その書類、年間いくら損している?建設会社が見落としがちな保管コストの正体

建設会社の事務所や倉庫には、長年保管され続けている書類が数多く存在します。契約書や請求書、見積書、図面、工事写真、各種申請書類など、業務上必要な資料は確かにあります。しかし、「念のため残しておこう」「捨てて問題が起きると困る」という理由で保管されている書類も少なくありません。

こうした書類は一見すると費用がかかっていないように見えますが、実際には会社の利益を少しずつ圧迫しています。資材価格や人件費の上昇が続く中、見落とされがちな保管コストに目を向けることも重要な経営改善策の一つです。

紙の書類は「無料」ではない

多くの企業では、書類を棚やキャビネットに収納し、保管スペースが足りなくなると倉庫へ移動させています。

しかし、その保管場所にもコストが発生しています。事務所や倉庫の賃料、キャビネットや収納棚の購入費、管理にかかる備品費などはすべて経費です。

例えば、書類保管のために倉庫スペースを借りている場合、その費用は毎月発生します。たとえ自社所有の建物であっても、本来は資材置き場や作業スペースとして活用できる場所を書類が占有していることになります。

「保管しているだけだからお金はかかっていない」という考え方は、経営的には正確ではありません。


※画像はイメージです

探す時間は人件費として積み上がる

保管コストの中でも特に見えにくいのが人件費です。

元請会社から過去の契約書提出を求められたり、工事内容の確認が必要になったりした際、書類を探すために時間を費やした経験はないでしょうか。

仮に社員一人が一日10分だけ書類検索に時間を使っているとします。20人規模の会社で年間240日稼働した場合、年間の検索時間は約800時間になります。

これを時給換算すると、決して小さな金額ではありません。

さらに、必要な書類が見つからない場合には再作成や再提出が必要となり、追加の労務コストが発生することもあります。

書類管理の非効率は、気付かないうちに利益率を下げる原因になっているのです。

保存義務のある書類と不要な書類を区別する

もちろん、すべての書類を処分してよいわけではありません。

契約書や帳簿、請求書などには法令で保存期間が定められているものがあります。また、税務調査やトラブル対応のために一定期間保管が必要な書類も存在します。

一方で、保存義務が終了している書類や業務上の利用価値がほとんどない資料まで保管し続けているケースも少なくありません。

まずは自社で保有している書類を整理し、
・法律上保存が必要な書類
・業務上保管しておくべき書類
・処分可能な書類
に分類することが重要です。

定期的な見直しを行なうだけでも、保管量を大幅に削減できる可能性があります。

電子保存制度を活用する選択肢

近年は電子帳簿保存法への対応を進める企業が増えています。

一定の要件を満たせば、請求書や領収書などを電子データとして保存することが可能です。紙で保管する量を減らせるため、スペースの削減だけでなく検索性の向上にもつながります。

また、クラウドストレージを活用すれば、現場事務所や外出先からでも必要な書類へアクセスできるようになります。

実際に、「Google Drive」や「Microsoft OneDrive」などのサービスを活用して書類管理を効率化する企業も増えています。

電子化は単なるDX施策ではなく、長期的なコスト削減策として考えることが重要です。

今後は「保管する理由」を明確にする時代へ

これまでは「とりあえず保管しておく」という考え方が一般的でした。しかし、経営環境が厳しさを増す中で、その慣習を続けることが利益を圧迫する要因になりかねません。

紙の書類が増えれば、保管費用も管理工数も増加します。一方で、本当に必要な書類だけを適切に管理できれば、コスト削減と業務効率化の両方を実現できます。

保管を前提に考えるのではなく、「なぜ保管するのか」「いつまで保管するのか」を明確にすることが重要です。

まとめ

書類保管は一見すると費用がかからないように見えますが、実際には保管スペース、人件費、管理工数といった見えないコストが発生しています。特に中小建設会社では、こうした積み重ねが利益率に影響することも少なくありません。

まずは保有書類の棚卸しを行ない、保存義務や利用頻度を確認しながら整理を進めることが、コスト削減への第一歩となるでしょう。

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