【賃上げの潮流】7割が労務単価引き上げ!建設業界の賃金動向と価格交渉の要点

全国建設業協会(全建)が実施した調査によると、直近1年で下請けと契約する際の労務単価を「引き上げた」と回答した会員企業は72.8%に達し、前年比で5.9ポイント増加した。この動きは、物価上昇を背景とした産業全体の賃上げ傾向が地方の建設業界にも及んでいることを示している。技能労働者の賃上げ幅についても、「6%以上」と「6%未満」を合わせて85.4%となり、前年から3.0ポイント上昇している。

一方で、労務費の適切な転嫁を目指す「自主行動計画」に「取り組んでいる」企業は25.0%にとどまり、依然として多くの企業が未着手である実態も明らかになった。地方の中小建設会社からは、公共工事への依存や人手不足を背景に、経営の厳しさを訴える声や、政府主導によるさらなる労務単価引き上げを求める意見が寄せられている。

 

労務単価引き上げの現状と背景

今回の調査結果は、建設業界における賃金改善の動きが加速していることを明確に示している。労務単価を引き上げた企業が7割を超えたという事実は、多くの経営者が技能労働者の処遇改善の必要性を認識し、具体的な行動に移している証拠といえる。この背景には、深刻化する人手不足と、それに伴う人材確保・定着への強い危機感があると考えられる。

一方で、「前年に引き上げたため今回は据え置き」と回答した企業が11.7%、「引き上げていない」が15.4%存在することも見逃せない。特に、後者の企業群のうち、今後の引き上げ予定が「ない」と回答した企業が44.7%に上ることは、賃上げの潮流に乗り切れていない企業が依然として一定数存在することを示唆している。地方の中小建設会社からは「公共工事に頼るしかない」「工事量の減少と人手不足で経営が限界」といった切実な声も上がっており、企業の規模や受注状況によって賃上げ余力に大きな差があることがうかがえる。

価格交渉の鍵となる「自主行動計画」とは

労務費の上昇分を適切に受注価格へ転嫁することは、賃上げを実現し、企業の持続的な成長を確保するために不可欠な要素である。そのための指針となるのが、全建が策定した**「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する自主行動計画」**だ。この計画は、元請けと下請けが公正な価格交渉を行うための具体的な行動を示すものである。

しかし、調査ではこの計画に**「取り組んでいる」と回答した企業は4分の1(25.0%)**にとどまった。「知っているが未着手」が44.7%、「知らない」が30.3%となっており、計画の認知度は高まりつつあるものの、実践には至っていない企業が多いのが現状である。計画に取り組んでいる企業の中で最も多かった内容は、「下請の労務費上昇分を取引価格に転嫁する方針を経営トップが決定」(48.0%)であった。これは、価格交渉において経営層の強いリーダーシップが極めて重要であることを示している。まずは経営トップが労務費転嫁の方針を明確に打ち出し、社内外に周知することが、公正な取引関係を築く第一歩となる。

賃上げ実現に向けた課題と展望

賃上げの動きが広がる一方で、建設業界、特に地方の中小企業は構造的な課題に直面している。公共工事への高い依存度、若年層の流出、そしてそれに伴う深刻な人手不足は、企業の経営体力を削ぎ、賃上げの足かせとなっている。アンケートでは、**「政府主導で公共労務単価を1.5~2倍に引き上げてほしい」**といった、国のより積極的な関与を求める意見が目立った。これは、個々の企業の努力だけでは限界があり、業界全体の構造的な課題解決には、公共事業の発注者である国や地方自治体の理解と協力が不可欠であるという現場の切実な思いの表れである。

今後、持続可能な賃上げを実現するためには、個社の努力はもちろんのこと、業界全体での取り組みが求められる。元請け企業は、自主行動計画に基づき、下請け企業の労務費上昇分を適正に取引価格に反映させる責務がある。同時に、生産性向上につながるIT活用や働き方改革を推進し、利益を確保できる体質へと転換していく必要もある。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用なども、技能労働者の公正な評価と処遇改善につながる重要な施策となるだろう。

 

まとめ

建設業界における労務単価の引き上げは、7割以上の企業が実施する大きな潮流となっている。これは、人材確保という喫緊の課題に対応するための必然的な動きといえる。しかし、その一方で、企業の価格交渉力や経営体力には依然として差があり、全ての企業がこの流れに乗れているわけではない。労務費の適切な価格転嫁を促す「自主行動計画」の実践率を高め、業界全体で公正な取引環境を醸成することが、技能労働者の賃金を継続的に引き上げていくための重要な鍵となる。

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