建設業「20年後の担い手」確保に求められる処遇改善と構造転換

全国中小建設業協会会長の河崎茂氏への取材に基づき、建設業界、特に地域社会の安全・安心を担う地域建設業が、依然として厳しい経営状況にあり、安定した経営基盤を確立できていない現状が浮き彫りになっています。

これは、低価格競争が過熱した過去の入札制度の反省や、適正な価格確保ができていない点に起因します。

協会は、この構造的な課題を克服し、**「20年後の担い手が育たない」**という深刻な懸念を解消するため、技術者・技能者の地位向上、賃上げの実現、働き方改革、そして建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及を重要テーマとして掲げています。

地域建設業が新分野(インフラ、脱炭素、省エネなど)にも対応しつつ、**若者が安心して就職できる「稼げる建設会社」**へと変革することが、業界全体の持続可能性にとって急務であると訴えています。

深刻化する「20年後の担い手不足」と業界の危機感

Q1: なぜ今、人材確保と若手育成が最重要課題として叫ばれているのでしょうか?
建設業は、少子高齢化の進展に伴い、労働力の確保と技術承継という避けがたい課題に直面しています。河崎会長は、現在の状況が続けば**「20年後の担い手が育たない」**という危機的な状況に陥ると明確に警告しています。

特に地方においては、技術者の高齢化が著しく、地域インフラの維持や災害対応といった重要な役割を担う中小建設業の存続自体が危ぶまれる事態になりかねません。

人材を確保するためには、まず建設業自体を魅力的な産業に変革する必要があります。この「魅力」とは、単に仕事があるというだけでなく、技術と努力が正当に評価され、十分な対価を得られる環境を意味します。

この課題を解決するため、業界全体で、技術者や技能者の地位向上が強く求められています。若手が建設業を選択肢として選び、定着し、長く活躍できる環境を整えることが、地域社会の安全と安心を担う上で必要不可欠な取り組みです。


全国中小建設業協会会長 河崎茂氏
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。

処遇改善の具体策:賃金とキャリアの「見える化」

Q2: 働く人の地位向上のために、賃金やスキル評価に関してどのような取り組みが進められていますか?
技術者や技能者の地位を向上させるための具体的な施策として、賃金の適正化と建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及が挙げられています。

賃金面では、公共工事における適正価格の確保が、現場の処遇改善に直結すると認識されています。

協会は、入札制度において予定価格に固執せず、設計労務単価に連動した積算を実施するよう、国や自治体に対して強く要望しています。この取り組みは、競争入札での価格決定プロセスにおいて、現場の技術者の労務費が適切に反映されることを目指すものです。

現場で働く皆さまの技術と努力が、正当な対価として評価される仕組みを構築することが、協会の中核的な目標の一つです。
また、賃上げを実現するための制度も導入されました。

2024年度からスタートする賃上げ促進税制の活用は、建設会社が従業員へ還元するインセンティブとなり、「稼げる建設会社」への変革を後押しします。これにより、安定した経営基盤の上に、現場の賃金水準を引き上げることが期待されています。

そして、CCUSは、技能者の就業履歴や資格を蓄積し、客観的にスキルを評価するための基盤です。これは、技能者が自らのキャリアを「見える化」し、それに応じた正当な処遇を受けられるようにするためのシステムで、賃金向上と技術者・技能者の地位向上に不可欠な手段と位置付けられています。

CCUSのさらなる普及は、業界全体の透明性を高め、若手が将来の見通しを持って働ける環境整備につながります。

労働環境の変革:週休二日制への課題と生産性向上

Q3: 建設業全体で週休二日制は実現できるのでしょうか? 現場の負担は減りますか?
働き方改革の推進における重要な要素が週休二日制の導入です。全産業での週休二日制の達成は極めて重要であると認識されていますが、特に地方の中小建設業においては、週休二日制の導入はまだ十分に浸透していない現状があると指摘されています。

建設業の現場は、工期や天候に左右される特性があり、繁忙期には十分な休息時間の確保が難しいなど、他の産業とは異なる構造的な課題を抱えています。

会長は、全産業での週休二日制は重要としつつも、中小の現場においては、週休二日制が根付くための環境整備がまず必要であると述べています。
現場の負担を軽減し、週休二日制を実現するためには、生産性の向上が不可欠です。

新しい技術や工法の導入、業務プロセスの効率化などを進め、作業時間を短縮し、労働環境を改善する努力が求められています。この生産性向上は、現場監督や職人一人ひとりの健康管理にも直結し、持続可能な働き方を実現するための鍵です。

業界の持続性と新たな機会:新分野への挑戦

Q4: 技術者や技能者が今後身につけるべき、新たな知識や技術はありますか?
建設業は、従来のインフラ整備や建築工事に加え、新たな社会的な要求に対応していくことが求められています。

これは、現場で働く皆さまにとって、新たな技術や知識を習得する機会を意味します。

具体的には、インフラ維持管理、老朽化対策に加え、脱炭素、省エネ、そして新技術・新工法への対応が重要です。

特に、脱炭素や省エネへの対応は、建物のライフサイクル全体に関わる技術であり、これらの分野の知識を習得することは、個人の市場価値を高め、企業の競争力を強化することにつながります。

また、地域建設業は、地域のインフラを維持し、災害時には地域社会の安全を担う極めて重要な役割を担っています。

この役割を安定的に遂行するためにも、技術者や技能者は、従来の専門知識に加え、地域社会との連携、新分野に関する知識習得と研鑽を継続することが求められています。

現場の知恵やノウハウを活かしつつ、新しい分野に挑戦する姿勢が、持続可能な建設業の実現を支える柱となります。

まとめ

建設業は、技術者・技能者の地位向上と若手育成を最優先課題として、構造的な変革を推し進めています。

適正な価格確保、CCUSの普及、そして生産性向上による働き方改革は、現場で働く皆さまの処遇改善に直結する重要な要素です。

この変革期において、現場で働く一人ひとりの技術と経験が正当に評価され、**「稼げる建設会社」**として地域社会に貢献し続けるために、業界全体が一丸となって取り組む必要があり、その努力が必ずや実を結ぶものと確信します。

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