特定技能1号から2号へ―外国人材の定着を支える技能向上訓練の最前線
建設業界における深刻な人材不足が叫ばれるなか、外国人材の定着と技能向上を目的とした新たな取り組みが始まった。宮城県大郷町に拠点を置く東北国際教育センター・Ciet(シエット、玉腰辰己センター長)は、特定技能1号の在留資格をもつ外国人材を対象とした技能向上訓練を開始したのである。
この訓練は、各職種において基本となる知識や技能を改めて習得する機会を提供するものであり、将来的には熟練した技能を要する「特定技能2号」の取得に向けた重要な足掛かりとなることが期待されている。1月には初弾となる訓練が実施され、4つのコースに合わせて9人の外国人材が参加し、研鑽を積んだ。
本記事では、この新たな訓練制度の詳細と、2027年に予定されている制度改正を見据えた業界の動向について、提供された情報を基に解説する。

技能の基礎を改めて学べる機会を提供。写真は型枠施工コース=協同組合ユウアンドアイ提供
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1:今回開始された「スキルアップ訓練」の具体的な内容はどのようなものか
今回Cietが創設したのは、「特定技能1号対象スキルアップコース」と名付けられた訓練プログラムである。1月に実施された最初の訓練では、「型枠施工」「内装施工」「建設機械運転」「コンクリート圧送」という、建設現場において需要の高い4つの職種でカリキュラムが組まれた。
訓練期間は6日間、合計40時間という密度で設定されている。その内容は多岐にわたり、職種ごとの概論から始まり、実際の工事実習、さらには安全衛生作業再教育までが含まれている。現場での実務経験をもつ者が改めて基礎から体系的に学ぶことで、より確実な技能習得を目指す構成となっているのが特徴だ。カリキュラムの作成や講師の確保に関しては、協同組合ユウアンドアイ(東京都足立区、天野博之理事長)が協力体制を敷いている。
Q2:なぜ今、特定技能1号から「2号」への移行支援が重要視されるのか
受講対象となっている外国人材は、もともと技能実習生として日本に入国し、その後「特定技能1号」を取得して数年間の現場経験を積んできた層である。建設業界において、彼らはすでに貴重な戦力として稼働している。
しかし、特定技能1号には在留期間の上限があるため、長期的な雇用継続には課題があった。そこで注目されているのが「特定技能2号」である。この資格を取得すれば、在留期間の更新制限がなくなり、さらには母国からの家族帯同も可能となるほか、永住申請への道も開かれることとなる。
企業にとっては、熟練した外国人材に長く日本で活躍してもらうことが可能となり、労働力不足の解消に直結する。今回の訓練は、この特定技能2号の資格取得に役立ててもらうことを明確な目的としており、外国人材のキャリアアップと企業の安定雇用双方にメリットをもたらす施策といえる。
Q3:受講にかかる費用や支援体制はどうなっているか
中小建設事業者にとって、教育訓練にかかるコストは無視できない問題である。今回の訓練においてCietは、受講者が宿泊できる施設を有しているという強みを活かし、受講費用と宿泊費を合わせて1人あたり5万円(税込み)という金額設定を実現した。
この費用設定により、企業側は比較的低い負担で従業員に質の高い教育を受けさせることが可能となる。また、この訓練の実施に当たっては、建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協、事務局・建設業振興基金)からの支援も受けており、業界全体で外国人材の育成を後押しする体制が整えられていることがうかがえる。

※画像はイメージです。
Q4:2027年の制度改正とどのように関わっているのか
外国人材の受入れを巡っては、大きな制度改正が控えている。現行の「技能実習制度」に代わり、2027年4月からは、人材育成と人材確保を目的とした新制度「育成就労」への移行が予定されているのである。
この新制度「育成就労」と、その後に取得する「特定技能」をスムーズに組み合わせることによって、外国人材が継続的にキャリアを形成できる環境を整えることが急務となっている。これは、慢性的な人材不足に悩む建設現場の課題解決における重要な一助となるはずだ。Cietでは、こうした制度変更の流れを見据え、今後も継続的にスキルアップコースを実施し、訓練という側面から外国人材の活躍を支援していく方針を示している。
Q5:日本人従業員向けの訓練コースはあるか
外国人材向けの訓練だけでなく、日本人労働者向けの教育も同時に強化されている。Cietでは、実務経験が0年から3年程度の日本人の初心者を対象とした「基礎コース」も創設している。
直近では、「型枠施工」および「内装施工」の2職種を対象とした2月の訓練参加者を募っており、国籍を問わず、建設現場で働く若手や初心者の技能底上げを図る姿勢が鮮明である。現場の多国籍化が進む中で、日本人・外国人を問わず、体系的な教育訓練の場を提供することは、施工品質の維持向上と安全確保のために不可欠な投資といえるだろう。
まとめ
東北国際教育センター・Cietによる新たな訓練プログラムは、単なる技能講習にとどまらず、特定技能2号への移行促進や、来るべき2027年の「育成就労」制度への対応を見据えた戦略的な取り組みである。
建設業界全体が直面する「担い手不足」という課題に対し、実効性のある解決策の一つとして、こうした教育訓練の活用が今後ますます重要になってくることは間違いないだろう。
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