総事業費340億円!外濠浄化プロジェクトに学ぶ都市再生と長期インフラ戦略の要点
東京都都市整備局は、外濠浄化の具体化に向けた道筋を示す「外濠浄化に向けた実施計画」を策定し、導水ルート整備費用の概算額を物価上昇率を加味した340億円と見積もったことを発表しました。 本計画は、千代田区および新宿区に位置する牛込濠、新見附濠、市ヶ谷濠を対象として推進される事業です。 これらの濠は流入水が少なく、水が滞留しやすい特性をもつことから、アオコの大量発生やそれに伴う景観障害が深刻化していました。
本事業は、浄化用水の導水によってこれらの問題を根本から改善し、自然と調和した「水の都」をよみがえらせることを目的としています。 導水施設は、荒川河川水から導水するA区間、および下水再生水の活用を見込むB区間からD区間の計4区間に分けて整備される計画です。 各区間の予定事業期間は9年から10年程度を想定し、2030年代半ばの導水開始を目標に掲げています。 今後は各区間において実施設計、実際の工事、そして導水準備へと段階的に進展していく見通しです。

STEP1 下水再生水の導水0.15m3/s程度STEP2 荒川河川水の導水0.35m3/s程度
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
Q1: 導水施設は具体的にどのように整備される計画ですか?各区間の詳細な施工内容を教えてください。
A1: 水源や既存施設の状況に応じ、A区間からD区間までの4区間に分割して整備を進める方針です。 まず、荒川河川水を利用するA区間では、既存の水道事業施設の共用や、現在は使用されていない旧工業用水道管の転用を見込んでいます。 これにより新規建設を抑え、コスト縮減と効率的なルート確保を図ります。
次に、過去の清流復活事業で一部通水済みのB区間では、未通水区間に堆積した土砂の浚渫や施設の補修工事を実施します。 C区間では、現在玉川上水に流入している下水の流れを、別途進められる下水道施設整備事業によって切り替える作業を行います。 そのうえで、導水路となる玉川上水の損傷箇所を補修します。
最後にD区間ですが、ここでは市ヶ谷濠に至る確実な導水ルートを確保するため、予定長さ約2キロメートル、内径1800ミリメートルという極めて大規模な導水路を新設する方針です。 この区間はシールド工法などが想定される大規模な土木工事となる可能性が高いと考えられます。
Q2: 水質浄化に必要な水源は、どこからどの程度の水量を確保する計画ですか?
A2: 水源は大きく分けて二つの系統から確保する計画です。
一つ目は下水再生水で、多摩川上流水再生センターから毎秒約0.15立方メートル程度の水量を安定的に確保します。
二つ目は主たる水源となる荒川河川水です。 こちらは現在、関係機関との間で本格的な活用に向けた調整段階にありますが、浄化に不可欠な水量として毎秒約0.35立方メートル程度を算定しています。
これらを適切に組み合わせることで、外濠の水質浄化と一定の水流維持に必要な総水量をしっかりと賄う計画となっています。
Q3: この事業は、公共工事を担う建設業界や現場で働く人々にどのような影響をもたらしますか?
A3: 概算事業費340億円、予定事業期間約10年という規模は、都内の公共工事市場において非常に大きなインパクトをもちます。 特にD区間の内径1800ミリメートルの導水路新設は、地下空間を活用した大規模土木工事となることが予想されます。
また、A区間やC区間における既存インフラの転用および補修工事、B区間での大規模な浚渫工事など、新設から維持補修まで非常に多岐にわたる工種が長期間にわたって発生します。 これにより、元請けの総合建設業者だけでなく、管工事、土木工事、舗装、浚渫などを専門とする中小企業にとっても、長期的な受注機会の創出につながります。
さらに資材製造や運搬、建機リース、交通誘導警備など、現場を支える幅広い業種に対し、安定した業務が提供されると期待されます。

※画像はイメージです。
まとめ
「外濠浄化に向けた実施計画」は、総額340億円、約10年をかけて進められる大規模なインフラ整備事業です。千代田区や新宿区の歴史ある外濠を対象に、荒川河川水や下水再生水を活用した導水施設を4つの区間に分けて整備します。導水路の新設から既存施設の補修、土砂の浚渫まで、建設業界が担う役割は非常に多岐にわたります。
今後は実施設計を経て実際の工事へと進むため、建設事業者や現場従事者にとって、自社の事業計画を検討するうえで見逃せない事業となるでしょう。
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