🪟「木製建具の技術を、四代にわたって守り続ける」──出島建具有限会社・出島浩代表の仕事哲学

🪟 栃木県足利市に拠点を置く出島建具有限会社は、昭和初期の創業から約90年以上にわたり、木製建具の製造・取り付けとアルミサッシ工事、そして水回りリフォームまでを手がける地域密着の専門店である。三代目代表・出島浩氏は、高校卒業後に外で修業を積み、23歳で家業に入社。今では次男を四代目として育てながら、技術と信頼を次世代に引き継ごうとしている。職人技が問われる木製建具の世界で、変わらず「お客様第一」を貫く出島氏の仕事への想いに迫る。🔨

🏗️ なぜ建具職人の道を選んだのか?三代目が歩んできた原点

出島建具有限会社の歴史は、昭和5年頃に出島代表の祖父が個人で「出島建具店」を立ち上げたことに始まる。当時はアルミという素材がまだ存在しない時代。外回りの窓も扉も、すべて木で作られていた頃から、この会社は建具一筋で歩んできた。

「初代はアルミのない時代から始めたんです。その後、父の代になって世の中にアルミが普及してきたので、木とアルミの両方をやるようになりました。両方やっているところはあまりないんですよ」と出島代表は言う。

法人化から56期目を迎えた今、三代目として会社を引き継いだ出島代表自身も、高校卒業後に4年間の修業を経て23歳で入社した。その後、父親が脳梗塞を患ったことを機に30代前半で代表を引き継ぎ、以来25年以上、足利の地で建具の技術を守り続けてきた。

中小建設業において家業を継ぐというのは、覚悟のいることだ。しかし出島代表は「無理に継がせたわけではない」と言う。子どもの頃から親の背中を見て育ち、「ここまで続いたんだから、自分がやりたい」という気持ちで次男が自ら家業を選んだというエピソードは、この家に流れる職人への誇りを感じさせる。

🔧 うちにしかできないこと──職人技と地域密着が生む強みとは

出島建具有限会社の強みは、木製建具の製造から取り付けまでを自社で一貫して行える技術力にある。現代の住宅はほとんどが洋室化し、木製建具の需要は以前と比べて大幅に減少した。しかしその分、対応できる業者も減っており、「枠を壊さずに古くなったドアや引き戸を交換したい」といった要望には、メーカーの既製品では対応できないケースが多くある。

「そういう時こそうちの出番です。技術がないと、そういう細かい仕事はできない」と出島代表は語る。また、アルミサッシや水回りリフォームまで幅広く手がけており、リクシル製品の販売・施工登録事業者として、内窓設置など省エネ補助金を活用した工事にも積極的に取り組んでいる。

顧客との向き合い方にも、出島代表ならではのこだわりがある。問い合わせが入れば忙しくても極力待たせずに現場へ向かい、価格もリーズナブルに設定。見積もりから提案まで代表自らが行い、「お客様が工事のあとに喜んでもらえるかどうか」を常に意識しながら仕事をしている。

こうした姿勢が長年のリピーターを生み、何十年来の顧客から今でも定期的に電話が入るという。中小建設業にとって、信頼の積み重ねこそが最大の営業力だということを、出島建具は体現している。

⚠️ 建具職人はなぜ減っているのか?業界の課題と出島建具の現実

建設業界全体で職人不足が叫ばれているが、木製建具の世界はとりわけ深刻だ。和室のある住宅が減るにつれて需要も縮小し、後継者不足も重なって、木製建具を製造・取り付けできる業者はこの地域でも年々減っている。

「若い人がこれを習得して自分でやろうっていうのは、まずいない。技術はあっても、業者はどんどん減っている」と出島代表は現状を率直に語る。

さらに追い打ちをかけるのが材料費の値上がりだ。オーダーメイドの木製建具はもともと価格が張るうえに、昨今の資材高騰でさらに敷居が高くなっている。「お客様がオリジナルのものを作りたいと思ってくれないと、注文が来づらい」という現実がある。

その一方で、出島代表は補助金活用を積極的に新規顧客獲得に活かしている。国の省エネ補助金の登録事業者として、内窓設置など断熱リフォームを軸とした提案に力を入れており、毎年4月から12月にかけての補助金期間に合わせた営業活動を展開している。下請けに頼らずエンドユーザーと直接向き合う経営方針は、利益率の確保という観点からも理にかなっている。

🌱 四代目へ、そして地域へ──出島建具が守り続けるもの

現在、出島代表の次男が四代目として現場に携わっている。まだ代替わりはしていないものの、同じ仕事を共にする毎日が続いている。「自分でやりたいと言ったから入ったんです。無理にではなかった」という言葉には、職人の仕事への誇りと、その誇りが世代を超えて受け継がれていく力を感じる。

今後の展望について、出島代表は「今いるメンバーで、しっかりお客様の期待に応え続けることが大事」と言う。人員を増やすよりも、長年培ってきた技術と信頼関係を守りながら、着実に仕事を続けていく。それが出島建具の流儀だ。

昭和初期から約90年にわたり、時代の変化に合わせながらも職人の技と地域への向き合い方は変えずに歩んできた出島建具有限会社。木製建具という文化を守る担い手として、足利市の住まいに関わり続けている。中小建設業が地域に根付くとはどういうことか、その答えがこの会社の歩みの中にある。

📝 編集部コメント

取材を通じて感じたのは、出島代表の「お客様が喜んでくれるかどうか」というシンプルな軸の強さだ。約90年の歴史は、その積み重ねに他ならない。

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