🏗️ なぜ塗装の世界へ?15歳から始まったキャリアの原点
佐藤代表が塗装の世界に足を踏み入れたのは、まだ15歳のときのことだ。今年で45歳になり、業界歴は実に30年に達する。
「本当は車やバンキン(板金)の塗装をやりたかったんですけど、そうも言ってられず、建築の塗装に入っていった感じですね」
若いうちから手に職をつけながら現場を歩み、23歳で独立、個人事業主として約12年間仕事を続ける。その後2015年に株式会社カラフルを設立し、昨年に法人化10年の節目を迎えた。
中小建設業において10年以上会社を続けるのは、決して容易ではない。リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、ウッドショック、ウクライナ・ロシア情勢……業界を何度も揺るがす波を乗り越えてきた。その根本には「運転資金は最低限ストックしておく」という堅実な財務感覚と、若い頃から叩き込んできた職人としての技術力がある。
「最低限の運転資金はとりあえずストックしておいて、材料費が上がるのはもうしょうがない。あとはできるだけ価格転嫁させてもらうことですかね。でもそれ以外にやりようがないですよね」
この率直さの中に、長年経営を続けてきた者だからこその覚悟がにじむ。
🔧 うちにしかできないこと──特殊塗装と「一社完結」という強みとは?
株式会社カラフルの主な事業は、内装塗装をメインに外装塗装、クロス工事、床張り工事、シート工事など内装系の幅広い施工だ。現場は店舗・オフィスの新装・現状回復が中心だ。
なかでも佐藤代表が誇るのが、他社ではなかなか対応できない**特殊塗装**の技術力だ。
「技術力って言ったらあれですけど、他ではあまりやらないようなこともできたりとか、そういうところですかね」
具体的には、特殊な仕上げ塗装や、家具・造作材の塗装など、専門業者が別途必要になるような工種まで一社で対応できる。独立時にわざわざ専門業者のもとへ学びに行き、自ら技術を習得したことが今も競争優位につながっている。
「うちに頼めば一社でまかなえるっていう部分もあるし、お客さんも頼みやすいんじゃないですかね」
中小建設業にとって「分離発注の手間をなくせること」は、元請けや施工管理側から見ても大きな価値だ。また経営面では、一社への依存を避け取引先を複数に分散する方針を徹底している。
「一社から受け負う金額は全体の三割に抑えるとか。じゃないと、やっぱりやってはいけないと思うんですよね」
現在の取引先は約10社、うちメイン取引先は数社という体制。利益率の低い取引先は思い切って見直しながら、健全な受注構造を維持している。
⚠️ 材料費高騰・人手不足・高齢化…課題だらけの建設業で、どう動くか?
中小建設業が直面している課題は今、かつてない複合危機の様相を呈している。資材・材料費の急騰は特に深刻だ。
「問屋の方から毎日のように電話が来ますよ。朝と晩で値段が変わってますって。値上げだったり、受注停止だったり、出荷見合わせだったり、それがもう毎日のように」
さらに塗装材料にとどまらず、設備機器の受注停止が他業種へ連鎖する構造的なリスクも見据えている。「塗装が止まれば足場屋さんも工事が減るだろうし、風が吹けば桶屋が儲かるの逆で、全部に波及してくると思うんですよね」
人手不足の問題も深刻だ。現場で20代の若手を見かけることが「大分レアですよね、今は」という現実があり、取引先の高齢化による将来的な廃業リスクも静かに進行している。
「今付き合ってる取引先も、十年ぐらいで縮小だったり止めちゃうようなお客さんも出てくるんじゃないかな。だから若い企業を抑えておいたりとか、そういうのは考えてますね」
一方で、従業員採用においては保育士から転職した35歳の女性スタッフを5年以上育成してきた実績がある。「男性がやっても女性がやっても同じようなことはできる」という考え方のもと、未経験者の受け入れにも積極的だ。頑張りに応じてしっかり処遇する──その姿勢が、少人数でも継続できる組織の礎になっている。
🌱 「日本一の塗装会社になりたい」──唯一無二であり続けるために
「日本一の塗装会社になりたいですよ」
取材の終盤、佐藤代表はこう言い切った。規模の拡大を目指す野心ではなく、職人としての誇りと積み上げてきたキャリアへの自負が込められた言葉だ。
「ただこう、唯一無二の塗装屋でありたいなっていうのはありますよね」
今後のビジョンとしては、従業員をあと数名増やすこと、取引先の新陳代謝を進めること、そして今も磨き続ける技術力でほかにはない仕事を届けていくことを挙げる。経営の助言は同業ではなく、あえて異業種の経営者から得るという姿勢も、視野の広さを感じさせる。
未来の職人へのメッセージもリアルだ。
「仕事は、AIが発達しようが何が発達しようが、大変で厳しいと思います。ただ頑張れば頑張った分だけ結果が出るようなところなので。いろんな人がいる現場での交流が楽しくて、だから続けてる人って多いと思うんですよね」
「大変さ」を隠さず伝えながら、その分やりがいも正直に語る。これが30年現場を歩んできた職人経営者の、等身大のメッセージだ。少人数でも筋を通し、技術で勝負する──株式会社カラフルの挑戦は続く。
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取材を通じて感じたのは、佐藤代表の数字と向き合いながらも「仕事の楽しさを忘れない芯の強さ」でした。飾らない言葉の中に、30年現場で磨いた職人の誇りと、経営者としての冷静な目線が同居しています。