2026年1月6日、日本建築学会、日本建築家協会(JIA)、日本建築士会連合会の「建築3会」は、東京都港区の建築会館ホールで新年交礼会を開催した。
建築界の主要関係者が一堂に会したこの場では、昨年の叙勲・褒章受章者や功労賞受賞者の栄誉がたたえられるとともに、混迷を極める世界情勢下での建築界の在り方が議論された。
日本建築学会の小野田泰明会長は、困難な時代に建築に関わる者がどう対峙すべきかを問い直し、日本建築士会連合会の古谷誠章会長は、偉大な先達の功績を目標に掲げて進む決意を表明した。
また、JIA元会長の仙田満氏は、地球温暖化による災害の激甚化や工事費高騰という厳しい現実に触れつつ、建築・建設業界が背負う重い責任を強調し、関係者へ激励の辞を述べた。
メッセージに含まれる重要な示唆とは
この新年交礼会で発せられたメッセージは、現場で人を育て、組織を維持する中小建設業の経営者や現場監督にとって、極めて重要な示唆を含んでいる。
特に古谷会長が言及した「大先達を目標にする」という姿勢は、若手育成や採用ブランディングにおいて強力な武器となる。
坂茂氏のような世界的に評価される建築家や、長年の功績を認められた受章者たちの存在は、建設業が単なる労働ではなく、文化を創り、人々の命を守る尊い仕事であることを証明している。
若手人材の確保が困難な現代において、自社の仕事がいかに社会的な意義をもち、どのような「かっこいい大人」を目指せるのかを具体的に示すことは、求人票の条件面を整えること以上に、若者の心に響く採用ノウハウといえる。

3会の代表が鏡開きで新年の幕開けを祝った=写真
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
立ちはだかる高い壁とは
しかし、現実の現場に目を向ければ、仙田氏が指摘した通り「工事費の高騰」という高い壁が立ちはだかる。
コスト管理が厳しさを増すなかで、教育に時間を割く余裕がないという声も多い。
だが、こうした「大変な時代」だからこそ、一人ひとりの生産性を高める教育・研修の重要性は増している。
資材やエネルギーの無駄を省く精緻な技術、そして予期せぬ事態にも動じない現場管理能力は、一朝一夕には身につかない。
経営層は、現場監督や職人に対し、単に「頑張れ」と精神論を説くのではなく、先達たちが築いてきた合理的な知恵や、最新の知見を学ぶ場を提供し続ける必要がある。
それが結果として、コスト最適化にもつながるからだ。
「人材定着」の鍵とは
また、人材定着の鍵は「責任の共有」にある。
仙田氏が述べた「建築、建設の責任は極めて重い」という言葉を、現場の末端まで浸透させられるかが重要だ。
自然災害が激甚化するなかで、自分たちが造る建物やインフラが地域の安全を支えているという実感は、職人のプロ意識を劇的に高める。
教育の現場では、単なる作業手順の指導にとどまらず、その作業が社会の安全にどう直結しているのかという「大きな視点」を伝えることが欠かせない。
自分の仕事が誰かを救っているという自負は、離職防止における最大の防波堤となる。

現場のリーダー教育に通じるメッセージとは
さらに、小野田会長が提唱した「混迷の時代にどう対峙するか」という問いは、現場のリーダー教育にも通じる。
正解のない課題が次々と発生する現在の施工現場では、マニュアルを遵守するだけでなく、自ら考え、周囲と議論して最適解を導き出す能力が求められる。
新年交礼会という公式な場でトップたちが議論の重要性を説いたように、中小企業の社内においても、役職の垣根を越えて意見を交わし、現場の課題を共有する文化を醸成すべきである。
風通しの良い組織作りは、若手が発言しやすい環境を生み、結果として次世代のリーダー育成を加速させる。
中小建設業が生き残るために
中小建設業が生き残るためには、こうした業界全体の動きを察知し、自社の教育方針に反映させる柔軟さが求められる。
叙勲受章者のような遠い存在であっても、その技術や精神の根底にあるものは、日々の現場で汗を流す職人たちと同じ「ものづくりへの情熱」だ。
この情熱をいかに形式化し、次の世代へ継承していくか。
混迷の時代において、道筋を照らすのは過去の偉大な足跡であり、それを現在の技術と融合させていく教育の力に他ならない。
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