防衛施設整備の新体制へ―上流工程の本省集約とDFMセンター創設
防衛省は2026年度の事業概要を公表し、施設整備の体制を抜本的に強化する方針を明らかにした。これまで地方防衛局が担ってきた実施計画、設計、積算といった上流工程を本省へ集約し、新たに(仮称)DFMセンターを整備計画局施設整備課に設置する。これにより地方防衛局は工事の実施に専念する体制へと移行する。
この新体制は2026年度から一部の地方防衛局を対象に試行される。今回の体制強化は、増加する施設整備工事への対応に加え、ドローンやサイバー、宇宙領域など新たな安全保障上の脅威を想定した施設整備に迅速かつ柔軟に対応することが主な狙いとされる。発注者の体制強化や発注方式、業務スキーム、契約制度の見直し、政産官学の連携強化など五つの柱を軸に改革が進められる。

防衛省は防衛施設強靱化推進協会(乘京正弘会長)との25年度4回目の意見交換会で取り組みを説明した
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1. 施設整備体制の抜本的見直しにより、具体的に何が変わるのか?
防衛省は本省と地方防衛局の業務分担を明確化する。今後は本省に新設されるDFMセンターが設計や積算、事業監理を集中的に担う。DFMセンター長には建設統括調整官が就任し、専門性の高い業務を統括する。
地方防衛局は実際の工事実施に特化するため、現場における業務の迅速化や監督体制の強化が期待される。発注体制がより専門的になることで、建設業者側との意思疎通も円滑になり、プロジェクト全体の進行がスムーズになる。
Q2. 地方の中小建設業者にとって、どのようなメリットがあるのか?
今回の体制見直しにおいて、発注方式の改善が明記された点は中小企業にとって朗報といえる。防衛省は、地元企業が積極的に参画できるよう「分離・分割発注」を基本とする方針を打ち出した。
従来の大規模な一括発注では資金力や施工能力の面で参加が難しかった地域の中小企業でも、分割された工事であれば受注機会が拡大する。地域経済の活性化にも直結するため、各企業は地方防衛局が発注する案件の動向を注視し、早期に自社の施工体制を整えておく必要がある。
Q3. 大型事業で活用される「ECI方式」とは何か?
ECI方式とは、設計段階から施工者が関与し、技術的な提案やコスト削減のアイデアを反映させる発注手法を指す。防衛省は大型事業においてこのECI方式や総合発注を積極的に活用する方針を示している。
2026年度の最適化事業において、帯広駐屯地、東千歳駐屯地、海自大湊地区など全国13地区で技術協力の契約を予定している。高度な技術力をもつ企業にとっては、自社のノウハウを設計段階からアピールできる絶好の機会となる。

※画像はイメージです。
Q4. 新たな脅威への対応や業務効率化は、現場にどう影響するか?
ドローン攻撃やサイバー空間での情報漏えいなど新たな脅威への対策として、通信設備の高度化や電磁波シールドの導入など、特殊な施工が求められる場面が増加する。また、防衛省はDXやAIの活用を推進し、情報や関連業務のプラットフォーム整備を急ぐ。
職員が専門業務に専念できるよう、部外委託や派遣職員の活用にも力を入れる。これにより契約関係業務の負担が軽減され、受注企業側でも電子化による事務負担の削減が見込まれる。
Q5. 2026年度の工事の発注見通しはどうなっているか?
2026年度において、10の防衛局が発注を予定している工事は合計710件に上る。そのうち、WTO基準額以上の案件は156件を占める。また、建設コンサルタント業務は775件(設計311件、監理328件、調査130件)が予定されている。
このように大規模な事業予算が組まれており、建設業界全体にとって大きな需要を創出する。全国各地で多岐にわたる工事が展開されるため、地元企業は発注計画を適時確認し、受注準備を進めることが不可欠である。
まとめ
防衛省による施設整備体制の抜本的な見直しは、発注者側の効率化にとどまらず、建設業界全体に大きな変革をもたらす。とりわけ、分離・分割発注の基本化は、地方の中小建設業者にとって事業拡大の絶好の好機となる。一方で、ECI方式の導入やDXの推進、新技術への対応など、高度な技術力や柔軟な対応力が求められる場面も確実に増加する。
各企業は、新たな方針を正確に理解し、自社の強みを生かせる領域を見極めながら市場環境に適応していく姿勢が重要となるだろう。公共工事の動向を注視し、次なる戦略を練るべき時なのかもしれない。
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