北海道新幹線・二ツ森トンネルがついに貫通
鉄道建設・運輸施設整備支援機構は10日、北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)の建設工事において、倶知安駅~(仮称)新小樽駅間に位置する「二ツ森トンネル」が貫通したと発表した。同トンネルは全長1万2650メートルに及ぶ長大トンネルであり、建設が進められている区間内の全17カ所のトンネルのうち、これで11カ所目が貫通したことになる。
二ツ森トンネルは倶知安町、仁木町、赤井川村の3自治体にまたがる大規模な工区であり、工事は「明治」「鹿子」「尾根内」の3工区に分割して発注されていた。9日、最後まで掘削が続いていた明治工区(3255メートル)が、新青森駅起点305.8キロ地点で尾根内工区に到達し、全区間がつながった。機構は今後、安全が確保され次第、関係者を集めて貫通式典を執り行なう予定だ。
本記事では、今回の二ツ森トンネル貫通のニュースを受け、建設業界関係者から寄せられることの多い疑問点や関心事項について、公表された情報を基に詳細に解説していく。

貫通地点の様子(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q. 今回貫通した二ツ森トンネルの工事規模と施工体制はどのようなものか?
二ツ森トンネルは、北海道新幹線の札幌延伸に向けた重要構造物の一つだ。延長1万2650メートルという規模は、並大抵の土木工事ではない。その長大さゆえに、施工エリアは倶知安町、仁木町、赤井川村という3つの自治体にまたがっている。行政区分を跨ぐ工事は、施工ヤードの確保や残土処理、地元調整などにおいて多角的な配慮が求められるのが常だ。
施工体制については、工期短縮とリスク分散の観点から、トンネル全体を3つの工区に分割して発注する方式が採られた。それぞれの工区と担当した施工JV(共同企業体)は以下の通りだ。
* 明治工区(延長3255メートル)
施工者:鉄建建設・ノバック・生駒組・萌州建設JV
この工区が9日に尾根内工区へ到達し、トンネル全体の貫通を成し遂げた最後のピースとなった。
* 鹿子工区(延長4780メートル)
施工者:熊谷組・大本組・橋本川島コーポレーション・和工建設JV
3工区の中で最も長い延長を担当した区間であり、すでに貫通済みであった。
* 尾根内工区(延長4615メートル)
施工者:清水建設・岩倉建設・札建工業・吉本組JV
こちらも貫通済みであり、明治工区からの到達を受け入れた側となる。
このように、スーパーゼネコンや準大手ゼネコンを筆頭に、地元の建設企業が名を連ねるJV方式が採用されている。これは、高度なトンネル掘削技術と、地域精通度や機動力を組み合わせるための合理的な体制だといえる。
Q. トンネル工事における「貫通」とは、現場にとってどのような意味をもつのか?
トンネル工事における「貫通」は、単なる掘削作業の終了以上の重みをもつ。暗い地中を掘り進め、測量計算通りに対向側あるいは到達点に突き抜ける瞬間は、土木技術者や作業員にとって最大のクライマックスだ。
報道によれば、今回は明治工区が尾根内工区に「到達」したことで貫通したとされる。数キロメートルに及ぶ掘削を経て、わずかな誤差で接合させる技術力は、日本の建設業が誇るべきものだ。特に、地質が複雑に変化する山岳トンネルにおいては、切羽(きりは)の崩落や湧水といった危険と常に隣り合わせである。無事に貫通を迎えることは、労働災害を未然に防ぎ、安全管理を徹底した成果の証左でもある。
機構が発表した「安全確保ができ次第、関係者で貫通式典を開く」という方針は、こうした現場の労をねぎらい、無事を祝うための重要な節目となる。貫通式(貫通点での握手や万歳三唱、貫通石の授与など)は、長く厳しい現場環境で働いてきた職人や監督たちにとって、達成感を共有する貴重な場となるだろう。
Q. 北海道新幹線建設事業全体の進捗状況はどうなっているのか?
今回の二ツ森トンネル貫通により、新函館北斗~札幌駅間で計画されている建設中区間のトンネル17カ所のうち、11カ所が貫通したことになる。数だけで見れば約65%のトンネルがつながった計算になる。
北海道新幹線の札幌延伸事業は、寒冷地特有の気象条件や、広大な自然環境の中での施工という課題を抱えている。その中で、1万メートルを超える長大トンネルが一つ完了したことは、全線開通に向けた大きな弾みとなるニュースだ。残る6カ所のトンネルについても、同様に厳しい自然条件との闘いが続いていると推測されるが、今回の実績は他の工区にとっても明るい材料となるはずだ。

※画像はイメージです。
Q. 工区分割発注におけるJV(共同企業体)の役割とは?
今回の工事でも見られるように、大規模な公共工事ではJV(ジョイントベンチャー)が結成されることが一般的だ。二ツ森トンネルの3工区を見ても、大手・準大手ゼネコンと、地元北海道の建設会社がタッグを組んでいることがわかる。例えば、明治工区では鉄建建設をスポンサーとしつつ、地場の生駒組や萌州建設などが参画している。尾根内工区では清水建設に加え、岩倉建設、札建工業、吉本組といった道内有力企業が名を連ねる。
こうした構成は、単に工事規模に対応するためだけではない。大手企業のもつ最新のトンネル施工技術やマネジメント能力と、地元企業のもつ地域ネットワーク、冬季の現場維持管理ノウハウ、資機材調達力が融合することで、初めて円滑な施工が可能になるからだ。特に北海道のような積雪寒冷地では、冬期のアクセス道路の除雪や現場環境の維持だけでも多大な労力を要する。地域に根差した建設会社の力なくして、巨大インフラの建設は成し得ない。今回の貫通は、そうした企業間の連携が機能した結果であるといえる。
Q. 今後の見通しは?
二ツ森トンネルに関しては、掘削完了後、覆工コンクリートの打設や路盤整備、電気・設備工事など、開業に向けた仕上げの工程へと移行していくことになる。トンネル本体がつながったことで、坑内を通じた資機材の運搬や換気が容易になり、後続の作業効率は格段に向上するだろう。
一方で、新函館北斗~札幌間全体を見渡せば、まだ貫通していないトンネルが6カ所残されている。これらが全てつながり、レールが敷設され、試験走行が行なわれるまでには、まだ多くの建設従事者の手が必要とされる。今回のニュースは一つの通過点に過ぎないが、着実にゴールへ近づいていることを示す重要なマイルストーンだ。建設業界としては、引き続き安全第一で、高品質なインフラ整備を進めていくことが求められる。
まとめ
北海道新幹線「二ツ森トンネル」の貫通は、厳しい自然環境と闘いながらインフラ整備に従事する建設技術者たちの結晶だ。3つの工区に分かれた1万2650メートルの大動脈がつながったことで、物流や観光など地域経済への波及効果も期待されるプロジェクトが一歩前進した。
現場でのたゆまぬ努力と、JV各社の連携に敬意を表しつつ、引き続き、残る工区の安全施工と無事の完成を願うばかりである。
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