【官民連携】人手不足・資材高騰・酷暑の三重苦に立ち向かう建設業界の今と、持続可能な事業環境構築への道筋

全国中小建設業協会(全中建)と国土交通省が主催する2025年度ブロック別意見交換会が、中部地区を皮切りに開始された。この会合では、人手不足、資材高騰、そして年々厳しさを増す酷暑といった複合的な課題に直面する中小建設業の厳しい現状が報告された。災害時には地域社会の最前線で活動する地元中小企業の存続そのものが危ぶまれており、業界の努力だけでは限界があるとの声が上がっている。こうした状況を打開するため、官民が強固なパートナーシップを築き、持続可能な事業環境を創出していく必要性が確認された。会合では、週休2日制の推進に伴う賃金補償や経費補正、熱中症対策の拡充、適正工期の確保など、現場の実情に即した具体的な要望が多数提出され、活発な議論が交わされた。

本稿では、この意見交換会で提起された課題と要望を深掘りし、建設業界が直面する問題の本質と、その解決に向けた具体的な方策について解説する。

Q1. 深刻化する人手不足やコスト増に対し、具体的にどのような対策が求められていますか?

A1. 賃金体系の見直しと適正な価格転嫁が急務です。

建設業界、特に中小企業は、深刻な人手不足と資材価格の高騰という二重の圧力に晒されています。これらの課題に対処するため、意見交換会では労働者の待遇改善と経営基盤の安定化に直結する、複数の具体的な要望が提出された。

第一に、賃金体系の改善です。 働き方改革の柱である週休2日制の導入は、労働者の心身の健康を守る上で不可欠ですが、日給制で働く労働者にとっては収入の減少に直結する問題です。この課題に対応するため、**労働日数が減少した分を補う日給の引き上げ(1.2倍)**が要望された。さらに、下請企業で働く労働者の生活を安定させる観点から、賃金形態を不安定な日給制から月給制へ移行させる施策の検討も求められている。これにより、労働者は安定した収入を見込めるようになり、業界全体の魅力向上と人材の定着につながることが期待される。

第二に、工事価格の適正化です。 資材高騰が続く中、企業の利益を確保し、ひいては労働者へ適正な賃金を支払うためには、公共工事の入札における価格設定の見直しが不可欠です。具体的には、最低制限価格や低入札調査基準価格を予定価格の95%以上に引き上げるよう要望が出された。これは、過度な価格競争を防ぎ、品質や安全性を確保した上で、企業が適正な利益を確保できるようにするための重要な措置です。また、予期せぬ物価変動に対応するため、スライド条項の弾力的運用を徹底するよう、発注者である県などへの指導・働き掛けを強化することも求められている。これにより、契約後の中間期に発生した資材価格の上昇分を適切に工事価格へ転嫁しやすくなり、企業の経営リスクを軽減できる。

これらの賃金と価格に関する要望は、労働者の生活を守り、企業の経営を安定させ、建設業界が持続的に発展していくための根幹をなすものです。

 

Q2. 週休2日制を推進する上での具体的な課題と、その解決策は何ですか?

A2. 発注者の理解促進と、困難な現場への柔軟な対応が鍵となります。

建設業界全体の労働環境を改善し、若者にとって魅力的な産業となるためには、週休2日制の完全定着が不可欠です。しかし、その推進には多くの障壁が存在します。
まず、発注者側の理解と協力が欠かせません。公共工事だけでなく、民間工事においても週休2日を確保するためには、発注者自身がその必要性を理解し、工期設定などで協力する姿勢が求められます。そのため、市町村や民間発注者に対し、国交省から週休2日制推進への指導や働き掛けを強化するよう要望された。

次に、工期の制約や天候など、現場の事情により週休2日の確保が物理的に困難なケースへの配慮も必要です。全ての現場で一律に週休2日を強制するのではなく、現実的な対応が求められます。このような現場に対しては、週休2日制工事として積算される間接工事費(労務管理費、安全管理費など)を補正する措置や、休日労働が発生した場合の休日単価を適切に計上するといった金銭的なインセンティブが要望として挙げられた。これにより、やむを得ず休日出勤した場合でも、企業と労働者が経済的に報われる仕組みを構築することが目指される。

さらに、工期そのものの設定も重要な要素です。年度末に工事が集中することを避けるため、繰越明許費(年度内に完了しなかった工事の予算を翌年度に繰り越せる制度)の活用を明示し、適切な工期を設定することが求められている。また、公共建築工事においては、余裕期間制度(準備期間や後片付け期間を工期に含めない制度)の活用促進や、より柔軟な工期設定を可能にするフレックス方式の制度改善も要望された。これらの施策により、現場は無理のないスケジュールで作業を進められるようになり、週休2日の確保がより現実的になる。

 

Q3. 酷暑対策や事務作業の負担軽減など、現場の労働環境を直接的に改善する施策はありますか?

A3. 発注者主導の休工指示やIT化による書類の簡素化が求められています。

労働者の安全と健康を守り、生産性を維持するためには、現場の作業環境を直接的に改善する取り組みが不可欠です。

熱中症対策の拡充は、喫緊の課題です。近年の猛暑は労働者の生命を脅かすレベルに達しており、個々の企業の努力だけでは限界があります。そこで、気温や湿度などが一定の基準を超えた高温日に、発注者から積極的に休工指示を出すといった、より踏み込んだ対策の拡充が求められた。発注者主導で現場を止めることで、受注者側は工期の遅れなどを気にすることなく、ためらわずに作業を中断でき、労働者の安全を最優先に確保できる。

事務負担の軽減も、生産性向上に直結する重要なテーマです。建設工事では、着工から完成までに膨大な量の書類作成と提出が求められます。この負担を軽減するため、提出資料の大幅な簡素化と、紙媒体ではなくデータでの提出を原則とするよう要望された。IT化を推進することで、書類作成にかかる時間とコストを削減し、現場監督や事務担当者がより本質的な業務に集中できる環境を整えることが期待される。

また、発注情報の透明化も重要です。年間を通じた計画的な施工を可能にするため、常時1年分の発注見通しを公表することが求められている。これにより、企業は早期に準備を進めることができ、人員や機材の効率的な配置が可能になる。さらに、入札前の見積もり段階で十分な検討時間を確保できるよう、受注予定者に対する見積期間の延長も要望事項として挙げられた。

これらの施策は、現場で働く人々の負担を直接的に軽減し、安全で効率的な労働環境を実現するために不可欠な取り組みです。

まとめ

今回の意見交換会では、中小建設業が直面する賃金、労働時間、安全、コストといった多岐にわたる課題が浮き彫りとなり、それらに対する具体的な解決策が官民双方から模索された。週休2日制の定着に伴う賃金補償や月給制への移行、実情に即した工事価格の実現、発注者主導の熱中症対策、そしてIT化による事務負担の軽減など、提言された内容はどれも現場の切実な声に基づいている。これらの課題解決には、業界内の努力だけではなく、国や自治体、民間発注者を巻き込んだ、まさに「両輪」での取り組みが不可欠である。建設業界がこれからも地域社会の守り手としてその役割を果たし続けるために、官民が連携し、一つ一つの課題を着実に解決していくことが強く求められる。

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