🏗️ なぜ建設業を選んだのか? 原点にある「父の背中」
小田木代表が建設業界に入るのは、ある意味で「必然」だったかもしれない。父が坪井建設を創業したため、「いずれは建築関係に進む」という意識が子供の頃から根づいていた。
新卒ではあえて自社には入らず、現場管理の会社に就職。外の世界で現場管理の実務を身につけながら、いつかは父の会社に戻るつもりでいた。
転機は「太陽光の仕事が増えるから忙しくなる」という父からの呼び声だった。見込みを信じて前の会社を辞め、坪井建設へ。しかし待っていたのは想定外の現実だった。決まると思っていた仕事が思うように入らず、建築未経験の社員が3名入っていた。仕事はない、手は余っている――。そんな状態からのスタートだった。
「自分の意志で戻ったわけではないんですが、気づいたら自分が切り盛りしていかないといけない立場になっていました」と、小田木代表は当時を振り返る。
それでも腐らず、父から外構工事を教わりながら、知り合いの業者に頼んで仕事を分けてもらった。幸い道具は一式揃っていた。外注の一人親方を紹介してもらいながら、少しずつ現場を回せるようになっていった。苦境の中で地盤を固め、今の坪井建設の礎を自らの手で築いていった。

🔧 なんでもやる。それが、うちのスタイル。
坪井建設が他社に対して自信を持つ部分は何か。小田木代表は即座に「コミュニケーション能力」と答える。加えて、施主の要望や意図を的確に理解し、現場で実現できる形へ落とし込む力にも自信がある。
「職人さんって、『これしかやらない』という人も少なくない。うちはそうじゃなくて、付随する工事があれば一緒にやる。元請けさんからしたら、頼みやすいし相談しやすいんだと思います」
この「なんでもやる」スタンスは、会社全体に浸透している。もともと型枠工事や左官工事としてキャリアを積んできたベテランも、坪井建設では本職だけにとどまらず幅広い工種に対応する。別の業者を何社も呼ぶと手間もコストもかかる。それを一社でまとめて対応できることが、発注者にとっての大きなメリットになっている。
施工面でも一貫体制に強みがある。土を削ることから始まり、砕石を敷き、鉄筋を組み、型枠を立て、コンクリートを打つまで、躯体関係の一連の工程を自社で完結させることができる。この一貫施工の体制は現場の段取りをスムーズにし、品質の安定にもつながっている。
信頼できる協力業者との関係も武器だ。「変な業者に入ってもらってクレームになったら取り返しがつかない。だから信用できるところだけと付き合ってきました」。この姿勢が、元請けからの継続的な受注を支えている。かつては受注の9割を一社に依存していたが、大学の同期が起業した会社との取引や新規開拓を進め、現在は6割程度まで依存度を下げることができた。
🌊 海が近い。寮がある。だから、ここで働ける。
坪井建設の事務所がある千葉県山武市松尾町から車で10分ほど走れば、屋形海岸や木戸浜といったサーフポイントに辿り着く。朝、波に乗ってから現場へ向かう。そんな生活が、ここでは現実になる。
さらに、会社の近くには寮がある。現在は空き状況を確認する必要があるが、条件が合えば住まいの心配をせずにスタートできる環境だ。「場所が場所だから都会の若い人には難しいかな、とは思う。でも、海が好きな人にはこれ以上ない環境だと思う」と小田木代表は語る。
建設業への転職を考えたとき、最初の壁になるのが「住む場所」と「未経験でも大丈夫か」という不安だ。坪井建設はその両方をクリアできる。技術は現場で身につければいい。まず飛び込む環境として、これほど恵まれた条件はなかなかない。

🌱 ベテランが持つ技術を、次の世代へ継承する。
坪井建設が今、最も力を入れていることの一つが「技術の継承」だ。
現在、現場を支えるのは型枠工事や左官工事として長年キャリアを積んできたベテラン職人たちだ。その腕前は折り紙つきで、土を削るところからコンクリートを打つまでの一連の工程を、長年の経験と感覚で仕上げる。しかしそのベテランたちも、いつかは現場を離れる日が来る。
「これまで培ってきた技術を次の世代に伝えてもらいたい。次の世代につなぐ、そういう意識でいてほしい」と小田木代表は言う。すでに20歳の息子が入社し、ベテランのそばで技術を吸収しはじめている。同じことの繰り返しではなく、掘削から型枠・コンクリートまで多彩な工程を経験できる坪井建設の現場は、職人としての引き出しを増やすには最適な環境だ。
若い人材に向けてこんなメッセージを送る。「技術を身につければ、同年代より確実に稼げる業界です。うちのメンバーはみんな人がいい。仲良く楽しく、一緒に仕事ができる人を待っています」
平日は職人として現場に立ち、休日は海へ出る。そんな働き方が、千葉の海沿いには用意されている。
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取材を通じて感じたのは、小田木代表の「人を大切にする経営」への一貫したこだわりでした。苦境からのスタートを乗り越え、ベテランの技術を次の世代へ渡そうとする姿勢は、中小建設業のあり方として一つの手本になると感じました。