🏗️ なぜ建設業を選んだのか?原点にある「家族の仕事」
久保代表が建設の世界に入ったのは、ごく自然な流れだったと振り返る。祖父も父も大工という建設一家に育ち、幼いころから現場に連れて行かれ、職人の仕事を間近で見てきた。「手先が不器用だったので職人は向いてないと感じていました。でも、別の角度で建設に関われる道があるんじゃないかと思って、建築学科の大学に進みました」
大学卒業後は大手工務店に入社し、注文住宅の現場監督を3年間務めた。その後、中小の内装工事会社に転職し、クリニック・飲食店・美容室などの店舗内装を専門的に学びながら約9年間勤め、会社負担で一級建築士も取得した。「本当に良い社長のいた会社で、そこでの経験がいまの自分の土台になっています」2025年7月末に退職し、同年中に彩和工務店を立ち上げた。
🔧うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
彩和工務店の事業領域は幅広い。木造住宅の新築工事からリフォーム、クリニック・飲食店・美容室などの店舗内装工事、さらに大工工事単独の請負と、建設業許可の必要な工事は一括して対応できる体制を整えている。創業間もない4名規模でありながら、この守備範囲の広さは一級建築士としての知識と、現場監督・内装工事の両面で培ったキャリアが支えている。
中小建設業にとって最も切実な「仕事の安定確保」という点でも、堅実な基盤を持つ。受注の主軸は前職からの取引継続と、建築資材を扱う商社・問屋ルートの紹介だ。「アドバイスを求められることをきっかけに訪問して、そこから仕事に発展してリピートいただくケースが多いです」特に大工工事の需要は旺盛で、取材時点ですでに数ヶ月先まで現場が埋まっている状態だという。「大工工事は断らざるを得ない状況が続いています。現場監督として動ける私自身の稼働と、職人のキャパシティをうまく組み合わせながら、できる範囲で丁寧に受注しています」
⚠️人手不足・DX…課題だらけの建設業で、どう動くか?
久保代表が創業の背景として強く意識しているのが、大工の急激な減少だ。2000年ごろには約60万人いた大工は、2020年時点で30万人を大きく下回ったとされる。住宅着工数の減少ペースを上回るスピードで、大工そのものの人口が失われている。
「ハウスメーカーにいたので分かるんですが、これまでの住宅業界は一人親方の大工さんに支えられてきた。でも今の若い人の働き方にはなかなかマッチしない。社会保険もなく、修業期間も長く、リスクが高い。だから、会社として制度を整えた上で大工を雇用し、単価を上げられる環境を作りたいと思ったんです」中小建設業が人手不足を嘆くだけで終わりがちな中、大工という職種の「働き方そのもの」を変えようという挑戦だ。
🌱10年後のビジョン──「大工のキャリアパス」を地域に根づかせる
久保代表の長期ビジョンはシンプルかつ明確だ。「若い大工を入れて育てて、親方にして、やがて大工の管理者にする。そういうキャリアパスを会社のシステムとして作りたい」おじいちゃんになっても体力勝負の現場に立ち続けるのではなく、40代後半からは若手を管理するポジションへ移行できる仕組みを目指す。「一人親方で体を酷使して、老後が不安——という大工を減らしたい。会社の中でキャリアを積み上げていける大工を、埼玉の地場から育てていきたい」
業界に入ってくる若者へのメッセージとして、久保代表はこんな言葉を語ってくれた。「建設業の面白さは、リアルな人との関わりにあると思います。一棟の家を建てるだけで、何十社、何十人もの人と関わる。そこで人間力が鍛えられる。デジタルで完結するものづくりが増えているからこそ、リアルのスケール感で人と協力しながら形にしていくこの仕事の醍醐味を、一周回って楽しむ世代が出てきてほしい」
「昭和の考え方が好き」と笑いながら語るその言葉の裏には、人の顔が見える建設業を守りたいという、34歳の代表らしい熱量があった。
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取材を通じて印象的だったのは、久保代表の視線が常に「10年後の大工業界」に向いていたことです。創業間もない今でも、若手育成の仕組みづくりへの思いは揺るぎなく、地域に根ざした会社のあり方を着実に描いていました。