四国に誕生した「インフラDX人材育成」の新拠点
国土交通省四国地方整備局は、建設業界におけるデジタル技術の習得と人材育成を目的とした新たな拠点「四国インフラDX人材育成センター」を高松市に完成させました。
四国技術事務所の1階試験室を改修して整備された約318平方メートルの施設内には、マルチディスプレイを備えた遠隔建設機械シミュレーターやドーム型スクリーン、VR体験装置などの最新機器が導入されています。全国の地方整備局で同様の施設整備が進められてきましたが、今回の四国での開設をもって全国すべてのエリアへの導入が完了することとなります。
2月2日の開所に先立ち、1月26日には報道関係者向けの公開が行なわれ、建設業の課題である若手入職者の確保や技術伝承、安全性向上に寄与する設備の詳細が明らかになりました。
本記事では、この新施設がどのように人材育成や採用活動に役立つのか、その活用法を詳しく解説します。

遠隔操縦式バックホウの操作を体験できる
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q. この施設は、企業の採用や教育においてどのような意味をもちますか?
建設業界全体が直面している課題の一つに、若手技術者の不足と熟練工からの技術伝承の難しさがあります。この「四国インフラDX人材育成センター」は、まさにその課題解決のために「デジタル技術を活用できる人材の育成」を主眼に置いて整備されました。318平方メートルという広々としたスペースに、実現場ではリスクが伴う作業や、高価で導入が難しい最新機器が設置されており、これらを体験型コンテンツとして利用できます。
中小企業にとって、自社単独では整備しにくい研修環境を外部リソースとして活用できる点は、新入社員教育の質を高めるうえで非常に大きなメリットとなります。また、最新のDX技術に触れられる環境があることは、デジタルネイティブ世代である学生や求職者に対する強力なアピール材料となり、採用活動における差別化要因としても機能するでしょう。
Q. 新人教育に活用できる具体的な設備は何ですか?
実務経験の浅い若手や新人にとって最も効果的な設備の一つが「遠隔建設機械シミュレーター」です。マルチディスプレイを採用したこの装置では、実際の重機を操作しているかのような臨場感の中で、安全かつ基本的な操作技術を習得することが可能です。
現場に出る前にシミュレーターで感覚を掴むことで、実機操作への移行がスムーズになり、事故リスクの低減も期待できます。
さらに、橋梁点検などで使用されるドローンの視点を体験できる「ドーム型スクリーン」も設置されています。高所作業や点検業務のイメージを具体的に持つことができるため、業務内容への理解度が深まり、早期の戦力化を促す教育ツールとして非常に有効です。
Q. 安全教育に関するツールはありますか?
座学だけでは伝わりにくい現場の危険性を肌で感じることができる「バーチャル空間での工事事故疑似体験」が導入されています。VR(仮想現実)技術を活用し、労働災害が発生する状況を疑似的に体験することで、危険予知能力を養い、安全意識を飛躍的に高めることができます。
従来のテキストベースの安全大会や講習とは異なり、恐怖や危機感をリアルに体感できるため、記憶に残る効果的な安全教育が実施可能です。また、身体的負担を軽減する「パワーアシストスーツ」の装着体験も可能であり、作業員の健康管理や労働環境改善に向けた最新ギアの導入検討にも役立ちます。

※画像はイメージです。
Q. 現場管理や設計の理解を深めるための設備はありますか?
四国独自のコンテンツとして注目されるのが「4D設計データを活用した疑似体験ツール」です。これは、各種工事の設計、発注、実施の各段階を時系列で追体験できるシステムです。四国技術事務所の田中元幸所長は、設計段階と施工現場の間で生じる不一致などの過去の教訓を踏まえ、設計と施工がお互いの業務を意識し合えるようになることに期待を寄せています。
現場監督や設計担当者がこのツールを利用することで、工程全体の流れやボトルネックを可視化でき、手戻りのない効率的な施工管理能力を養うことができます。さらに、「スマートグラスを活用した建設現場の遠隔臨場体験」や「3D測量体験」、「3Dプリンターの実機展示」も行なわれており、遠隔地からの支援や三次元データの活用といった、次世代の現場監督に求められるスキルセットを網羅的に学ぶことができます。
Q. 研修コストや利用手続きはどうなっていますか?
中小企業にとって最大のメリットは、これらの体験施設の利用が「無料」であるという点です。高額な研修費用をかけることなく、最先端の技術教育を社員に提供できます。
利用時間は平日の火曜日、水曜日、木曜日に設定されており、午前の部(10時~正午)と午後の部(13時~15時)に分かれています。利用にあたっては1時間単位の完全予約制となっているため、社内研修のカリキュラムに合わせて計画的に予約を入れることが可能です。
Q. 学生や求職者向けのイベントにも使えますか?
はい、可能です。この施設は建設業界に従事する技術者だけでなく、学生や一般の方も広く受け入れています。実際に建設関連団体などが設備を利用して講習会を開催しており、今後はセンターの活用によって講習内容がさらに充実することが期待されています。
企業が主催するインターンシップや会社説明会の一環としてこの施設への見学ツアーを組み込めば、建設業の「きつい・汚い・危険」という旧来のイメージを払拭し、「最先端・スマート・安全」な業界としての魅力を学生に直接伝える絶好の機会となります。
まとめ
四国インフラDX人材育成センターは、単なる機器展示場ではなく、建設業の未来を担う人材を育てるための実践的な教育プラットフォームです。無料で利用できるこの施設を、社内研修や安全教育、さらには採用活動のアピールポイントとして組み込むことで、企業の競争力強化につながります。
全国の整備局で最後発となる施設だからこそ、他地域の導入実績を踏まえた充実のラインナップが揃っています。自社の社員教育と採用戦略の強力な武器として、このセンターを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
無料で求人募集や協力会社の募集ができる、建設業向けマッチングサイト『建設円陣』はコチラ↓(バナーをクリック!)
