政令市予算17.8兆円時代へ―工事は増える?減る?現場目線で読む2026年度動向
全国政令市の2026年度予算案が19日に出そろい、一般会計の総額は前年度比4.6%増の17兆8685億円となりました。一般会計は18市で増加し、うち14市が過去最大規模を更新する結果となっています。
川崎市では当初予算案として初の9000億円超規模となり、広島市でも政令市移行後で最大を記録しました。仙台市は5年連続、横浜市、川崎市、熊本市の3市は3年連続で過去最大を更新しています。
一方で、建設業に直結する普通建設事業費に目を向けると、全体では6.0%減の2兆0814億円となりました。総額は減少したものの、自治体別では13自治体で増加を記録しています。
川崎市では等々力緑地の再編や臨海部の道路整備が進展し、堺市では南海本線の連続立体交差事業の影響によって、両市とも3割近い大幅な伸びを示しました。相模原市では4割弱という際立った増加を記録し、これは学校照明のLED化改修や公共施設の保全更新、道路改修など計画的なインフラメンテナンスに関わる費用の計上が主な要因です。減少した千葉市は、新清掃工場の整備や新設校建設事業が一定の進展を見せたことによる減額が影響しています。
地域活性化を目的とした新アリーナ等の建設計画も各地で本格化し、新潟、千葉、静岡、熊本の各市で調査や基盤整備が進められています。インフラ面では岡山市の路面電車延伸、相模原市の立体交差化調査、さいたま市の地下鉄延伸、横浜市の山下ふ頭再開発など、大型計画が進行しています。
ここからは今回の予算案発表を受けて、現場の建設従事者や中小企業の経営者が抱く「よくある質問」を参照しつつ、業界動向を解説します。

政令市の2026年度予算案
*普通建設事業費は一部投資的経費を含む。横浜市は普通建設事業費でなく施設等整備費
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q1:普通建設事業費が全体で前年度比6.0%減となった理由は何ですか?
A1:総額が2兆0814億円へ減少した要因は、特定の自治体で大型プロジェクトが完了、あるいは大きな予算を必要とする段階を通過したためです。例えば千葉市では、これまで進められた新清掃工場の整備や新設校の建設が大きく進捗し、今年度は予算を大幅に投じるフェーズから移行したことで減額が目立ちました。
建設予算は数年単位の大型工事着工期に膨らみ、完成に近づくと縮小するサイクルをもちます。全体で6.0%減ですが全国一律の減少ではなく、実際は13自治体で事業費が増加しており、プロジェクトの進捗度合いによって予算の波が生じていると解釈するのが正確といえます。
Q2:予算が大幅に増加している自治体では、どのような工事が期待されますか?
A2:川崎市や堺市のように3割近い伸びを示した自治体では、大型インフラ整備が本格化しています。
川崎市では等々力緑地の再編や東扇島から水江町に至る臨海道路の整備が進められ、土木工事を中心とした発注が見込まれます。堺市では南海本線の連続立体交差事業による予算増が顕著です。
相模原市のように4割弱の大幅増を記録した自治体では、既存インフラの維持管理に注力する姿勢が鮮明です。学校のLED化改修、老朽化した公共施設の保全更新、生活道路の改修といった計画的なメンテナンス工事が多数計上されています。これらは地元の中小建設業者が参入しやすく、地域の雇用を支える重要な案件となります。
Q3:中小の建設業者や現場の職人は、こうした予算動向をどう活かすべきですか?
A3:大規模な鉄道立体交差化などは大手主体となるケースが多いものの、伴う周辺整備や下請け工事を通じて地元企業にも恩恵が波及します。特に注目すべきは相模原市などで見られる計画的なメンテナンスへの予算配分です。学校のLED化や道路改修といった案件は、地域に根差した中小企業が元請けとして受注しやすい規模の工事です。予算が増加している分野を把握し、自社の得意工種と照らし合わせつつ公共工事の入札に参加することが重要です。
工事が多数予定される状況下では、現場で手を動かす職人の確保が急務です。適切な教育体制を整え人材を安定確保できる企業が、需要を確実に取り込んでいくことになります。

※画像はイメージです。
まとめ
26年度の政令指定都市予算案は一般会計が過去最大規模となる一方、普通建設事業費の総額は減少する結果になりました。しかし内実を見れば多数の自治体で事業費が増加しており、新規インフラ整備や既存施設の計画的なメンテナンスなど多様な需要が創出されています。各自治体の動向を分析し地域の需要に応じた事業展開を図ることが今後の経営安定化に直結するでしょう。
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