現場の常識が変わるか?国交省が「チーム制」導入と専任配置見直しを本格調査へ

技術者制度を抜本見直しへ―“専任配置”からチーム制導入も視野に

国土交通省は、建設業における技術者制度の抜本的な見直しに向けた調査・検討を開始する方針を固めた。これは、長らく業界の課題とされてきた「専任配置」の規制や、現場代理人・監理技術者等の役割について、実態に即した形へ転換を図るものである。具体的には、法令で規定された業務以外に技術者が現場で担っている多岐にわたる業務の実態を調査し、現行の専任配置制度が現代の施工環境において妥当であるかを検証する。

さらに、特筆すべき点として、従来の「個人」に依存した施工管理から、複数人による「チーム制」での施工管理導入の可能性を探る動きがある。同省は、地方を中心とした若手入職者の減少や技術継承の断絶、シニア層への依存といった構造的な問題を深刻に受け止めており、より合理的で現場の納得感を得られる制度への転換が急務であると位置づけている。2026年度予算案に関連経費を計上し、全国土木施工管理技士会連合会や主要な建設業団体、加盟企業へのアンケートを通じて実態把握を進める予定だ。

Q. なぜ今、技術者制度の見直しが行われるのか?

最大の要因は、建設業界を取り巻く社会構造の変化である。国交省の分析によれば、特に地方において若年層の担い手が著しく減少し、技術の継承が途切れつつある現状がある。加えて、現場の主力となる技術者の高齢化が進み、シニア層への依存度が極端に高まっていることも背景にある。

こうした状況下で、従来の厳格な制度を維持し続けることは現実的ではないとの判断が働いている。社会構造の変化に対応し、「より合理的で納得感のある」技術者制度へと転換することが、業界の存続に関わる喫緊の課題として認識された結果である。

Q. 「チーム制」の導入とは具体的にどういうことか?

現行の「監理技術者制度運用マニュアル」では、技術者の配置について「1人が望ましい」とされており、特定の個人の能力と資格に依存した施工管理が基本となっている。これに対し、今回検討されている「チーム制」は、適正な施工の確保を大前提としつつ、複数人の技術者が連携して施工管理を行う手法である。

国交省はアンケートを通じて、このチーム制が現実に機能するか、有効であるかを確認する意向だ。これが実現すれば、一人の人間に過度な負担がかかる現状が改善され、より柔軟な人員配置が可能になることが期待される。

Q. 専任配置のルールはどう変わる可能性があるか?

現在、一定規模以上の工事においては、監理技術者や主任技術者を現場に専任で配置することが法律で義務付けられている。今回の調査では、この「専任配置制度」の在り方が大きな焦点の一つとなる。

特に、建築一式工事を除く全業種区分で一律に適用されている現在の基準が、それぞれの業種の特性や施工実態に合っているかどうかが検証される。業種区分ごとの施工管理の特性を詳細に調査したうえで、一律ではない、より柔軟で妥当性のある配置基準への見直しが検討されることになるだろう。

Q. 現場の技術者にとってどのようなメリットがあるか?

技術者の「地位向上」と「処遇改善」につながる可能性がある。国交省は基礎調査において、実際の現場で技術者が担っている役割を詳細に把握する方針だ。

現場の技術者は、施工計画の作成や工程・品質管理といった法令で定められた業務以外にも、環境対策、安全管理、防災対応、さらには設計修正など、極めて多様で高度な業務に関与しているのが実態である。こうした「隠れた業務」や「高度な貢献」を公的に明らかにすることで、技術者が提供している価値が社会から適切に認知されるよう促し、結果として給与や待遇の改善につなげていく具体的な方策が検討されている。


※画像はイメージです。

Q. 技術者の評価方法は変わるのか?

技術者の適正な評価基盤を整えるための新たな仕組みづくりも視野に入っている。労働市場の流動化が進むなかで、技術者個人の能力や実績を客観的に証明する手段が重要となるからだ。

具体的には、公共工事・民間工事を問わず、技術者の施工管理実績情報を収集し、蓄積する仕組みの構築が検討されている。これは、既存のコリンズ(工事実績情報データベース)や建設キャリアアップシステム(CCUS)などを参考にしたものになる見込みだ。これにより、個々の技術者がどの現場でどのような管理を行なったかが可視化され、転職やキャリアアップの際に適正な評価を受けやすくなる環境が整うと考えられる。

Q. 今後、どのようなスケジュールで進むのか?

現在は調査・検討の入り口段階である。国交省は2026年度予算案に関連経費を計上しており、まずは実態把握のための基礎調査とアンケートを実施する。この調査結果を基に、チーム制導入の可否や専任配置の見直しに関する議論が深められることになる。

現場の声、つまり元請・下請双方の企業や団体の意見が制度設計に反映される重要なフェーズとなるため、今後のアンケート調査等への積極的な協力が、より良い制度を作るために不可欠となるだろう。

まとめ

国土交通省による今回の技術者制度見直しの動きは、長年「現場の常識」とされてきた専任配置や単独での施工管理という枠組みを大きく変える可能性を秘めている。背景にあるのは深刻な人手不足と高齢化であり、これに対応するための「チーム制」導入や業務実態の再評価は、多くの建設企業にとって避けては通れないテーマである。

法令上の義務を超えて現場を支える技術者の価値が再定義され、より柔軟で働きやすい環境が整備されることが期待される。今後の調査結果と法改正の行方を注視し、自社の採用や育成計画に反映させていくことが経営上の重要事項となるだろう。

 

 

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