。「若い子たちが仕事しやすい環境を作っていきたい」。上下関係で縛られず、自分のやりやすいやり方を尊重できる職場にしたいという思いだ。「絶対こうしろ、ああしろとは言わない」と話すように、自分の経験や考え方は伝えるが、最終的にはスタッフが自分に合ったやり方でやれればよいという姿勢を持っている。
現在の従業員2名との関係も、上司と部下というよりは友人に近いフランクなものだという。年齢も27歳・29歳と、34歳の西懸さんと近く、チームとしての一体感がある。自分で考えて動ける環境こそが、スタッフの成長につながるという確信が、西懸さんの経営スタイルの根幹にある。
利益率の改善という課題についても、直接受注を増やすことで対応していきたい考えだ。そのためにも、自社の存在を地域に知ってもらうための情報発信が今後の鍵になる。「早く、きれいに」という現場の強みをいかに外に伝えるか。5年間で築いた基盤を土台に、允建の次のステージが始まろうとしている。
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取材を通じて伝わってきたのは、西懸さんの「現場で背中を見せる」という一貫したスタイルでした。多くを語らずとも、「早く、きれいに」という言葉に、5年間の仕事への向き合い方がにじみ出ていました。