【給与アップの正体】2025年「賃金6%上昇」は実現するのか?建設業界の現在地と課題

国土交通省と建設業界の主要4団体は、建設技能者の処遇改善に向けた重要な一歩を踏み出した。2025年までに技能者の賃金を「おおむね6%上昇」させるという官民共同の目標を掲げ、その達成に向けて連携を強化することを確認した。この目標は、公共工事だけでなく民間工事も対象に含んでおり、過去に例を見ないほど高いハードルが設定されている。目標達成には、賃上げの原資となる労務費の確保が不可欠であり、業界団体からは公共工事設計労務単価の政策的な引き上げや、入札制度の改善など、国に対する具体的な要望が強く表明されている。

一方で、賃上げの実現には、受注段階での適正な労務費の確保や、元請から下請への適切な支払いなど、業界全体で取り組むべき課題も山積しているのが現状である。

Q1. なぜ今、「賃金6%上昇」が目標に掲げられているのか?

建設業界が直面する深刻な人手不足と、他産業との賃金格差が大きな背景にあります。国土交通省と建設業界の主要4団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会)は、この状況を打開するために、2025年までに技能者の賃金を「おおむね6%上昇」させるという、官民共同の目標を設定しました。

この目標は、2024年2月に行われた石破茂首相(当時)を交えた車座対話の場で申し合わされたものです。特筆すべきは、この目標が公共工事だけでなく、民間工事を含めた建設業界全体の賃上げを目指している点です。これは、業界全体の魅力を高め、若手人材の確保・定着を図るための強い意志の表れといえます。

実際、建設産業専門団体連合会(建専連)は、傘下の団体や企業に対し、「他産業を上回る処遇改善」を呼びかけており、業界全体で賃上げへの機運を高めようとしています。この目標は、単なる数値目標ではなく、建設業界が持続的に発展していくための重要な戦略なのです。

 

Q2. 賃上げを実現するために、国や業界団体は具体的に何をしているのか?

賃上げの原資を確保するため、業界団体から国に対し、多岐にわたる具体的な要望が出されています。

まず、**「公共工事設計労務単価の政策的な引き上げ」**です。これは、従来の実態調査に基づく算定だけでなく、政策的な判断によって単価を引き上げることで、賃上げのベースを底上げしようという狙いです。日本建設業連合会(日建連)もこの方式への転換を強く要請しています。

次に、**「公共工事の入札制度の改善」**が挙げられます。全国建設業協会(全建)の今井雅則会長は、賃上げが進まない主な原因が「落札率にある」と指摘し、受注段階で下請に支払う労務費を100%確保できる入札環境の整備を訴えています。全国中小建設業協会(全中建)からも、落札率が100%に近い水準で受注できる環境を求める声が上がっており、これは特に中小企業にとって切実な問題です。

さらに、**「元請企業への指導強化」**も重要な取り組みです。建専連は、市場の相場を下回る不当に低い請負額で下請に発注する元請企業に対し、国土交通省が的を絞って強力に指導することを期待しています。
これらの要望に対し、中野洋昌国土交通相は、10月に実施する設計労務単価の基礎調査を念頭に、「処遇改善の一層の取り組み」を業界に要請しており、国としても賃上げを後押しする姿勢を示しています。

 

Q3. 現場で働く我々の給与は、本当に上がる見込みがあるのか?

現場で働く方々にとって最も重要なのは、「実際に給与が上がるのか」という点でしょう。現状は厳しいと言わざるを得ません。

全建の最新調査によると、技能者賃金を6%以上引き上げた(または予定している)企業は、会員の直用で16.3%、下請で21.7%と、まだ少数にとどまっています。全中建の河崎茂会長も「企業努力による賃上げは限界」と述べており、個々の企業の努力だけでは、この高い目標の達成は困難な状況です。

しかし、希望もあります。日建連は「労務費見積もり尊重宣言」を推進し、その実施率は9割を超えています。さらに、賃金が末端の技能者まで適切に行き渡っているかを確認するため、2024年11月には協力会社を対象とした初の実態調査を行うと表明しました。これは、賃金支払いの透明性を高め、確実な処遇改善につなげるための重要な一歩です。

また、日建連は新長期ビジョンで技能者の「所得倍増」という壮大な目標も掲げており、業界全体で処遇改善に取り組む強い決意を示しています。これらの動きが実を結べば、現場で働く方々の給与に反映される可能性は十分にあります。

Q4. 賃上げと同時に「生産性向上」も求められているが、どのような取り組みが進んでいるのか?

賃上げを持続可能なものにするためには、建設現場の生産性向上が不可欠です。2月の車座対話では、国土交通省が策定した**「省力化投資促進プラン」**を踏まえ、各団体が具体的な計画を策定し、取り組みを推進することが決まりました。

このプランを受け、日建連は新長期ビジョンを基にした労働環境改善計画を12月に策定する予定です。また、全建は中小建設会社の視点からまとめた生産性向上計画を今月中に決定すると報告しており、企業の規模に応じた具体的な取り組みが進められています。

これらの計画には、ITツールの活用や業務プロセスの見直しなど、現場の負担を軽減し、効率を高めるための様々な方策が盛り込まれると考えられます。賃上げと生産性向上は、いわば車の両輪であり、一体となって進めることで、建設業界の構造的な課題解決につながるのです。

 

まとめ

2025年目標の「賃金6%上昇」は、建設業界が抱える課題の大きさを物語る、挑戦的な目標です。現状では達成への道のりは平坦ではありませんが、国と業界団体が連携し、労務単価の引き上げ、入札制度の改善、賃金支払いの実態調査など、具体的な施策が動き出しています。建設業従事者一人ひとりが、こうした業界全体の動きに関心を持ち、自社の取り組みを注視していくことが、自身の処遇改善、ひいては業界全体の発展につながっていくでしょう。

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