総事業費182億円、大垣駅前の再開発組合始動:資金と工程の全貌

総事業費182億円、駅前再生が本格化―大垣駅南前地区再開発の全貌

岐阜県大垣市の中心市街地活性化の要となる「大垣駅南前地区市街地再開発組合」が1月27日に発足し、同30日には設立総会が開催された。本事業は、かつて地域商業の中核を担った百貨店「ヤナゲン大垣本店」跡地を含む約1.2ヘクタールの敷地を対象としており、総事業費は182億円を見込む大規模プロジェクトである。

計画では、住宅や商業施設、公益施設などを含む延べ約2万4600平方メートルの複合施設を建設する予定となっており、着工は2028年度、完成は2030年12月を目指す方針が示された。長らく活用が定まらなかった駅前一等地の再生に向け、具体的な資金規模と事業スケジュールが確定したことは、地域経済のみならず、東海エリアの建設業界にとっても極めて大きなインパクトをもつニュースだ。
本稿では、公表された情報を基に、経営的な視点から本事業の資金計画や制度的側面、そして工事概要について詳細に解説する。


30日に市内で開かれた設立総会
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

 Q:総事業費182億円の内訳と建築計画の経済性は?

建設業経営者としてまず注目すべきは、182億円という巨額の総事業費と、それが投じられる建築物の構成である。本プロジェクトは単一のビル建設ではなく、用途と構造が異なる3つの街区によって構成されている点が特徴だ。

まず、メインとなる「第1街区」は、RC造(鉄筋コンクリート造)の17階建てで、延べ床面積は約1万3000平方メートルを計画している。ここには住宅と食品スーパーなどの商業機能が入る予定であり、事業採算性の核となる部分だ。
次に「第2街区」は、S造(鉄骨造)の3層4段、延べ約5000平方メートルの駐車場棟となる。そして「第3街区」には、RC造6階建て、延べ約4500平方メートルの公益施設が整備される。

このように、同一プロジェクト内でRC造とS造が混在することは、資材調達やコスト管理の面で重要な意味をもつ。昨今の建設資材価格の高騰を鑑みると、鉄筋・コンクリートと鉄骨という異なる相場の資材を大量に扱うため、調達リスクの分散や、それぞれの工種における専門工事会社の選定が、利益確保の鍵を握ることになるだろう。特に駐車場棟をS造として別街区に切り出している点は、コスト最適化の観点からも合理的な設計判断であると推察できる。


第1街区のイメージ(組合提供)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。

 Q:「権利変換」とは何か? 今後の制度的手続きの流れは?

再開発事業において、資金計画と並んで重要なのが法的な権利関係の処理、すなわち「権利変換」の手続きである。本事業では、2026年秋に権利変換の認可を取得するスケジュールが組まれている。

権利変換とは、都市再開発法に基づき、従前の土地や建物の権利を、新しく建設される再開発ビルの床(権利床)などに等価交換する制度的プロセスを指す。この認可が下りるということは、事業計画における権利者の合意が法的に確定し、事業が後戻りできない段階に入ったことを意味する。建設会社にとっては、この「権利変換認可」のタイミングこそが、事業の確実性が担保され、本格的な受注活動や人員計画を始動させるべき重要なメルクマールとなるのだ。

その後のスケジュールとして、2026年度中に詳細設計を固めると同時に、同年冬からは解体工事に着手する予定となっている。そして、2028年4月に本体工事が着工し、約2年半の工期を経て2030年12月の完成を目指すことになる。2026年から2030年までの約4年間、解体から新築に至るまで切れ目なく工事が発生するため、安定的な受注機会として期待できる。

 Q:事業の安定性を支えるプレイヤーと行政支援は?

大規模プロジェクトにおいては、誰が資金計画や運営を主導するかがリスク管理上の重要事項となる。本事業では、資金計画の専門家として「都市研究所スペーシア」が担当しているほか、参加組合員として不動産デベロッパーの「フージャースコーポレーション」が参画している。実績ある企業が資金と出口戦略(分譲・テナント誘致)を担うことで、事業の銀行融資やキャッシュフローの安定性が高められている点は安心材料だ。

また、基本設計には「車戸建築事務所」、建物調査には「間瀬コンサルタント」が入っており、地元の実情に詳しい専門家と大手のノウハウが組み合わされた布陣となっている。

さらに、行政側からのバックアップ体制も盤石だ。大垣市の石田仁市長は設立総会において、「困難な課題が出てくるかもしれないが、市としても関係機関と協議しつつバックアップしていく」と明言している。再開発事業では、都市計画決定や補助金活用など行政との連携が不可欠であり、トップダウンでの支援確約は、事業停滞のリスクを低減させる大きな要素となる。また、第3街区に公益機能が入る予定であることから、公共工事としての側面ももち合わせており、公的資金の投入による支払いの確実性も見込める案件といえるだろう。

 Q:これまでの経緯と地域経済への波及効果は?

本事業が始動するまでには、経済的な曲折があった。計画地の核であったヤナゲン大垣本店は2019年に閉店し、その後、既存施設の活用を模索したものの、老朽化などの理由から断念された経緯がある。2021年にまちづくり協議会が発足し、2022年の準備組合設立を経て今回の本組合設立に至ったが、松本正平理事長が「コロナ禍や事業者の離脱など厳しい状況に直面することもあった」と振り返るように、決して平坦な道のりではなかった

しかし、そうした困難を乗り越えて事業化された背景には、駅前経済を立て直したいという強いニーズがある。大垣商工会議所の金森武副会頭は、本事業による市内の観光施設への回遊性向上に期待を寄せている。建設業の視点で見れば、単なるハコモノ建設に留まらず、完成後の人の流れが周辺の店舗改装やインフラ整備などの二次的な工事需要を誘発する可能性が高い。
総事業費182億円という直接的な投資に加え、こうした波及効果を含めた地域経済圏全体の活性化が、本プロジェクトの真の狙いであるといえる。

まとめ

大垣駅南前地区の再開発は、総事業費182億円を投じ、RC造とS造を組み合わせた複合施設を整備する一大プロジェクトである。2026年の権利変換認可と解体着手、そして2028年の本体着工という明確なマイルストーンが示されたことで、建設関連企業にとっては中期的な経営計画に組み込むべき重要な案件となった。

行政の強力なバックアップと確固たる資金計画の下で進められるこの事業は、地域経済の活性化のみならず、関与する企業の技術力向上と経営安定にも寄与するだろう。

 

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