公共工事約款改正で現場の「不利益」を断つ!変更協議を円滑化する新ルールを徹底解説

受注者側の不利益の解消と変更協議の円滑化に向けた新たな規定

国土交通省は、公共工事標準請負契約約款(以下、公共約款)の変更を実施し、建設業界において長年の課題とされてきた、受注者側の不利益の解消と変更協議の円滑化に向けた新たな規定を盛り込みました。
この改正は、発注者と受注者間の不均衡な力関係を是正し、現場の円滑な施工を促進する目的があります。

特に重要な点として、新規定では、変更協議の申し出ができる時期の明確化に加え、協議が成立した後であっても、不利益を伴う事由の費用負担について発注者として順守すべきルールが明確に定められました。
これにより、不利益な事由が受注者の責任によらずに発生した場合の保護が強化され、受注者側が不当な負担を負わないための枠組みが確立された形です。
この改正約款は、全国の直轄工事および地方自治体共通の約款として、12月1日以降の契約に適用される見通しで、建設事業者はその詳細を把握しておく必要性があります。

公共約款の変更は、日々の業務に直結する重要な制度改正です。
ここでは、現場の経営者や監督者が抱く可能性のある疑問点を中心に、新規定の詳細を解説します。

Q1:今回の約款改正の最も重要な目的は何でしょうか。

今回の改正の最大の目的は、受注者の不利益を伴う懸念を解消すること、そして変更協議を円滑に進めるための具体的な仕組みを確立することに尽きます。
従来の運用では、発注者側の都合により変更協議が先送りされたり、受注者側が不利な立場に置かれたりするケースが散見されました。

このため、不均衡な力関係を是正し、受注者の責任によらない不利益な事由が生じた際に、発注者が順守すべき義務を明文化することで、現場が安心して工事を進められる環境を整備するのが狙いです。
具体的には、協議が調った後でも、不利益な事由に対する費用負担の制限など、発注者として守るべきルールが明確化されました。

Q2:受注者側から積極的に「変更協議」を申し出ることが可能になるのでしょうか。

新約款では、受注者の権限として「発注者に協議を申し出ることができる」と規定された点が大きな進展です。
これまでは、設計図書の内容に変更がない場合は、発注者主導での変更手続きが進められることが一般的でした。

しかし、改正された約款では、当初の契約内容に変更が生じない場合であっても、受注者が、費用を含む変更案などをまとめて発注者に通知し、協議を求めることができる仕組みが明確に規定されました。
これは、現場の状況を最も把握している受注者側が、円滑な工事実施のために変更が必要だと判断した場合に、その声を上げやすくなることを意味します。

この規定は、運用上の問題、すなわち発注者の都合で協議が先送りされ、結果的に現場の負担が増加するといった事態を解消するために約款に盛り込まれたものであり、現場の生産性向上に貢献するものと考えられます。

 

Q3:変更協議の過程で、受注者が不利な立場に陥らないための規定はありますか。

新規定では、受注者側の立場を守るための重要な歯止めが設けられました。
受注者から発注者に変更案などを通知した後、協議を要請したにもかかわらず、協議の結果、発注者が不利益な事由がないと判断した場合であっても、「不利益な取り扱いをしない」と明記されています。
これは、受注者が不利な状況に追い込まれるのを防ぐための明確な意思表示です。

さらに、約款の規定の趣旨として、受注者の不利益な取り扱いなどを防ぐことで、円滑な施工を促進する目的が強調されています。
発注者が変更案などを通知した時点で協議を要請すること、また、協議前の契約約款において「受注者の責に帰すべき理由によらないで著しく変更を要する」といった内容の協議を拒否したことに対し、「不利益な取り扱いをしてはならない」と明記することで、発注者側の権限行使に適切な抑制を加える役割を担っています。


※画像はイメージです。

Q4:変更協議が「ストップ」してしまう事態を避けるための規定はありますか。

変更協議が滞り、その間に工事が止まってしまう(コスト増加や工期遅延につながる)事態は、建設業者が最も避けたい状況の一つです。
発注者が変更案などを通知する時期については、工事が一時停止してしまうような期間に陥ることを避けるために規定が設けられたと解釈できます。

また、新規定の導入により、発注者が変更案などを通知した時点で協議を要請するルールが加わったため、協議の遅延そのものが不利益な取り扱いと見なされる可能性が高まります。
これにより、発注者側は速やかに協議を進める責任を負うことになり、現場での作業中断リスクの低減に繋がります。

Q5:もし発注者の提示した変更案に納得がいかない場合、受注者はどう対応すべきですか。

受注者が発注者の提示した変更案などに同意できない場合についても、新約款は受注者を保護しています。
仮に、発注者から提示された変更案を受注者が受け入れられない状況であっても、「引き続き協議やその他の措置が可能になる」と規定されています。
これは、受注者が不利な契約条件を強制されることなく、対等な立場で交渉を継続できる道が確保されていることを意味します。

特に、この規定は、受注者が不利な立場にならないよう、発注者側の権限行使に歯止めをかけ、適切な協議の実現を促すためのものです。
現場の事業者は、この権利を認識し、不当な要求に対しては、約款の規定に基づき、さらなる協議を求める姿勢が重要となります。

Q6:この改正約款はいつから適用されるのでしょうか。

今回の改正公共約款は、直轄工事および地方自治体共通の約款として、12月1日以降に契約が締結される案件から適用される見通しです。
現場の経営層や契約担当者は、この適用開始時期を踏まえ、現在進行中の案件や今後の入札案件において、新約款の内容が適切に反映されているかを確認する必要があります。

制度変更を正しく理解し、自社の権利を最大限に活用することで、契約リスクを軽減し、経営の安定化を図ることが肝要です。

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