賃上げ6%と価格転嫁が鍵―日建連・2026年度計画が示す業界改革の本丸
日本建設業連合会(日建連)は、2025年7月に策定した「建設業の長期ビジョン2・0」に基づく2026年度の事業計画を発表した。主眼は、サプライチェーン全体での価格転嫁の推進と、技能労働者の処遇改善である。特に注目すべきは、国土交通省と合意した技能者の賃金「おおむね6%上昇」という目標だ。
また、猛暑日における作業回避や労働規制の柔軟化といった現場環境の改善策も方針に盛り込まれた。さらに、公共工事での建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化加速や、AI、BIM/CIMを活用した業務効率化など、多角的なアプローチで業界の底上げを図る方針が示された。一方で、燃料費や運搬費の高騰への強い懸念も表明され、持続可能な建設業に向けた課題が浮き彫りとなっている。

理事会後に会見した宮本会長
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1. 賃金「おおむね6%上昇」の目標は、現場で実感できるのか?
A1. 今回の計画では、実態調査を反映する公共工事設計労務単価の算定方式を見直し、政策的な引き上げ方式へ転換するよう国に働きかける方針が明記された。これにより、技能労働者の実質的な所得倍増に向けた道筋をつける狙いがある。
さらに「労務費見積り尊重宣言」を普及させることで、元請けと下請けが連携し、末端の技能労働者まで確実に賃金アップを行き渡らせる仕組みの構築を目指す。手取り増加を実感できるかは、サプライチェーン全体の適正な利益還元にかかっている。
Q2. 元請け・下請け間の契約や価格転嫁に改善策はあるのか?
A2. 日建連は、受発注者および元請け・下請け間で「ウィンウィンな関係」を構築することが最重要課題だと訴えている。実現に向けた施策として、民間建設工事標準請負契約約款の利用を促進し、契約の適正化を図る。
資材価格の変動や労務費上昇リスクを下請けのみが背負う構造を是正し、価格転嫁の相互理解を深める環境整備に乗り出す。不当なコスト負担を防ぐ重要な転換点となる可能性が高い。
Q3. CCUSや新技術の導入は、実際の現場をどう変えるのか?
A3. 2030年までに公共工事でのCCUS導入完了率を100%にする目標に向け、直轄工事での完全義務化を加速させる。同時に発注者への普及活動も強化し、就業履歴の客観的な証明や技能評価の適正化が急速に進むと予想される。
技術面では「生産性向上推進要綱2・0」に基づき、生産性向上合同会議の設置やAI活用が進められる。AIやロボット、BIM/CIMの活用範囲が設計から維持管理へ拡大し、人手不足を補い業務効率化が期待される。

※画像はイメージです。
Q4. 燃料費高騰や異常気象への対策は講じられているか?
A4. 近年の激甚化する気象への対応として、労働規制の柔軟化や猛暑日の作業回避が重点方針に掲げられたことは、現場の安全を守る上で重要だ。一方で、中東情勢に伴う石油価格上昇が、燃料費や運搬費の負担増として建設業全体に深刻な影響を及ぼしている点も言及された。
日建連幹部はこれを「ボディーブローのように効いてくる」と重く受け止めている。さらに、国土強靱化事業も当初の5年で20兆円強では不足とし、25兆円の確保へ向け政府に予算措置を求めていく構えだ。
まとめ
日建連の2026年度事業計画は、賃金の6%引き上げや価格転嫁の推進、CCUSの完全導入など、現場の技能者の処遇改善と業界全体の生産性向上を強力に推し進める内容となっている。一方で、燃料費高騰など外部環境の厳しさは増しており、官民一体の対応が不可欠だ。
本計画が絵に描いた餅に終わることなく、末端の現場作業員まで確かな恩恵が波及するよう、サプライチェーン全体を通じた制度の定着と着実な実行が強く求められるだろう。
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